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『授業でつかえる文学あそびベスト50』 [書籍]


授業でつかえる文学あそびベスト50

授業でつかえる文学あそびベスト50



本書の特徴について、「まえがき」には次のように書かれています。

 本書のコンセプトは「文学を遊ぶ」ということです。
 ふしぎなことに、これまで「文学を遊ぶ」というコンセプトでまとまった授業づくりの本はほとんどありませんでした。わたしはこれまで『授業でつかえる漢字あそびベスト50』そして『論理的な表現力を育てる学習ゲーム』などの新しい「国語科学習ゲーム」の開発に取り組んできました。本書はそのその路線上に位置づく一冊になります。

さらに、「本書の最初の動機づけ」は『伝達の美学』(外山滋比古著、三省堂)にありながらも、内容については『読書で遊ぼうアニマシオン』(モンセラットサルト著、柏書房)を「一つのお手本」にしたと明記されています。

本書の目次を見ただけでも、アニマシオンの影響は明らかです。「読書へのアニマシオン」のアイデアを「読書ゲーム」として工夫したのが、本書の「文学あそび」になっていると思われます。文学の「授業でつかえる」アイデア集を、いかに授業者が活用していくかが今後の課題でしょう。著書の上條晴夫さん自身も「いくつかの文学あそびが追試され、修正をされ、また新しく開発をされて国語科の教室に広がっていけばよい」と書いている通りです。

たとえば、「文学クイズ」のように、比較的フレームが明確な文学あそびを通して、授業づくりを行ってみるとよいのかもしれません。

まえがき
1 文学をゲームしよう
 (1)題名コンテスト——作者になったつもりで
 (2)人物調査書ゲーム——ちょっと探偵みたい
 (3)なりきり質問ゲーム——登場人物のつもりで
 (4)ニュースキャスターゲーム——物語中の事件をクローズアップ
 (5)一人語りトーナメント——劇団オーディションのノリで
 (6)音読ダウト——まちがい探しゲーム
 (7)スタンドアップ——言葉探しゲーム
 (8)学習クイズゲーム——チーム対抗戦で熱中!
 (9)心情曲線コンテスト——心理学者のように
 (10)ディベートあそび——意見を対立させて考える
2 文学クイズを楽しもう
 (1)小物クイズ——これは誰のもの?
 (2)順番クイズ——作品バラバラ事件
 (3)登場人物クイズ——それは誰のこと?
 (4)描写文クイズ——本物はどれだ
 (5)会話文クイズ——これは誰のセリフ?
 (6)声喩クイズ——これは何の音?
 (7)さし絵クイズ——絵を読むセンスをみがこう
 (8)場面クイズ——これはどこの文?
 (9)設定クイズ——いつ・どこで・誰が?
 (10)題名クイズ——いっぱい知っているよ
3 文学を声にして読もう
 (1)対決読み——言葉のボクシング
 (2)共同読み——勝ち抜け方式
 (3)リレー読み——チームワークが勝負
 (4)ストップ読み——ハラハラドキドキ
 (5)対話読み——掛け合いの楽しさ
 (6)グループ音読——緊張の一瞬
 (7)学級音読——緊張感を楽しむ
 (8)早口読み——個人戦方式
 (9)移動読み——アクション読み
 (10)連れ読み——真似こそ上手のはじまり
4 文学を使って作文しよう
 (1)コピー作文——コピーライターになってみよう
 (2)鉛筆対談バトル——書きながら論争する
 (3)変身作文——視点を変えて作品を書き直す
 (4)ミニ評論文——作品につける辛口通信簿
 (5)手紙作文——相手に語りかけるつもりで
 (6)再話作文——自分の言葉で書き換えてみる
 (7)意地悪読み作文——読みがグッと深くなる
 (8)わき役作文——複眼思考をきたえる
 (9)続き話作文——あの人はいま、
 (10)題名作文——タイトルから想像する
5 文学でアートしてみよう
 (1)コラージュ——読書感想画
 (2)ジオラマ——立体模型をつくる
 (3)イラスト——マンガに脚色してみる
 (4)連続マンガ——人物の気持ちを吹き出し法で
 (5)紙芝居——詩を絵にしてみる
 (6)五・七・五——作品から俳句をつくる
 (7)劇遊び——練習なしのごっこ遊び
 (8)一行詩——呼びかけ型にして
 (9)BGM——朗読をする時に
 (10)ナレーション——朗読の前に楽しくやる

『授業でつかえる漢字あそびベスト50』 [書籍]


授業でつかえる漢字あそびベスト50

授業でつかえる漢字あそびベスト50



本書の特徴について、「まえがき」には次のように書かれています。

 そもそも漢字はそれ自体人々の興味を引く要素をもっています。
 ですから書店ではたくさんの漢字遊びや漢字クイズのような実用書が売られています。
 本書がこれらの漢字遊びの本と違う点は、従来の漢字遊びの本が一人遊び用のものが中心なのに対して、本書で紹介する漢字遊びは、教室で使えるものが中心だという点です。
 たとえば「木のつく漢字」を集めるという遊びがあります。
   (1)各自ノートに五分間漢字を書き出す。
   (2)机列順に一人一個ずつその漢字を発表していく。
   (3)どこで発表が途切れるかハラハラドキドキの発表となる。
   (4)個人発表が途切れたらすぐに全体での発表に移る。
   (5)クラスでいくつの漢字を探せるかを楽しむ。
   (6)十秒以上間があいたらゲーム終了。
 ごく単純な遊びです。しかし子どもたちは大喜びします。

この「教室で使える」点が本書の最大のセールスポイントでしょう。「従来の漢字遊びの本」の成果に学びながら、「ゲーム」「パズル」「コレクション」「ウンチク」「クイズ」、それぞれのテーマで10のアイデアが見開き1ページで紹介されているので、使い勝手もよいです。

この豊富なアイデアを、どの単元で活用していくかが授業者に求められているように思われます。漢字に特化した「授業でつかえる」アイデア集として、手元に置いておきたい1冊です。

まえがき
1 漢字ゲームで遊ぼう
 (1)「偏とつくり」で鎖を作る
 (2)「部首」でビンゴゲームをやろう
 (3)「カタカナ」で組み合わせて漢字を作る
 (4)「二字熟語」で仲間集めゲーム
 (5)「習った漢字」をお経にしちゃう
 (6)「漢字算数」解けるかな
 (7)「鏡漢字」探しにチャレンジ
 (8)「早口言葉」を漢字で作る
 (9)「画数」ダービーゲーム
 (10)「同画」の漢字を探せ
2 漢字パズルを作ろう
 (1)「東」の中に漢字がいくつ?
 (2)「□」の中に漢字はいくつ?
 (3)「点」で大変身!漢字ゲーム
 (4)「棒」で変身?漢字ゲーム
 (5)「四字熟語」のクロスワードパズルを作ろう
 (6)「画数」の迷路を作ろう
 (7)「暗号」を漢字で作ろう
 (8)「アイデア漢字」を作ろう
 (9)「漢字尻取り」を楽しむ
 (10)「会意」の漢字で川柳を作る
3 漢字コレクションをしよう
 (1)「木」のつく漢字を探せ
 (2)「ウ」のつく漢字を分類せよ
 (3)「コウ」と読む漢字を探せ
 (4)「四字読み」の漢字を集めよう
 (5)「数量呼称」を収集する
 (6)「反対」の意味の二字熟語を探せ
 (7)「畳語」を集めて作文しよう
 (8)「色」熟語を楽しむ
 (9)「同じ漢字」を二つ含む四字熟語を探せ
 (10)「専門用語」を集めてみよう!
4 漢字のウンチクを楽しもう
 (1)「禅の精神」の漢字遊びとは?
 (2)「逆さま漢字」を考えてみよう
 (3)「県名」の呪文を唱えよう
 (4)「無量大数」が最も大きな数字?
 (5)「好きな漢字」を考えてみよう
 (6)「人」を表わす漢字を採集しよう
 (7)「漢字の仲間」を考える
 (8)「名づけ」の漢字学
 (9)「龍×4」の意味は?
 (10)「無・不」のつく熟語を探せ
5 漢字クイズに挑戦しよう
 (1)「部首クイズ」を作ろう
 (2)「瓜(うり)にツメあり」とは?
 (3)「体」の慣用句でパフォーマンスする
 (4)「栄螺」好きですか嫌いですか
 (5)「亜米利加」ってどこの国だろう?
 (6)「動植物」を表わす漢字をいくつ読める?
 (7)「生」の読み方はいくつある?
 (8)「子子子子子子子子子子子子」をなんと読む?
 (9)「一筆書き」のできる漢字は?
 (10)「三十センチ」はサンジッセンチ?

