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『小学生の作文教育 4・5・6年』 [書籍]


小学生の作文教育 (4・5・6年) (現代言語表現シリーズ (3))

小学生の作文教育 (4・5・6年) (現代言語表現シリーズ (3))

  • 作者: 小林 喜三男
  • 出版社/メーカー: 明治図書
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: -


大内善一さんは『作文授業づくりの到達点と課題』の「まえがき」において、「作文授業における研究を組織的に行ってきた『日本作文の会』『児童言語研究会』『文芸教育研究協議会』における実践については、先に公にした『思考を鍛える作文授業づくり』の中で検討を加えている」と述べています。そこで、これらの団体の主要な著作を概観していくことにします。

「児童言語研究会」に対して、大内さんは『思考を鍛える作文授業づくり』で次のように述べています。

 「児言研」の「作文指導系統案」は「文章表現の系統的指導」表として作成されている。この表は、小学校一年生から六年生までの作文能力の発達の道筋を、「主な外的行為」と「能力開発の作文行為」という二種類の行為を段階的に位置づけることによって提示したものである。
 この系統指導表は、「日本作文の会」の系統表の検討を踏まえ、さらに、ソビエトの教育心理学者ヴィゴツキー、レオンチェフ、ガリペリンらの理論に学んで、文章表現指導を中核に据えて作成されたものである。
 この試みは、「作文指導系統案」づくりに関連諸学の成果を導入したものとして注目に値する。特に、ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」の考え方の援用、レオンチェフやガリペリンの知的行為形成の理論を援用して外的行為の「心内化」したものが「思考」である捉え、具体的な作文学習行為を思考と結びつけて捉えているところなどに注目させられる。

大内さんが取り上げている「文章表現の系統的指導」表は、本書に掲載されています。「主な外的行為」は「指導の手だて」、「能力開発の作文行為」は「指導事項」と説明されています。表に示された二つの観点の項目(ア)〜(ツ)を引用してみましょう。

〔主な外的行為〕           〔能力開発の作文行為〕
文章図・文カード使用      (ア)文意識をもって話し・書かせる
主語カード使用         (イ)主・述意識をもって話し・書かせる
文カード・主語省略文カード使用 (ウ)一文一文につけ加え文をつけて話し・書かせる
話題文カード・文カード使用   (エ)最初に話題文→後を話し・書かせる
トピックを三つ挙げ一つを選ばせる(オ)トピックを選んで話し・書かせる
赤カード使用          (カ)気もちを入れて話し・書かせる
段落カード・文カード使用    (キ)段落意識をもって話し・書かせる
おしひろげ表・とりまとめ表使用 (ク)内容を予想してから話し・書かせる
副題づけ            (ケ)主題意識をもって書かせる
枚数制限・行数制限       (コ)略叙・詳叙を意識して書かせる
相手をAとして発問させる    (サ)相手にわかるように意図して書かせる
カード分類・構想        (シ)相手の質問を推量して説明文を書かせる
多価的考え方・確信度表現    (ス)誤りなく・正しく相手に伝えさせる
列挙表→分類表→構想表     (セ)列挙・分類し段落を構成して書かせる
起承転結、「転」から書かせる  (ソ)構成がえして事柄の核心から書かせる
構想A・構想Bの比較      (タ)構想A・Bをつくり、一つを選び書かせる
三人称で自己の言行を書かせる  (チ)自己の言行を客観化して書かせる
紙上討論            (ツ)自説に対して反論を書かせる

この系統指導表は、さらに項目(ア)〜(エ)が1年、項目(オ)〜(キ)が2年、項目(ク)〜(コ)が3年、項目(サ)〜(ス)が4年、項目(セ)〜(タ)が5年、項目(チ)〜(ツ)が6年のように分けられています。そして、「各学年の指導主目標」はが次のように立てられています。

