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『保育に生かす記録の書き方』 [書籍]


保育に生かす記録の書き方

保育に生かす記録の書き方

  • 作者: 今井 和子
  • 出版社/メーカー: ひとなる書房
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


上條晴夫さんの「教師のための文章講座」徹底マニュアルシリーズに、しばしば登場する本です。『困ったときの研究レポートの書き方』(学事出版)では「研究レポートの型を知る」、『子どもを励ます評価文の書き方』(学事出版)では「線として見る」において引用されています。教師の「書き方」問題について考えるときに役立つ文献のようです。

なぜ実践記録を書くのか? 著者の今井和子さんは、その理由の一つとして、次のように述べています。

 書くことによって、自分の感情を吐露し、ときには自分の保育の骨組みを組み立てていくわけですが、その行為によって、もう一人の自分、すなわち書かれている自分をつきはなしてながめる第三者的な自分がいることに気づかされるのです。
 つまり、自分と子どものやりとりを見つめる、もう一人の保育者(自分)の目ができていくということです。
 このもう一人の自分、第三者の視点が生まれることによって、過去の経験を別の角度から見る、すなわち吟味することが可能になるのかもしれません。時間や距離をおいて振り返ることは、自分を客観的に見つめ直すことだと言われますが、保育者が自分の見方を絶対視するのでなく、常に子どもと自分のかかわりのありようを相対化して見つめる視点を持つことによって、子どもとのより創造的なかかわりを生み出していくことができるようになるのだと思います。

この「第三者の視点」を持てるかどうかは、保育者や教師に欠かせない点だと思われます。子どもや保護者の立場を想像しながら指導できるかどうかで、指導の姿勢は変わってくるはずだからです。

そして、この「第三者の視点」の幅を広げるためには、実践記録を読み合う活動が効果的だと思われます。今井さんも、次のように述べています。

 これからの人的環境としては何より保育者のチームワークがいいことが求められます。本音でぶつかり合いながら、お互いから学びあいかつお互いに助けあえる保育者集団をつくっていくことが大事だと思います。まさに子どもの成長を一つの旗印として、そこから私たちが本音を出し合える関係があれば、それはとてもいい職場だと思います。そのためにも、私たちの書く日誌や実践記録というのはひじょうに大事な意味をもってきます。自分の保育、一人だけの保育で終わらないでそれが自分たちの保育になっていく、自分の発見が他の人たちの共通の財産になっていくためにも記録を書くということは非常に意味があることだと思います。

第1章「なぜ書くのか?—記録の重要性とその意義—」を読むと、書くことが教師の力量形成に役立つことを、改めて認識させられます。

この本は改訂版ですが、その5年前に出版されたものと章立てに違いはありません。ただ、日誌や連絡帳の実例が非常に充実しています。多くの保育者の方々による細かい記録を読んでいると、もっと教師もがんばって記録を残さなければいけないと反省させられます。

教師にとっては専門外の保育書かもしれませんが、実践記録の書き方について考えていく上で、非常に参考になる本です。

はじめに
第1章 なぜ書くのか?—記録の重要性とその意義—
 1 たいせつな出来事を忘れないために
  メモをとる
  書く必然性があるか
  保育中はさり気なくメモをとる
 2 自分の言動を振り返り吟味するために
  自分のなかに生まれるもう一人の自分—第三の視点—
  書くことはよく見ることのトレーニング
  子どもの行為の意味を掘り下げる
 3 保育のマンネリ化を防ぎ保育者の自己課題を明確にする
  書いているとき生じる疑問をたいせつに
  課題をもって保育する楽しさ
  “線”として子どもを見る
 4 自分の保育から自分たちの保育へ
  人に読んでもらうことの大事さ
  共通理解を進めるために全員で記録をとる
  やさしさと厳しさ
第2章 記録の種類と書き方のポイント
 1 記録の種類
  観察記録と実戦記録(保育記録)
 2 保育記録(日誌、児童票の経過記録、連絡帳、実践記録など)の書き方
  視点を定めて書く
  活動の羅列にならないように
  抽象的・概念的なことばは避け、具体的に書く
  「具体的に書く」とはどういうことか
第3章 日誌の書き方、生かし方
 1 日誌の書き方—そのポイント—
  様式について
  3歳未満児の日誌—個人記録も必要—
  活動欄の記述について
 2 日誌の実際
  子どもの実態を把握し、明日の活動(保育の手だて)が見通せるようになるために
  よりよい保育を生み出す「評価の視点」
  子どもの行為からその意味を考える
  子どもの内面を読みとることから、新しいかかわりが生まれる
  考察の書き方のポイント
 3 0・1・2歳児の日誌例
  エピソードだけの記述にとどまらないで
  0歳児クラスの日誌から
  0・1・2歳児の日誌の様式
  0・1・2歳児の日誌の実際
 4 3・4・5歳児の日誌例
  集団的視点と個別的視点、その両方から書く
  反省・評価だけの記述では不十分
  自由に書ける様式にも良さがある
  タイトルの工夫も大事
  保育者の意図する課題的活動は“やってみたい”と思う気持ちや動機をたいせつに
  親にその日の活動を伝える「クラス日誌」
 5 週日案記録
  週日案記録のメリットとデメリット
  指導計画と子どもの姿と保育者の意図がつながる記録を
  保育者主導にならないために
第4章 児童票の書き方、生かし方
 1 児童票をなぜ書くのか
  児童票の経過記録に何を書くか?
  経過記録を記入するときのポイント
 2 児童票の書き方
  児童票を書くのは何のため?
  考察をよりたしかなものにするための3つのポイント
  児童票の様式と内容について考える
 3 なぜ生かせない記録になったのか
  児童票(経過記録)を読み直して
  保育者のかかわりを必ず記録する
第5章 連絡帳の書き方、生かし方
 1 連絡帳の書き方
  親が子育ての楽しさを実感できる連絡帳に
  質問や疑問には必ず答えましょう
  親を不安にしない
  プラス思考で書く
  推測しないとわからない書き方はしない
  友だちと比べる書き方はしない
  エピソードをいれるとわかりやすい
  共感は砂漠にオアシス
  発達をおさえて書きましょう
  肯定的な書き方をしましょう
  具体的に育児の手だてを書く
  母親への心使いをさり気なく
  笑いはなるべく伝えましょう
  ちょっとコメントを
  少しの変化もみのがさずに
  行動の意味づけをしましょう
  幼児期にも連絡帳は必要か?
  書きたがらない親に対しては
 2 連絡帳を保育に生かす手だて
  懇談会やクラス便りのテーマに活用する
  ビデオによる記録
第6章 実践記録の書き方、生かし方
 1 実践記録とは
  自分の保育に課題をもつ
  実践記録の書き方
 2 自分の姿を見つめ直す
おわりに
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ハマコウ

市の図書館になかったので 県内の他の図書館より取り寄せてもらって読みました。大変参考になる本でした。
by ハマコウ (2011-11-12 05:25) 

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