『漫画の時間』 [書籍]


漫画の時間

漫画の時間

  • 作者: いしかわ じゅん
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 1995/11/01
  • メディア: 単行本


上條晴夫さんの『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』(学事出版)に紹介されている本です。上條さんが「マンガはかたい読書への橋渡しになる」という『読書はパワー』(金の星社)の主張をふまえて紹介しただけあって、漫画に馴染みのない読者にも、その面白さ・奥深さが伝わってきます。

中でも、巻頭の「漫画の読み方 青い鳥はどこにいる」には、いしかわじゅんさんの漫画に対する熱い気持ちが表れています。36ページにも渡って綴られている、ちょっとした論文と言ってもよいでしょう。次の5項目です。

一、オリジナリティを見ろ
二、工夫を見ろ
三、手抜きを見ろ
四、洋服を見ろ
五、動きを見ろ

1点目の「オリジナリティ」については、『AKIRA』で知られる大友克洋を取り上げて、次のように述べています。

 ただ、ここでちょっと注意してほしいのは、〈模倣〉と〈影響〉とは別ものだということだ。人の作ったものを真似するのは、ただ情けないだけだが、影響を受けるのは、栄養を吸収するのにも似て、それを咀嚼し、次の段階に進むことができる。〈影響〉を否定してしまっては、戦後の漫画は、すべて手塚治虫の模倣である、といういいかただってできる。大友だって、一時期フランスの漫画家メビウスの明らかな影響を受けていた。キャラクターの造形から、線の処理の仕方まで、かなり似たものを描いていた。しかし、それを模倣だと弾劾する人は少なかったと思う。いつだったか、メビウスがキャラクターデザインを担当したアニメーションが池袋の小さいホールで公開された時、それに合わせて彼が来日したことがある。インタビュアーが大友の絵を見せて、あなたの影響を受けている漫画家が日本にもいる、というと、それに応えてメビウスは、私の息子だ、とにっこり笑った。彼が好意でいったのか悪意でいったのか、客席で見ていただけのぼくには知りようもないが、あの時の表情から推測させていただくなら、きっと、彼は喜んではいても怒ってはいなかったと思う。それは、大友に模倣する気持ちがおそらくなかったからだ。
 大友の追随者たちは、いつの間にか、消えてしまった。あんなに大量にいたのに、いつの間にかいなくなってしまった。一部は業界から本当に消え、一部はまたほかの漫画家の模倣に走り、またほんの少数の一部は、自分の絵柄を見つけて自らがオリジナルとなった。つまり、そのほんの小数は、模倣ではなかったのだ。

〈模倣〉と〈影響〉を「どこで見分けるのか」、いしかわさんは「志の貧しい漫画には、貧しい匂いがある」と言っています。わかるような気がします。たとえば、教育実践記録を読んでいると、それを感じるときがあります。先行文献が明示されていないとき、修正追試の内容が曖昧なときなど、先人の業績に対する心配りのない実践記録は「貧しい匂い」がします。いしかわさんが大量の漫画を読みながら「貧しい匂い」をかぎ分けているように、大量の実践記録を読むと、見えてくるものがあるように思います。

2点目の「工夫」については、『伊賀の影丸』などの忍者もの漫画で知られた横山光輝についてです。

 J図1〜3をごらんいただきたい。
 このシンプルな夜景は、横山光輝である。
 まったく見事な月である。絵に描いたような月だ。
 漫画においては、とくに近年、描かれる対象が絵であることを否定しているケースが多い。これはもちろんペンとインクで描いたんだけど、でも絵じゃないからね、という前提がある場合が多い。これは実際のものそっくりに描いたから、ほんとに実際のものだと思って見てね、という意図で描かれることが、実に多いのだ。いかにリアルに見せるか、いかに質感を出すか、本物らしく見せるか。劇画誕生あたりからこっち、漫画はそういう方向に心を砕き、邁進してきた。
 ところが、横山光輝の絵は、見事に簡単である。その上、実にステレオタイプである。どの月を見ても、まるで判で押したように同じである。違うのは、満月か半月か三日月か、というような些細な部分だけである。満月と三日月の違いは些細ではないと思われるかもしれない。しかし、横山光輝にとっては、おそらくそれは、些細なことなのだ。ほとんど同じといっても構わないかもしれない。
 つまり、横山光輝の漫画においては、〈月〉というのは、〈夜〉の印なのだ。現在が夜であるということさえ判ればいいという、一種の記号なのである。

たとえば、実践記録における「教授行為」です。授業者本人は、ついついアレコレの情報を書き込んでしまいがちです。その結果、何がポイントなのか、かえって読者に分かりにくくなってしまうケースが多いです。横山光輝の〈月〉のように、シンプルな記号を心がけるべきなのでしょう。

3点目の「手抜き」については、『ゴルゴ13』で知られる、さいとうたかをが標的になっています。

 図Nを見ていただきたい。これはさいとうの現在の絵である。次に、図Oだ。これは、さいとうの約三十年前の絵だ。書き文字が現在とまったくかわっていないのがわかると思う。
 別に変わらないのがいけないわけではない。同じ場所にあえて留まり、深みを目指してゆくのも、ひとつの方法だと思う。しかし、さいとうたかをはそうではなく、おそらく進歩する気を失ってしまったのだと思う。新しいものを創り出す意欲がなくなってしまったのだと思う。前に進もうという意志が、きっと現在では、なくなっているのだと思う。三十年前に開発したたった一種類の書き文字だけを、いまだに使いつづけているのは、その象徴といってもいいだろう。

「分業体制を敷き、マニュアル化された中で原稿を量産することに専念するうちに、彼は未知の場所に進むことを忘れ、新しいものを創り出すことを怠り、居心地のいい現在に安住するようになってしまった」と、非常に厳しい批判が行われています。教育の世界においても、たとえば、どんなに素晴らしい「教材」を開発したとしても、それだけに固執していてはいけないのでしょう。そうした姿勢は、実践記録においても、さいとうの「一種類の書き文字」のような形で浮かび上がってくるのだと思われます。

4点目の「洋服」については、特定の作品を取り上げることなく、「ファッションという概念が存在していなかった」漫画家の意識を批判しています。

 ちょっとそのへんにある漫画誌を拡げていただきたい。そして、登場人物の着ている洋服をチェックしてみていただきたい。いまだに、敗戦直後のブラウスを着たきりで日常生活を送っているケースが、案外多いことがわかるだろう。そういう漫画を描いている人たちを、どんな正確なデッサンをとっていようが、ぼくは決してうまいとは思わない。
 彼らは、自分の世界をきちんと作っていないのだ。自分が原稿用紙上に創り上げた世界に対して、正確な世界観を持ち得ていないのだ。登場人物たちが、どういう生活を送っていてどういう性格でどんな嗜好なのか、どのくらいの収入でどこにだれと住んでいるのか。そういうことを考えないまま、漫画を描き始めてしまっているのだ。それに加えて、彼らは、自分の生きている現実の世界すら、きちんとは見ていない。自分の机と、その上の原稿用紙以外見ていないのだ。自分の視野以外にも世界が存在していることに、気づいてすらいないのだ。SFでもなければ、漫画の登場人物は、おおむね現代に暮らす人間であるはずだ。それなのに、着ている服は十年も二十年も前のものであったり、どこにも売っていない物だったりしたら、それは決して、優れた漫画でもないし、それを描く漫画家も、優れた漫画家ではありえない、とぼくは思うのだ。

この状況を教育実践記録に当てはめてみましょう。たとえ、優れた授業技術を示しても、時代の要請する「教育内容」とズレていたら、「優れた実践家ではありえない」と言えるでしょうか。

5点目の「動き」については、再び大友が取り上げられています。

 P図を見ていただきたい。やはり日本を代表する漫画家のひとり、大友克洋の力作『AKIRA』の一部だ。ごく大雑把ないいかたをしてしまえば、〈動き〉というのは、ある点から次の点への移動だ。あるいは、ある時間からある時間までの経過だ。それをどう描くかが、漫画家の腕の見せどころなのだ。
 まず、大友は、P1で相手を殴る直前を描いている。そして、そのあと、P2で殴った直後を描く。インパクトの瞬間を省略しているのだ。すると、読む側はP1からP2に視線が移る瞬間に起きたはずのことを、自分で補って進む。それは拳が相手に当たって、エネルギーが殴った側から殴られた側に移る瞬間だ。それがかなり大きいものであったことは、P1で、体を充分ひねっているところを見せているし、P2でも、殴られた相手が斜めに大きくバランスを崩しているから、想像することはたやすいだろう。これで、少ないコマで効果的に、凄いパンチが繰り出されたことを表現できた。

「パンチ」を教育に当てはめるのは適当ではないかもしれません。けれども、「相手を殴る直前」を教師の指導、「殴った直後」を学習者の反応に置き換えてみましょう。実践記録において「学習者」の変容をハッキリと示すためには、「少ないコマで効果的に、凄いパンチが繰り出されたことを表現」する必要があるのではないでしょうか。

以上、漫画の読み方における「オリジナリティ」「工夫」「手抜き」「洋服」「動き」の5点については、教育実践記録においても応用できそうな気がします。ちょっと面白い観点です。