 一年「文意識をもって記述できる能力」
 文章表現は、文・文・文……とつなげていって、ひとまとまりの想を展開していく。主部→述部の対応、前文→後文の対応をきちんとできる能力をつけること。反映能力づくりの基礎となるのであるから。
 二年「段落意識をもって記述できる能力」
 子どもが体験したことがらは、時間的継起の順に、いくつかの部分に分割することができる。分割させることによって、諸部分は鮮明な対象になる。段落意識は思考の整理意識である。これも反映能力づくりの基礎と考えた。
 (以上、低学年は、反映能力の基礎づくり期に位置づけた。この基礎づくりによって、「部分的分析→一面的総合」の、低次な段階の脱皮を図ることができる)
 三年「主題意識をもって記述できる能力」
 思考の整理意識によって、整理された対象には副題がつけられる(副題とは、子ども側による主題の命名)。副題をつけて表現させると、それがまた反作用して、対象の整理(分析・総合)もより密になる。主題意識をもって記述させることは、反映能力づくりの欠かすことのできない必要条件の一つである。
 四年「相手を意識して記述する能力」
 主題意識は、読み手を意識して表現させることによって、よりいっそう鮮明なものにすることができる。語えらびひとつにしても、読み手に誤解されないように慎重になされる。また、自分はこういう意見をもっていると思っていたことも、読み手を意識して慎重に記述していく過程でフィードバックが行われて、先入観念が変革されることも生じる。
 (以上、中学年は、主題意識の確立・強化期に位置づけた。この強化指導によって、「複合的分析→複合的総合)の、低次の段階の脱皮を図ることができる。そして、次の高学年の橋渡しとすることもできる)
 五年「論理的構想意識をもって記述する能力」
 表現の形態を変えれば思考の様式も変え得るとの観点に立ち、高学年では、時間的記述から論理的記述への転換を図ることに目標をすえた。高学年になっても時間的記述をさせていたのでは低・中の延長であって、対象の本質に迫らせることには益しない。論理的構想を立てて論理的文章を記述できる能力を育てることは、高学年にふさわしい反映能力づくりに欠かせない必要条件となる。
 六年「自己の言行を客観化して書く能力」
 対象の現象にどっぷりつからせていたのでは、対象の本質に迫らせることはむずかしい。対象の本質に迫らせるには距離をおいて現象に対置させる必要がある。大久保論文で強調している「自分の意識の層性を知的に操作する能力」(考えを進めながら同時にその考えを自分で考えの対象にする能力)は、自己を客観化して書くことによって養われていく。このような知的随意言語が操作できることも反映能力づくりには欠かせない。
 (以上、高学年では、知的随意言語を操作して、「体系的分析→体系的総合」の最高の段階に、一歩でも近づけることを目標とした)

このような目標にしたがって、「各学年の記述指導」が具体的に示されていきます。

以上の「作文の系統的指導(試案)」については、編者の一人である小林喜三男さんが執筆しています。『小学生の作文教育 1・2・3年』で示されていた調査「子どもの表現能力の実態」をもとに、作文指導系統案が作成されていった過程がうかがえます。

大内さんが『思考を鍛える作文授業づくり』で「『系統指導表』の絶対化・指導の形骸化」に陥る危険性を指摘していますが、作文指導系統案の何を参考にしていくべきか、慎重に検討していきたいものです。

まえがき
第一部 理論編
 Ⅰ 生活綴方と現代作文教育
  1 「日作」の理論的前進への長い注目—生活指導と国語教育との見事な統一をめざすもの
  2 日作事務局長・田宮輝夫氏の主張
  3 われわれのめざしたい文法教育・六年生での到達点
 Ⅱ 何を書かせるかは教師の「社会の未来像」に立っての子ども観から—日作の歴史と運動から学ぶこと・対比すること—
 Ⅲ 作文の系統的指導(試案)
  1 児言研理論班で考えた「作文の系統指導」
  2 各学年の記述指導
   1 一年の指導
   2 二年の指導
   3 三年の指導
   4 四年の指導
   5 五年の指導
   6 六年の指導
第二部 実践編
 Ⅰ 四年生
  1 「生い立ちの記」をこう書かせた
   1 四年生でなぜ「生い立ちの記」を
   2 指導目標
   3 指導計画
   4 授業記録
   5 後記*「生い立ちの記」を書かせて
  2 論理的な文章をこう書かせた
   1 指導目標
   2 指導計画
   3 書かせる前に教師が説明的文章をこのように理解した
   4 取材指導はこうした
   5 「副題についての事実」をこう書かせた
   6 「副題の事実」をこう分類し整理した
   7 「副題の事実」についての「くわしい事実」をこう書かせた
   8 書く順序を決める
   9 記述はこうした
   10 共同助言はこうした
   11 清書と発表会
   12 追記*「予定表」について
  3 社会科見学記を手紙形式で書かせた
   1 はじめに
   2 教材研究にあたって
   3 指導目標
   4 指導計画
   5 「構成」の授業
   6 児童の作文
   7 まとめと考察
  4 意見文をこうして書かせた
   1 子どもの論理的思考力の実態
   2 冷静に理由づける態度と能力
   3 テーマ「シャープペン・ボールペンは学校で使ってよい・いけない」を選んだ理由
   4 指導目標と計画
   5 授業報告
   6 授業を終えて
 Ⅱ 五年生
  1 「十枚作文」から「長文作文」へこう指導した
   1 はじめに
   2 「長文記述作文」への煽動
   3 「十枚作文」記述指導の実際
   4 おわりに
  2 総合的記述をこう指導した
   1 総合的記述・構想への手だて
   2 「外的行為→心内化」の実例
   3 おわりに
  3 感想文の書かせ方・創作話しかえのさせ方をこうした
   1 こんな感想文の書かせ方もある
   2 こんな創作話しかえのさせ方もある
 Ⅲ 六年生
  1 「取材」から「構想」「記述」までこう指導した
   1 記述指導がなければ「作文指導」ではない
   2 「これも作文ですか? それなら作文はおもしろい」
  2 見学記(旅行記)をこう書かせた
   1 ねらいのある行事作文を
   2 体験学習の意義を明らかにする
   3 見学することやものについての事前の学習を十分にしておく
   4 描写文を生かして文章を引き立たせる
   5 エピソードを生かして感動的に構成する
   6 見学記の構想メモ
   7 おわりに
  3 意見文作文をこう書かせた
   1 「意見帳」とは?
   2 指導の実際・その(1)
   3 指導の実際・その(2)
  4 章のある文章をこう書かせた
   1 はじめに
   2 その導入
   3 題材決定—トピック集め
   4 プランづくり
  5 卒業論文をこう書かせた
   1 六年間の総発揮の文集を
   2 主題をこうして決めさせた
   3 材料をこう集めさせた
   4 構想をこう立てさせた
   5 記述をこうさせた
   6 実践のまとめ
   7 おわりに
第三部 表現力を伸ばす日常の営み
 Ⅰ 共同助言をこうした
  1 学習指導案
  2 授業記録
  3 授業についての考察
 Ⅱ 二十年間の日記(書きなれノート)指導をこうした
  1 文を全員つづれたが
  2 一日の中でいちばん心に残ったことを書かせたこととその効果
  3 児童の日記の型
  4 意見文的な日記について
  5 生活上の「思い」が中心の日記
  6 文学文的な日記
  7 生活の報告的な日記—「思い」のはいっているもの
  8 生活の報告的な日記—「思い」のはいっていないもの
  9 まとめ
〔付録1〕たのしくできる文法指導
〔付録2〕ろう児の作文指導
あとがき
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『小学生の作文教育 1・2・3年』 [書籍]