なお、本書は『漫画の時間』(新潮OH!文庫)としても刊行されています。たとえ、それほどの愛好者でなくても、ついつい紹介された漫画を手に取ってしまいそうです。気軽に読めますが、奥が深い1冊です。

漫画の読み方
 青い鳥はどこにいる
ユートピアで暮らすこと
 深谷かほる『エデンの東北』
対極のふたり
  はた万次郎『ウッシーとの日々』
 神田森莉『怪奇カエル姫』
彼女の愛の冒険
 やまだないと『青空のマリィ』
静かに満ちる熱を見ろ
 谷口ジロー『餓狼伝』
ああこの暴走するデータ量
 寺島令子『墜落日誌』
 鈴木みそ『あんたっちゃぶる』
 桜玉吉『しあわせのかたち』
世界には、果して意味があるか
 町野変丸『少女カオス』
彼の住むべき場所
 もりやまつる『天上天下唯我独尊』
水木しげるの新しい息子
 『地獄童子』
叙情の向こうに絶望が見える
 西原理恵子『はれた日は学校をやすんで』
本流か傍流か、この明快な奇矯
 山口貴由『覚悟のススメ』
大韓民国は秘境か
 湯浅学・船橋英雄・根本敬『ディープ・コリア』
目を閉じればアガペーが見える
 田亀源五郎『嬲り者』
ビッグ・マイナーの潜む場所
 吾妻ひでお『夜の魚』
彼らの普通の生活
 榛野なな恵『Papa told me』
苦しみつつ進め
 唐沢なをき『鉄鋼無敵科学大魔號』
巨人の悲劇
 梶原一騎・川崎のぼる『巨人の星』
怖るべし、天才の一歩
 いしいひさいち『となりのやまだ君』
怪人楳図はためらわない
 楳図かずお『14歳』
少女漫画の一番良質な部分
 小橋もと子の漫画
美しい人生に涙しろ
 業田良家『自虐の詩』
泥沼に、マグマが煮え立つ
 桜井昌一『劇画風雲録 ぼくは劇画の仕掛人だった』
美しくぼんやりとした精神
 岩館真理子『冷蔵庫にパイナップル・パイ』
彼が幸福な理由
 浦沢直樹『MASTERキートン』
欠落を求めて、街へ
 桜沢エリカ『世界の終りには君と一緒に』
千人が語れ、千人の哲学
 東本昌平『キリン 』
朝倉は荒野を目指す
 朝倉世界一『アポロ』
大したもんなんだもんね
 東海林さだお『新漫画文学全集』
彼女たちの奥の奥
 岩館真理子・小椋冬美・大島弓子『わたしたちができるまで』
闘争・勝利・敗北
 西村繁男『さらばわが青春の「少年ジャンプ」』
少年少女は、河淵に立つ
 岡崎京子『リバーズ・エッジ』
正々堂々たる闘い
 ちばあきおのこと
勝ったのは誰か
 内田春菊『ファザーファッカー』
屹立する異形のもの
 寄生虫『モンスターロード』
この男の強情なケレンを見ろ
 若林健次『ドトウの笹口組』
地味な彼の地味な作風
 吉田象二『天下の公務員』
閉塞を打ち破るもの
 かわぐちかいじ『プロ』
ああ、常軌を逸してくだらない
 福原豪見『アイドル製菓のオマンじゅう』
悪の帝王は愛に溢れる
 西風『GTロマン』『LAST MOMENT』ほか
見事なズレ、もっと見せておくれよお
 安井雄一『ちょんまげがいっぱい』
彼の強力な武器
 村田ひろゆき『ころがし涼太』
この過剰で完璧なナルシズム
 宮谷一彦『肉弾時代』『肉弾人生』
親方の余技に驚く
 ピエール・ナメダルマンの突撃潜入オチュケベルポ!
どこへいくんだ望月
 望月峯太郎『バタアシ金魚』
難あり、説得力もあり
 古沢優『たいまんぶるうす』
スキャナーの向こうにあるデータ
 山本直樹のエロ漫画
おとこ一途のこころ意気
 村上和彦『任侠・盃事のすべて—現代ヤクザ道入門』
愚かだぞ柴門ふみ
 漫画論をめぐって(1)
愚かだぞ柴門ふみ
 漫画論をめぐって(2)
濃厚だぞ、オタクの女王
 水玉蛍之丞『こんなもんいかがっすかぁ』
曖昧にして上品
 南伸坊『CHINA FANTASY』
ああ青春の血はふぬけ
 すのうちさとる『さすらいの調理師』
ある編集長の独白
 漫画誌『アクション ラボ』
この天を駆ける想像力
 三浦建太郎『ベルセルク』
自由への、ちょっと辛い航海
 ハロルド作石『ゴリラーマン』
少女はなにを求めるのか
 内田春菊『水物語』
落としたのは誰だ
 『アクション ラボ』校了
美しいものが好き
 寺田克也『ちょっとフルくてイイくるまにゃのらずにいられないっ!』
沖縄からの風が、のんびりと吹く
 大城ゆか『山原バンバン』
悔しくて、偉い
 とり・みき『遠くへいきたい』
愛がなくちゃね
 高岡凡太郎『ムスメ日記』
彼の一番の魅力
 木崎ひろすけ『GOD-GUN世郎(ゼロ)』
けれんにして王道
 ほりのぶゆき『もののふの記』
愛に問題を抱える
 原律子『改訂版大日本帝国萬画』
驚くべき、この壮大な空虚
 山上龍彦『太平』
彼らの、ちょっとした悪意
 森下裕美『ここだけのふたり!!』
辿るべき苦難の道
 水木しげる『ねぼけ人生』
二人羽織のゆくえ
 泉昌之『プロレスの鬼』
親に毛嫌いされた不健全さ
 吉田戦車『鋼の人』
島本の過激な愛情
 島本和彦『燃えよペン』
普通の犬
 内田かずひろ『シロと歩けば』
時代と寝た男
 鴨川つばめ『マカロニほうれん荘』
ヒットの理由
 小林まこと『I am マッコイ』
彼の無知と無神経を憐れむ
 漫画賞の話
未成年、瑞々しくやるせない
 土田世紀『未成年』
驚天動地のいい加減
 みなもと太郎『ホモホモセブン』シリーズ
振り返ると恐怖がいる
 諸星大二郎『コンプレックスシティ』
影絵と旅する男
 鈴木翁二『耳』
ちょうどいい異常
 田中圭一『ドクター秩父山』
監督のイメージボード
 宮崎駿『シュナの旅』
花開く
 松苗あけみ『純情クレイジーフルーツ』
怪しい天才ジジイに会った日
 いがらしみきお『のぼるくんたち』
姉ちゃんを描く
 永野のりこ『GOD SAVE THEすげこまくん!』
テーマを掲げろ
 能條純一『月下の棋士』
確信あり
 士郎正宗『アップルシード』
ぎらぎらと突出する欲望
 どおくまん『暴力大将』
本当に怖いもの
 杉浦日向子『百物語』
神の目が見る
 岸大武郎『恐竜大紀行 完全版』
彼のこだわるもの
 上條淳士『SEX』
王道の俗の俗
 岩谷テンホーの4コマ漫画
原子炉は暴走するか
 松本大洋『青い春』
増幅された悪意
 御茶漬海苔の恐怖漫画
日本一可愛い少女
 青木光恵『えっちもの』
りんちゃんの輝く人生
 犬丸りん『なんでもツルカメ』
ぼくの賢明な選択
 けらえいこ『セキララ結婚生活』
ミスマッチの幸福な成果
 喜国雅彦『傷だらけの天使たち』
超愛のドキュメンタリー
 成田アキラ『テレクラの秘密』
キャリアの果てに愛を見た
 かざま鋭二『風の大地』
水丸はなにを捨てるか
 安西水丸 『青の時代』
埋葬された真実
 梶原一騎の死
あとがき

『子どもの本の新しい読みかた』 [書籍]


子どもの本の新しい読みかた

子どもの本の新しい読みかた

  • 作者: 田中 孝彦
  • 出版社/メーカー: 大月書店
  • 発売日: 1989/06
  • メディア: 単行本


上條晴夫さんの『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』(学事出版)に紹介されている本です。

「はじめに」において、この本の意図が「三つの観点」から示されています。

 一つは、子どもたちが読んでいる本、おもしろがっている本に着目し、検討すること。私たちは、それぞれがかかわっている現場——高校、学童クラブ、図書館など——や子育ての中での、具体的な子どもと本との出会いを取りあげ、本が子どもにとってもつ意味を考えた。現実に子どもがおもしろがっている本、人気の高い本は、児童文学という枠やこれまでの評価にとらわれず、まず読んでみた。そして、子どもたちがどう読んでいるのか、何が子どもをひきつけているのかを探り、おもしろさの質を検討した。
 二つ目は、私たちおとなが、子どもにぜひ読んでほしい、子どもとともに読みたいと思う本を取りあげること。私たちは、このことも離さず堅持してきたつもりだ。人間的自立、戦争など、今日直面している課題を、私たち自身が問い直しながら、世代をこえて共有し、子どもたちとともに考えていきたいと思うからだ。次の世代を担う子どもたちへの期待をこめて。
 三つ目は、私たちおとなの子どもを見る目を豊かにすること。このことは、先の二つの観点を深めるためにも不可欠だ。そのため、取りあげる本を、子どもの本だけでなく、児童文学の周辺、さらに、おとな向けの本にまで広げていった。そして、その中に描かれている子どもを手がかりに、自分の子ども時代をふりかえり、あるいは子どもの目を通して描かれるおとなの姿と自分とを照らしあわせてみた。また、作家の時代認識や子ども把握の模索をたどりながら、今の子どもをとらえる手がかりを探ってみた。

「子ども」「おとな」「本」、それぞれを中心にしたテーマで章立てされています。『教育』誌に連載されていただけあって、オーソドックスなものも多いです。それでも、第1章「子どもが読んでいる本」で積極的にマンガが取り上げられているのは特徴的です。こうした点に「新しい読みかた」が表れていると言えそうです。

はじめに
Ⅰ 子どもが読んでいる本
 1 とにかく人気─楽しみ、おかしみ、笑い
  (1)ベストセラー『ノンタン』絵本をめぐって
  (2)「うんち」「おしっこ」への興味
  (3)『11ぴきのねこ』たちの魅力
  (4)『ズッコケ三人組シリーズ』の人気と魅力
  (5)『大どろぼうホッツェンプロッツ』─格調高い「ずっこけ」
 2 読みつがれる人気の古典
  (1)『大草原の小さな家』から読みとるもの
  (2)「推理・探偵」ものの人気の変遷
  (3)ホームズとルパンの魅力
  (4)野口英世の真の姿
  (5)松谷みよ子「モモちゃん」シリーズを読む
  (6)寺村輝夫の王さまシリーズ
 3 いま思春期の少女の求めるもの
  (1)少女マンガについて
  (2)冴えない中年男性にひかれる少女たち─赤川次郎を読む
  (3)古くて新しい少女の悩みを描く氷室冴子
  (4)新井素子を読む
  (5)少女マンガ『ホットロード』
 4 やっぱりマンガはおもしろい
  (1)マンガと歴史
  (2)『風の谷のナウシカ』
  (3)『アドルフに告ぐ』
  (4)『源氏物語』をマンガでよむ
 5 暮らしの中でいっしょに読む
  (1)『はせがわくんきらいや』とMちゃん
  (2)子どもが遊べるあやとりの本
  (3)ことばあそび
  (4)子どもとおとなで『おしいれのぼうけん』を読む
  (5)『さと子の日記』―自分を見つめる
Ⅱ 子どもとともに読みたい本
 1 友だちを考える
  (1)他人をわかっていくことについて
  (2)正義感で行動する子どもたち―『島っ子』
  (3)「いじめ」に挑む―『のんびり転校生事件』
  (4)友人の自殺から、自分の「生」を考える―『だれが君を殺したのか』
  (5)『泥棒をつかまえろ!』を読む
 2 おとなをみつめる
  (1)思春期の子どもへのメッセージ『愛について』
  (2)『銀の馬車』を読む
  (3)老いと死をみつめて─『ヨーンじいちゃん』
  (4)日本のおばあさんたちと子ども─『かむさはむにだ』
  (5)おとなの人生を知りたい子ども─『サティン入江のなぞ』
 3 知的興味にこたえる
(1)『はじめてであうすうがくの絵本』
  (2)『たくさんのふしぎ』の創刊
  (3)子どもの料理の本
  (4)『まんが性教育 からだと心の成長』
  (5)『勉強は何のためにするのか』
 4 世界に眼をひらく
  (1)『マヤの一生』をめぐって
  (2)未来の戦争の危機を感じる子どもたち―『子どもたちの昭和史』
  (3)抑圧される側から―『イシ』に学ぶ
  (4)『アフリカの飢えた子ら』
  (5)『メイドイン東南アジア』
 5 生きかたをさがす
  (1)『おれたちのはばたきを聞け』を読む
  (2)一〇代の若者のための小説―『ジャズカントリー』
  (3)対話の経験として―『君たちはどう生きるか』
  (4)自由・孤独・自立について改めて考える―『自立にむかう旅』
  (5)自立の道を探るために―『ひとすじの道』
  (6)『フランバーズ屋敷の人々』の生きかた
Ⅲ おとなが子どもを考える本
 1 家族の中の子ども
  (1)絵本『おじいちゃん』と『おじいちゃん だいすき』
  (2)『君は海を見たか』の問いかけ
  (3)現代の家族を描く─吉田とし『家族』
  (4)『家族のゆくえ』からの問いかけ
 2 幼年期をさぐる
  (1)生命のいとなみを見つめ、考えるウーフ
  (2)エーミールの「いたずら」とおとなたち
  (3)『子どもの成長と絵本』の特徴
  (4)幼年文学の危機と『日本児童文学』
 3 おとなと児童文学
  (1)いま、冒険物語を読む
  (2)少年期を描いた物語りへの関心
  (3)『銀の匙』の世界
 4 作家の世界をみつめる
  (1)『センダックの世界』
  (2)今江祥智の仕事─『ぼんぼん』
  (3)思春期をみつめて─K・M・ペイトンの世界
  (4)『おばあちゃん』とヘルトリングへの関心
  (5)古田足日『子どもを見る目を問い直す』の時代に迫る勢い
  (6)人間への限りない信頼─最上一平の世界
 5 児童文学の周辺
  (1)笑い話、愚か話
  (2)文庫雑感
  (3)豊かな想像力に根ざして─『ゲド戦記』
  (4)『サラダ記念日』のなかの教師と生徒

『子どもと楽しむ自然と本』 [書籍]




上條晴夫さんの『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』(学事出版)に紹介されている本です。

編者の京都科学読み物研究会では毎月、科学読み物の読書会を行っているそうです。編集責任者の西玲子さんは、9年間続いている読書会の取り組みを、次のように振り返っています。

 読書会は、一冊のよい本を探す、ということから出発しました。たとえば、カブトムシの本はどれを買えばいいのだろうという発想です。出発当時は本も少く、どれも似たような構成のものが何冊かあるという状態でした。しかしそんな中からでも、あるテーマの本を集めて読み合っていくうちに、よい本一冊を選ぶということのまちがいに気づきました。それは私たちが次のように考えたからです。
 ○一冊読んだだけでは、その本の内容を著者の見方で受けとるだけで終ってしまう。問題を感じても、わからないと思っても、その疑問を確め解決しようとする積極的な気持ちが生まれにくい。
 ○同じテーマの本を何冊か読むと、内容の違いに気づく。また著者によって物の見方、問題のとらえ方の違いのあることに気づき、それを話題にすることで、知らず知らずのうちに自分の見方も育っていく。
 ○一冊のなかにすべての事柄が書かれることを求めても無理だろう。たとえ大切だと思われることが述べられていなくても、とらえた問題がまとまっていて読みやすく構成されていればよいのではないか。足りない部分は別の本で読めばよいのであって、いろいろな本を読み重ねて問題に迫るのが本筋ではなかろうか。
 つまり、一冊を選ぶために読み比べるというよりも、何冊もの本のそれぞれの持つ違いを考えながら読み重ねていくと、そのテーマの対象や問題点が、多面的に、立体的に理解できてくるという、当たりまえといえばしごく当たりまえのことに皆が気づいていったのです。

このような読書会を踏まえて、本の紹介が行われています。たとえば、タンポポの場合です。「セイヨウタンポポと日本タンポポ」の違いについては、「総苞外片の形の違いというだけのものではない、と、タンポポの本を何冊も読んで、わかってきた」として、次の本が紹介されています。

『たんぽぽ』金の星社
たんぽぽみつけた』福音館書店
『たんぽぽ』福音館書店
『タンポポ』偕成社
『タンポポ・ヒマワリ』講談社
『タンポポ』岩崎書店
『タンポポ』集英社
『タンポポ』国土社

「一冊を選ぶ」のではなく、「何冊もの本のそれぞれの持つ違いを考えながら読み重ねていく」という姿勢が、このリストにも表れています。科学読み物の紹介のみならず、あらゆる研究の基本姿勢と言えそうです。

序(吉見昭一)
科学読み物で人生を豊かに(鈴木智恵子)
私たちのしてきたこと、考えたこと(西玲子)
第一章 本や草やきのこ
 春の林
 春の野草
 タンポポ
 シダの観察と川遊び
 アサガオ
 芽
 春を待つ木の芽
 芽と根
 身近な草や木
 落ち葉をしらべよう
 キノコ
 キノコ-夏・秋
第二章 環境と生物
 環境と生物 その一
 その二
 その三
第三章 鳥やけもの
 深泥池の水鳥
 深泥池の早春
 渡り鳥
 カラス
 スズメ
 ワシ・タカ類
 イヌ
 動物の冬ごし
第四章 その他の動物
 クモ
 サケ
 カエル
 恐竜
第五章 暮らしにかかわる物
 イネ
 塩
 火
 紙
 住まい
第六章 科学あそび
 音であそぼう
 しゃぼんだま
 ひもであそぼう
 光であそぼう
第七章 地球や星のこと
 雪
 岩石
 石
 地震
 彗星・惑星
今までの読書会・例会
あとがき

『ノンフィクション子どもの本900冊』 [書籍]


ノンフィクション 子どもの本900冊

ノンフィクション 子どもの本900冊



上條晴夫さんの『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』(学事出版)に紹介されている本です。

なぜ「ノンフィクション」なのか。本書の「編集を終わって」において、「全国学校図書館協議会」の「読書調査」の結果をもとにしながら、次のように記されています。

 現代の子どもたちの読書傾向を眺めて気づくのは、「伝記」「日本の歴史」などノンフィクションがかなり多く読まれていることである。
 また、この調査には表れてはいないのだが、子どもたちは、日ごろ「戦争の本」や「スポーツ」「あそび」の本に親しみ、「科学読みもの」や「図鑑」類の好きな子もいる。
 こうした〈楽しみ読み〉のほか、社会科、理科、国語の学習に関連して、〈調べ読み〉で「辞典」「事典」や「年鑑」を利用することも多い。
 このように、子どもたちは、大人の期待とは違ったところでノンフィクションの本に親しみ、利用していることを重視しなければならないだろう。
 私たちは、「子どもの本」を〈森〉として、まとまりを持ったひとつの世界としてとらえようとするとき、これまで軽視されがちであった「ノンフィクション」について関心を持ち、研究をすすめることが必要だと思うのである。このブックリストは、そうした私たちの考え方の表出だということができる。

こうして選ばれたノンフィクションの本ですが、ブックリストになるまでには、かなりの試行錯誤があったようです。それは、次の箇所からもうかがえます。

 「優れたノンフィクションの本」とは何かについて定義するようなことはしなかったが、私たちノンフィクション研究部会がつちかってきた選択眼をあえて文章化するとしたら、次の三項目にまとめられるだろう。
 (1)よく調べ、事実をどこまでも大事にしているか。(事実性)
 (2)記録された事実は、子どもたちの興味や関心にかなっており、子どもたちの成長にとって有意義な感動を与えるか。(教育性)
 (3)表現や構成が巧みで、ていねいで、魅力的な文章や紙面となっているか。(形象性)
 この視点からリストアップされた図書群は、いくつかのグループに分けないと、ノンフィクションの本の全体像がつかみにくいだけでなく、ブックリストの利用上でも不便である。
 そこで、あらためてリストアップされた図書群をグループごとに検討することにした。このグループづくりは、その本が「伝記」なら「伝記」として優れているかという再検討を可能にし、そのグループの図書群のなかでのダブリや不備な点をクローズアップするとともに、分類についても考えさせられることになった。

こうして出来上がったのが、以下の目次に示すような分類です。貴重なブックリストをぜひ、授業づくりに役立てていきたいものです。

なお、本書の増補版『子どもにすすめたいノンフィクション 1987−1996』(一声社)も刊行されています。

刊行にあたって
この本を利用される方へ
社会科読みもの
 社会科読みものの本の概要と評価の目安 上川義昭
 幼児
 初級向
 中級向
 上級向
 中学生向
 シリーズ
歴史
 歴史の本の概要と評価の目安 上川義昭
 上級向
 中学生向
 シリーズ
戦争
 戦争をあつかったノンフィクションの本 津田妍子
 中級向
 上級向
 中学生向
 シリーズ
伝記
 伝記の概要と評価の目安 矢野四年生
 上級向
 中学生向
記録
 〈記録〉を子どもに出会わせるために 沼知方子
 初級向
 上級向
 中学生向
人生
 生きる力を人生の書で 井上洋一
 初級向
 中級向
 上級向
 中学生向
 シリーズ

 生き方につながる性の本 井上洋一
 幼児向
 初級向
 中級向
 上級向
 中学生向
芸術
 芸術の本のすすめ 大塚雅春 小林利久
 幼児向
 上級向
 小学生
 中学生向
 シリーズ
スポーツ
 スポーツの本の現状と課題 野原和男
 中級向
 上級向
 中学生向
 シリーズ
あそび
 研究が待たれるあそびの本 坂内登美子
 幼児向
 初級向
 中級向
 上級向
 中学生向
国語・漢和辞典
 国語・漢字・ことわざなどことばの辞典の特色を知るために 佐々木和子
 上級向
 中学生向
 シリーズ
英和・和英辞典
 英語の辞典について 黒沢浩
 中学生・高校生向
事典
 事典の現状と課題 小林利久
 小学生全
 上級向
 中学生向
 シリーズ
ことば
〈ことば〉の本の種類・内容と課題 渋谷清
 幼児向
 初級向
 中級向
 上級向
 中学生向
 シリーズ
座談会
編集を終わって
執筆者一覧
絶版の本をめぐって
書名索引

『私たちの選んだ子どもの本』 [書籍]




上條晴夫さんの『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』(学事出版)に紹介されている本です。

本書の「はじめに」には、編集方針が次のように示されています。

 リストに収録した作品は389点(638冊)です。それらを、1)幼児 2)幼児から初級 3)初級から中級 4)中級から上級 5)上級から中学 6)中学以上 と、年齢別の六つのグループに分け、グループごとに、書名の五十音順に配列しました。

「もちろん、ある作品の対象年齢を限定することは非常にむずかしく、これはあくまでもひとつの目安にすぎません」とありますが、参考になる分類です。

また、各グループには、それぞれ次の「とびら」の言葉が示されています。

幼児
 子どもが、本(文字)の世界にはいって得る利益は、大きく分けて二つあると思います。一つは、そこから得た物の考え方によって、将来、複雑な社会でりっぱに生きてゆかれるようになること、それからもう一つは——これは前の一つにもまして、だいじなことに思われますが——、育ってゆくそれぞれの段階で、心の中でたのしい世界を経験しながら大きくなってゆかれることです。
石井桃子著「子どもの図書館」(岩波書店 1965)より

幼児—初級
 子どもにとっても、また子どもを導こうとしている親にとっても、知ることより感じることのほうがずっと大切であると、私は心から信じている。事実が知識と知恵を生む種子ならば、情緒や感覚は種子を成長させる肥沃な土壌である。幼年期はその土壌を用意すべきときである。
レイチェル・カーソン「子どもに神秘の感覚を」(「こどもとしょかん」46号 1990.7 東京子ども図書館)より

初級—中級
 赤ずきんちゃんは私の初恋の人だった。赤ずきんちゃんと結婚することができたとしたら、きっと私は完全な幸福というものを知ったことだろう。
チャールズ・ディケンズ“Christmas Tree”(“Christmas Stories”1968)より

中級—上級
 書物のない家庭は、窓のない家のようなものです。なぜなら、本というものは、それを通して、子どもが、知識と経験のより広い世界をのぞき見ることのできるもっとも重要な手段だからです。
アイリーン・コルウェル「コルウェル女史講演録」(東京子ども図書館 1978)より

上級—中学
 どんなにたくさんの金を目の前に積まれても、私は、子ども時代に心に貯えたすばらしい物語の数々を手放そうとは思わない。
マルチン・ルター 出典不明。この文章は、アイリーン・コルウェル著“Storytelling”(1980)にあったものを引用しました。

中学以上
 ある作品に、ことさら“児童文学”とレッテルをはって、それが文学一般とは別のものであるかのような印象を与えるのは、子どもと文学双方にとって我慢のならないことです。いやしくも文学というものであれば、それはそっくり一筋の川の流れにほかなりません。人は、その年令に応じて、大きい足か小さい足を、その流れにひたすのです。
パメラ・トラバース「子どものための本」(「図書」No.246 1970.2 岩波書店)より

 いったい何かの文学作品を読んで、それはどこの世界の話でもいい、とにかく読んだあとで、そのほっとした気持のなかで、自然にわが日本のことが考えられ、わが家のことが考えられ、わが身のことが考えられて、そして何となく、他国もこうなのだナ、よその家族もこうなのだナ、よその人もこうなのだナと考えられ、それにそれぞれの後悔やら、口惜しさやら、よろこびやら、おれもいつまでもこうしてはいられぬゾという気持ちやらにおそわれるとしたら、それはその人がその作品をほんとに読んだ証拠なのであって、それでこそその人はその作品を読んだということになるのだ。
中野重治「スウィフト『ガリヴァー旅行記』」(「中野重治全集第25巻」筑摩書房 1978)より

こうした「とびら」の引用文を選んだ編者の方々の思いが伝わってきます。きっと、リストの本も苦労して選ばれたのだろうと思います。六つのグループごとに示された本のリストを、読書指導に役立てていきたいものです。

『読み聞かせ この素晴らしい世界』 [書籍]


読み聞かせ―この素晴らしい世界

読み聞かせ―この素晴らしい世界

  • 作者: 亀井 よし子
  • 出版社/メーカー: 高文研
  • 発売日: 1987/12
  • メディア: 単行本


上條晴夫さんの『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』(学事出版)に紹介されている本です。

上條さんは、この本の中の「読み聞かせとして『やってほしいこと』三十一項の箇条書き」を参考にしながら、「読み聞かせのための10のコツ」を整理しています。

(1)人の話を聞く技術は後天的であると知ること。
(2)時間が許すかぎり頻繁に行うこと。
(3)絵本から始め、お話の本、小説へと進むこと。
(4)聞き手の興味を宙ぶらりんにするためによい場面で区切ること。
(5)読み聞かせのあとは話し合いの時間をもつこと。
(6)読み聞かせには練習が必要であること。
(7)表情を豊かに読むこと。
(8)ゆっくりした速さで読むこと。
(9)読む本にはあらかじめ目を通しておくこと。
(10)いったん読みはじめた本は最後まで読み聞かせを続けること。

ところで、『心を育てる学級経営』2002年11月号は「『読み聞かせ』で読書好きに導く」という特集ですが、この10項目が編集後記に引用されています。そこでは、ジム・トレリース氏による「読み聞かせ十カ条」となっていますが、正確には、上條さんも明示している通り「三十一項の箇条書き」です。参考のために、以下、すべての項目を引用しておきましょう。

1.読み聞かせはできるだけ早く始めること。幼いときに始めれば始めるほどよい。
2.乳児の言語能力と聴取能力を刺激するために、マザーグースやさまざまな歌を利用すること。単純だが大胆な色使いの絵本も、子供の好奇心や視覚を刺激する。
★3.あなたと子供の時間が許す限り、ひんぱんに読み聞かせること。
4.少なくとも一日に一回は、読み聞かせのための時間を作ること。わが家では寝る前と学校へ出かける前に決めている。
★5.人の話を聞く技術は後天的なものであることを忘れないこと。それは徐々に教え込み、開発してゆくべきもので、一朝一夕に身につけられるものではない。
6.絵本は、聞き手である子供の年齢差が大きくても全員に同時に読み聞かせられるが、小説となるとそうはいかない。子供たちの年齢差が二歳以上の場合は、個別に読んでやった方がはるかに効果的である。そのためには、親の側でもそれなりの努力が必要になるが、その報酬は払った努力に比例して大きくなる。子供一人ひとりの個性を伸ばすことにつながるだろう。
★7.絵本から始め、おはなしの本、小説へと進むこと。
8.本の長さ、テーマに変化を持たせること。
★9.最後まで読むこと。いったんある本を読み始めたら、それを読み続けるのがあなたの責任である。ただし──それがよくない本だとわかった場合は、別である。また、ある章を読んで次の章を読むまでに、三日も四日もあいだを置き、それでも子供の興味が持続されているとは思わないこと。
10.ときには子供の知的レベル以上のものを読み、彼らの知力に挑戦すること。
11.子供の想像力や集中力持続時間がそれに対応できるようになるまで、長々とした情景描写文をそのまま読むのは避けること。部分的に省略したり、長い文を短くするのは悪いことではない。あらかじめ読み手が読んでおけば、どこの部分がそうであるかがわかり、余白に鉛筆で印をつけておくことができる。
★12.読もうとする章が長かったり、毎日一章全部を読む時間がとれないという場合は、次回への興味を持続できるようなサスペンスのあるところでやめること。聞き手の興味を宙ぶらりんにしてやろう。そうすれば、次に読んでもらえるときを、いまかいまかと待つだろう。
13.読み始める前に聞き手が椅子に座り、足をそろえ、話を聞く気になるための時間を、二、三分与えること。小説なら、きのうまでのところにどんなことが書いてあったかを尋ねてもよいだろう。話を聞くには、雰囲気というのも大切な要素になる。「さあ、いましていることをやめて座りなさい! 背中をしゃんと伸ばして、こっちを向いて!」などと威圧的な態度をとられては、聞く気になれない。
14.絵本の場合は、子供が楽な姿勢で絵を見られるように配慮すること。教室なら、子供たちをあなたの周りに半円形に座らせ、うしろのほうに座っている子にも絵がよく見えるように、あなた自身はやや高い位置に座ろう。
15.小説の場合は、あなたも子供もゆったりできる場所を選ぶこと。教室なら、あなたは机の端に腰を下ろしたり、立ったりすることになるだろうが、どちらにしてもあなたの声が教室の隅まで届くよう、頭が子供たちの頭より高い位置になければならない。机の前に座ったり、まぶしい窓の前に立ったりして読まないこと。子供たちの目に無用の緊張を与える。
16.小学校の六年生でも、たまには優れた絵本を喜ぶことを忘れないこと。
★17.読み聞かせのあとは、話し合いの時間を持つこと。本によってさまざまな思い、希望、不安、発見などがかきたてられる。子供にそういう様子が見られたら、それらを口頭で、文章で、あるいは絵で表現させよう。ただし、クイズのように質問を発して子供の理解を試したり、無理に解釈を引き出そうとしないこと。
★18.初めから読み聞かせを自然にできる人は、ほとんどいないということを忘れるな。うまく自然にできるようになるためには、練習が必要である。
★19.表情を豊かにすること。できるなら、会話の内容に合わせて声音を変えること。
20.内容にふさわしいペースで読むこと。サスペンスたっぷりなところはペースを落としてゆっくりと、一語一語を引き伸ばすように読み、相手が思わず身を乗り出すように仕向けること。
★21.読み手が七歳の子供であれ、四〇歳の大人であれ、とかく犯しやすいのは速く読みすぎることである。聞き手が耳から入ってくることを頭の中で思い描けるよう、ゆっくりしたペースで読むこと。子供がせきたてられるような気分で絵を見ずにすむよう、ゆっくり読むことである。あわてて読むと、読み方も表情のないものになってしまう。
★22.読み聞かせの素材にはあらかじめ目を通しておくこと。そうすることで、短縮すべきところ、省略すべきところ、あるいはもっと詳しく説明してやるべきところがわかる。
23.作品だけでなく、その作者にも生命を与えること。図書館で著者の経歴を調べたり、本のカバーについている情報を読んだりしておき、読み聞かせの前、あるいは途中で、作者のことを少し話してやろう。その本が、機械ではなく、人間によって書かれたものだということを知らせるわけである。作者もまた人間であることを知らせるには、子供たち一人ひとりが作者に手紙を書き、その作品についての気持ちを作者と共有できるように仕向けるのも一つの方法である。ただし、その場合には、子供が一人ひとり書くことが大切である。作者はクラス全体としての、分業作業のような手紙は嫌う。『著者について』といった類の本を調べれば、作者の住所がわかるだろう。あるいは出版社気付という形にしてもよい。その際大切なのは、万一著者が返事を書く時間がある場合に備えて、自分の住所を書き、切手を貼った返信用封筒を同封することである。もっとも、子供たちには、作者に手紙を出すのは返事をもらうためではないということを教えておくべきである。
24.可能な限り、本に立体的な広がりを加えること。たとえば、ロバート・マクロスキー『サリーのこけももつみ』(邦訳・岩波書店)を読むときには、いつでも食べられるように皿に入れたブルーベリーを用意しておくとか、同じ作者の『ヒラマメ』を読むときには、ハーモニカとレモンを、リン・レイド・バンクスの『とだなの中のインディアン』のときには、小さなプラスティックのカウボーイとインディアンを用意しておくという具合に。
25.子供が、図書館の本と自分の家の本との区別がつくだけの年齢になっているなら、鉛筆を手に読み始めること。あなたと子供が憶えておく値打ちがあるという文章に出会ったら、余白に小さく印をつけておこう。読み手と本のあいだには相互作用がなければならないが、その一つの方法が美しい文章を認識することである。
26.本が嫌いな子供あるいは異常に活動的な子供は、ただじっと座って聞いていることが難しいことが多いが、そういうときには子供に紙、クレヨン、鉛筆など、聞きながら手を動かせるものを与えよう。
27.キャロライン・バウァー博士の提言を入れ、戸口に“非常時用の本を忘れるな”というメモを貼っておくこと。自然災害時の非常用食糧からヒントを得て、非常時用の本を車に持ち込もう。ときには、スペアタイヤよろしくトランクに何冊か常備しておくのもよいだろう。たとえば海水浴への途中で交通渋滞に巻き込まれたとか、歯医者での待ち時間が長いときなどに活用できる。
28.父親は特に子供への読み聞かせ努力をすること。小学校教師の九八パーセントが女性だということもあって、年のいかない男の子は、とかく本といえば女性と学校に関係あるもの、と考えがちである。しかも同じように残念なことに、世の父親には、息子を図書館に連れていくところよりも、道端でキャッチボールをしているところを見られたがる傾向がある。読書力補強指導クラスのほとんどが男の子なのは、偶然ではない。父親が早い時期に本や読み聞かせにかかわれば、男の子の考え方の中で本の地位が、少なくとも野球のグローブやホッケーのスティックと同じ位置にまで引き上げられることだろう。
29.子供がテレビの前で過ごす時間を制限すること。テレビの見過ぎは習慣になるし、子供の発達によくない影響を与える。
30.教室、家庭を問わず、毎日子供が自分で本を読む時間を決めてやること(たとえその“読書”がページをめくり、絵を見ているだけでもかまわない)。いくら読み聞かせをしても、子供がそれを実践に移す時間がなければ、無駄になる。
31.手本を見せること。読み聞かせのとき以外にも、あなた自身が楽しみのために本を読んでいる姿を見せること。読み聞かせの素材が何であれ、その素材に対するあなたの熱意を子供と共有すること。

このうち★をつけたのが、上條さんが「読み聞かせのための10のコツ」として選んだ項目です。上條さんは学校における読み聞かせを中心に考えて★の項目を選んだことが推察されます。★以外は家庭における読み聞かせに関わる項目なのですが、これらについても意識しておくべきでしょう。

たとえば、6です。小説の読み聞かせは「子供たちの年齢差が二歳以上の場合は、個別に読んでやった方がはるかに効果的」とあります。しかし、同学年の子たちが集まる教室においても、それぞれの読む力は、かなり差があります。そうすると、「絵本は、聞き手である子供の年齢差が大きくても全員に同時に読み聞かせられる」という指摘を参考にした方がよいのかもしれません。

7の「絵本から始め」、16の「小学校の六年生でも、たまには優れた絵本を喜ぶ」などを見ても、学校における読み聞かせは、絵本を中心に考えてもよさそうです。上條さんも『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』で「読み聞かせ—絵本—」という項を立てています。絵本の効果的な活用法を考えてみたいです。

序・いまなぜ「読み聞かせ」なのか
 アメリカ建国以来の危機
 ある小学校での経験
 無意識の“コマーシャル”
 劇的に減った読書量
 この本が誕生するまで
 この本に書かれてあること
 ある母親からの手紙
 ある小児科医の“発見”
 必要なのは「時間」と「興味」だけ
1 教育の危機のなかで
 コマーシャルの“公式”
 テレビ漬けになった子供たち
 危機に立つアメリカの教育
 ひろがる凡庸化症候群
 マクドナルドに学ぼう
 技術よりも大切なもの
 ハラハン先生の教訓
 フィクションはなぜ素晴らしいか
 横行する「魂の殺人者」
 読み聞かせが育てる言語能力
 危機脱出への道
Ⅱ いつ読み聞かせを始めるか
 意味はわからなくても“声”はわかる
 クシュラの“奇跡”
 お手本がいるのと、いないのと
 無理じいが招く害
 あるおばあさんと孫の場合
 子供が物事に集中するとき
 早くから読める子を生む家庭環境
 「時間がない」といういいわけ
 ベスが隠していた秘密
 新学期第一日目から始めよう!
 読み聞かせこそカリキュラムだ
 読む力を育てる法則
 教師に問われるもの
 思春期の子に読み聞かせをするには
 マリガン夫人の経験
 大作家を育てた恩人
Ⅲ 読み聞かせの階段
 最新の赤ちゃん研究が教えるもの
 わらべ歌による言葉のレッスン
 絵本を選ぶときの注意
 幼児に愛された絵本の運命
 紙の“安心毛布”にこめられた愛
 “経験の銀行”と読み聞かせ
 一日の中でいつ読み聞かせをするか
 子供の成長に合わせて
 言葉のない絵本の効用
 ユーモアと冒険心を育てる本
 人生の真実を教えるおとぎ話
 物語の英雄像に体現された価値あるもの
 自分自身を発見するための物語
 絵本に“卒業”はない
 集中力持続時間を伸ばしてゆくステップ
 短編から長編小説へ
 長編小説に事前チェックが必要なわけ
 妻スーザンの経験から
 『先生殺人事件』で中学生の心を魅了した女教師
 子供の“実態”に合わせた本選びを
 ユーモア小説も、新聞のコラムも
 目先を変え、バラエティー豊かに
 心の傷を癒す本
 子供は詩が嫌いという迷信
 言語感覚をみがく訓練としての詩
Ⅳ やってほしいこと・やってはならぬこと
 やってほしいこと
 やってはならぬこと
Ⅴ 家庭と学校を結んで
 「共育」こそ最上の教育
 図書館に贈る誕生日の一冊
 地域から読み手を募集した女教師
 校長が先頭に立つ読み聞かせ運動
 上級生が下級生に読み聞かせをする!
 読み聞かせデラウェア
 コンピューターにできないこと
 “せきたてられる子供”の悲劇
 読書力補強クラスに男の子が多い理由
 父親の子育てに望むこと
Ⅵ テレビをめぐって
 「コンセントにつながれた麻薬」
 テレビがもたらしたもの
 読書の対極にあるテレビ
 テレビは質問と会話を奪う
 テレビは子供から思考を奪う
 テレビは子供を学習から遠ざける
 テレビは想像力を奪い、感受性を麻痺させる
 テレビは遊びを奪い、“子供時代”を奪う
 テレビは偽りの観念を植えつける
 ウッド家の“法律”
 わが家のたたかい
 テレビをコントロールするまで
 “夢をみる力”が人を救う
 “空想”は進歩の原動力
 “コンセントを抜こう”運動の波紋
 ビデオ時代の新しい可能性
 カセットテープで高められる聴き取り能力
 カセットは“声を出す本”
 愛をはこぶカセットテープ
Ⅶ 「黙読の時間」のすすめ
 一日一〇分の「黙読の時間」の成果
 読まなければ、読めなくなる!
 マクラッケン夫妻の「黙読の時間」四原則
 養護学校での驚くべき経験
 最も効果的な学校ぐるみ「黙読の時間」
 「本を読む教師」が「本を読む子供」を育てる
 家庭での「黙読の時間」のすすめ

『ブックトーク入門』 [書籍]




上條晴夫さんの『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』(学事出版)に紹介されている本です。

「ブックトークとは」何か、永井悦重さんはストーリーテリングと対比しながら次のように述べています。

 ブックトークとは、あるテーマにしたがって、何冊かの本を順序だてて紹介することである。もともと、アメリカから入ってきた図書館の用語であり、アメリカ、カナダ、ドイツ、ソ連などの学校図書館では、日常的に行なわれているようである。ブックトークの目的は、読書意欲をよびおこすことにあり、ストーリーテリング(おはなし)や読みきかせなどとともに、図書館の重要な働きの一つとなっている。
 ストーリーテリングとブックトークの違いを簡単に述べるなら、次のことがいえるだろう。
 ストーリーテリングは、それ自体、お話として芸術的に完成されたものであり、語りを楽しむという要素が強い。大人ももちろん楽しめるが、幼児・小学生が主たる対象者である。
 ブックトークは、ブックトーク自体を楽しむのではなく、聞き手を読む気にさせることによってその目的を達成する。小学生から大人まで、対象は制限がない。

このような取り組みの実例が「ブックトーク・ストーリー」として示されています。その中から、米倉弥生さんのブックトークを見てみましょう。

テーマ「むかしからずうっと」対象・小4・国語
   (1)『歌あそび秋・冬』
   (2)『岡山県につたわるこどもの遊び』
   (3)『だいくとおにろく』
   (4)『ヘンリーくんと秘密クラブ』
   (5)『世界の祭り(祭りと生活)』
 今日は、国語で「遊び歌」を習ったところなので、遊び歌のように昔からずっと今まで伝わっているいろんな事について書かれている本を、みんなに紹介してみたいと思います。
 みんな、国語で「遊び歌」を習ったけど、教科書に出てきた以外でどんな歌を知ってるかなあ? この『歌あそび秋・冬』〈本を見せる〉という本には、先生がみんなくらいの年のころに歌って遊んでいた曲がたくさん載っています。ちょっと歌ってみようか。みんな知ってるかな。〈「とおりゃんせ」120ページ、「あんたがたどこさ」124ページ、「すいずいずっころばし」132ページ、「はないちもんめ」138ページなどを歌いながら紹介する〉この本には、ほかに絵かき歌も載っています。この中の一つをみんなで描いてみましょう。〈「かわいいコックさん」146ページを歌いながら描く〉ほかにもまだたくさん載っていますから、おもしろそうだなあと思った人は、また、あとで見てください。

冒頭1冊分しか引用していませんが、ブックトークの雰囲気は伝わると思います。このようなブックトークの「ストーリー」や「プラン」が豊富に紹介されています。20年以上前の文献なので、紹介している本の情報は少し古いのですが、現代風にアレンジすれば、充分に活用できる手法だと思われます。

まえがき
Ⅰ 学校図書館におけるブックトーク(永井悦重)
 ブックトークを知っていますか
  ブックトークとは
  ブックトークのテーマと本の選び方
  ブックトークの実際
  私のブックトーク
 学校図書館と司書の仕事
  真夜中の電話——Tさんのこと
  資料はどこまでも追求します
  学校図書館の役割とブックトーク
 ブックトークの成果と課題
  ブックトークと貸出し
  学校教育とブックトーク
  ブックトークと教科の結びつき
Ⅱ ブックトーク実践記
 初のブックトークを試みて(後藤敏恵)
 ブックトーク模索記(加藤容子)
 外へ出かけてブックトーク(宇原郁世)
Ⅲ ブックトーク・ストーリー
 さあ、やってみよう
  自由への長い道
  図書館案内——残り物に福あり
  人が人であること
  むかしからずうっと
  “三人の旅人”から出発進行!! さあ旅に出かけよう
  うまれて、育って
  こわいこといろいろ
Ⅳ ブックトーク・プラン
  あら、あら、ふしぎ?
  あの日のできごと
  生きるということ
  生きることの意味
  いつも読みかけの本を
  今、祈りをこめて
  今、女の子として——将来のために考える
  いろいろあるんだ仕事
  いろんなオニあつまれ
  海——東西をつなぐもの
  海へ挑戦しよう
  お母さんという人に
  おとなになれなかった子どもたち
  言葉は魔術師
  こわいこといろいろ
  こわいのは幽霊だけじゃない
  さあ、クリスマス!
  寒くなったら……
  寒くなったら……
  知っていこう修学旅行
  自由への長い道
  ショック!身のまわりの変化
  食べるのが怖い!!
  力・チカラ・ちから
  中学時代は可能性がいっぱい
  動物の心を知ろう
  時を超えて
  図書館案内——残り物に福あり
  飛べ飛ぶ飛べば
  ともだちできた?
  夏休みだから博士になろう!
  二十一世紀は警告する!
  2001年を目指して
  人間なんて知らないよ!
  春はそこまで……
  ハレー彗星がやってくる
  人が人であること
  ふしぎなおはなししようかな?
  ふしぎなきつね
  ぼくがぼくであること
  本ってなに?
  みんな、赤ちゃんだった
  わたし本がよめるの
  英語好き〜ですか?
  "He don't come here"という英語があった!?
  たのしもう、うたとがっき
  ゆかいなコンサート
  「ピアノの詩人」を知っていますか?
  “三人の旅人”から出発進行!! さあ旅に出かけよう
  むかしからずうっと
  今はむかし
  生活の中の機械
  うまれて、育って
  世界はひろいよ
  北海道ってどんなところ
  食べる日本史、江戸時代の人は何を食べていたのか
  0、1、2……数はふしぎ!
  これでも数が苦?
  青空にスケッチ
  感じとろう“美しさ”を!
  ひみつのとっくん
  自分のからだのことよ〜くしっている?
  スポーツはドラマだ!
  草と木と人間と
Ⅴ ブックトークをささえるもの(宇原郁世)
  目と声で子どもをとらえる
  ブックトークをあたりまえの仕事に
  学校司書の専門性を求めて
  ひとりぼっちにならないで
〈解説〉いま、図書館で一番大切なこと(森崎震二)
参考文献
あとがき

『朝の読書が奇跡を生んだ』 [書籍]


朝の読書が奇跡を生んだ―毎朝10分、本を読んだ女子高生たち

朝の読書が奇跡を生んだ―毎朝10分、本を読んだ女子高生たち



上條晴夫さんの『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』(学事出版)に紹介されている本です。

「編集部まえがき」において、「朝の読書」が生まれた経緯が次のように書かれています。

 この本は、副題のとおり「毎朝10分、本を読んだ」女子高校生たちの記録です。彼女たちがかよった学校は船橋学園女子高校。千葉県船橋市にあります。
 この学校で「朝の読書」が始まったのは、一九八八年。実践に踏み切るまでのいきさつは、第Ⅱ章でくわしく述べられますが、この実践のアイデアが生まれるのには、実は実践の先導役をつとめたA先生と一冊の本の「出会い」がありました。その「出会い」がなければ、この実践もなかったといっても言い過ぎではないと、A先生自身がいいます。
 一冊の本とは、一九八七年一二月に高文研で出版した『読み聞かせ——この素晴らしい世界』です。著者はジム・トレリース氏、アメリカでベストセラーになった『ザ・リード−アラウド・ハンドブック』の邦訳(亀井よし子訳)でした。

A先生が注目したのは、この本の最終章で取り上げられている「黙読の時間」でした。次の引用が示されています。

『読み聞かせ——この素晴らしい世界』に述べられている「黙読の時間」の四原則(二六一ページ)は、次のようなものである。
 1.一定の時間だけ、読ませること。教師や親はそれぞれのクラスや家庭に「黙読の時間」を導入し、子供の熟達に応じて調整すること。教室の場合は、一〇分ないし一五分が望ましい。
 2.読むための素材は子供自身に選ばせること(本、雑誌、新聞など)。その時間内は、ほかの読み物と取り替えないこと。素材はすべて事前に選んでおくこと。
 3.教師や親も、読むことで手本を示すこと。これは何よりも大切なことである。
 4.感想文や記録のたぐいはいっさい求めない。

「黙読の時間」については、『読書はパワー』(スティーブン・クラッシェン著、金の星社)でも「生徒と教師が毎日、5分から15分の短い時間、ただ自由に読書する」プログラムが紹介されています。

また、「黙読の時間」の四原則については、『子どもを本好きにする読書指導50のコツ』において、上條さんは「時間と場所」の制約をポイントに挙げています。 その後、「朝の読書」は全国的に広がり、その成果は『続 朝の読書が奇跡を生んだ』(林公+高文研編集部編、高文研)にもまとめられました。 「朝の読書」が提唱されてから20年近くになりますが、「黙読の時間」の四原則を踏まえながら、粘り強く実践を続けていく必要があるのかもしれません。 編集部まえがき Ⅰ 本好きになった生徒たち Ⅱ 「朝の読書」にたどりつくまで  1 教師たちの暗中模索  2 『読み聞かせ』との出会い  3 全員の合意を得るまで  4 “建学の精神”と「読書」 Ⅲ 教師たちはどう考え、どう実践したか  初日から静寂だった「読書の時間」  どんな時に困ったか…  本を忘れた生徒には…  本が生徒を育ててくれる  本が“誇り”を取り戻させてくれた!  最初は「強制」でも…  「朝の読書」のうれしい収穫  生徒への信頼から出発したい Ⅳ 三年一組全員の「朝の読書」感想  全校で読んでる、これはスゴイこと!  学校に来て、いちばんうれしい時間  マンガばかりの私が、信じられない変身  本は人間の心、こんなに勉強になるとは  本棚にマンガ以外の本が並んだ!  むずかしい語句も覚えようと努力  「強制」されたからできた、スゴイ体験  社会に出てからも読みつづけたい  さし絵なしの本は読めなかった私が…  この時間がなければ読まなかった  慣れるまで朝の10分は長かった  この学校を受けたのは「読書の時間」があったから  本は大嫌い、マンガも読まない子  つい授業中まで読みたくなってしまう  私を変えた心に残る本『モモ』  今まで寝てた電車の中が「読書の時間」  私の進路は南方熊楠との出会いから  高い本代、学級文庫をもっと充実して  中学で部活の三年間、読書を忘れていた  もっと広めてほしい、図書館の利用法  むずかしい漢字が読めるようになる喜び  『ベトナム難民少女の十年』に感動  私の朝が“おだやかな感じ”に変わった  他校の友達にうらやましがられた  一日の授業より大きな意味があったかも  新しく買う本の傾向が変わった  三年間で読んだ本は百冊くらい!  本を借りて読むと、感想言いあえるのがいい  社会に出ても常に本を持ち歩きたい  どうしたんだろう、本嫌いの私が…  習慣ってスゴイ、10分が短く感じる  小・中とも「宿題」の本しか読まなかった私が…  三年間の読書で家の本棚はいっぱい  何度も読んだ『ロックよ、静かに流れよ』  これからもずっと「朝の読書」はつづけて  10分も集中して読めるなんて大成長  外出する時は常に本を持ち歩く習慣が  おもしろかった本は友達同士で回し読み  本を読むスピードが速くなった  心に残る本との出会いはまだこれから  小・中で本を読まなかった時間を取り戻したい  本に熱中して、頼まれたことも忘れるほど  最初は眠気に襲われて大変だった  私には得ることのなかった「朝の読書」だけど…  強制的にでもやってもらってよかった
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