小学生の作文教育 (1・2・3年) (現代言語表現シリーズ (2))

小学生の作文教育 (1・2・3年) (現代言語表現シリーズ (2))

  • 作者: 小林 喜三男
  • 出版社/メーカー: 明治図書
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: -


大内善一さんは『作文授業づくりの到達点と課題』の「まえがき」において、「作文授業における研究を組織的に行ってきた『日本作文の会』『児童言語研究会』『文芸教育研究協議会』における実践については、先に公にした『思考を鍛える作文授業づくり』の中で検討を加えている」と述べています。そこで、これらの団体の主要な著作を概観していくことにします。

「児童言語研究会」に対して、大内さんは『思考を鍛える作文授業づくり』で次のように述べています。

 「児言研」の「作文指導系統案」は「文章表現の系統的指導」表として作成されている。この表は、小学校一年生から六年生までの作文能力の発達の道筋を、「主な外的行為」と「能力開発の作文行為」という二種類の行為を段階的に位置づけることによって提示したものである。
 この系統指導表は、「日本作文の会」の系統表の検討を踏まえ、さらに、ソビエトの教育心理学者ヴィゴツキー、レオンチェフ、ガリペリンらの理論に学んで、文章表現指導を中核に据えて作成されたものである。
 この試みは、「作文指導系統案」づくりに関連諸学の成果を導入したものとして注目に値する。特に、ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」の考え方の援用、レオンチェフやガリペリンの知的行為形成の理論を援用して外的行為の「心内化」したものが「思考」である捉え、具体的な作文学習行為を思考と結びつけて捉えているところなどに注目させられる。

大内さんが取り上げている「文章表現の系統的指導」表は、『小学生の作文教育 4・5・6年』に掲載されています。詳しい内容は、そちらで見ていきましょう。

「作文指導系統案」づくりに先立ち、編者の一人である小林喜三男さんは、本書の第一部Ⅱ「子どもの表現能力の実態」において、次のような調査を紹介しています。

 児言研の初期のころ、私は一年から六年までの「子どもの発想調査」をしたことがあります。「運動会」(十月)という同一課題の作文を分析して、その記述の類型調査をしたのです。(次頁の表参照)
 ・一・二年は自分が出場した種目についてだけ書き、運動会全体については目を向けていないことが特色でした。
 ・三・四年は「時間的記述」の最盛期だということがわかりました。
 (この調査のときの四年生の作文に次のようなおもしろいものまでありました。このときの運動会は雨になったので午前中で中止。翌日は祭日で休み。そのため翌々日に午後の部を行ったのでした。その記述にこんなのがあったのです。「……雨がふってきたので午前中で運動会は終わりになりました。そして、家に帰ってごはんを食べてねました。翌日は休みでした。家中でデパートに行って買い物をしました。食堂でアイスクリームを食べました。夕方、家に帰ってごはんを食べてねました。そして翌日、学校へ行って運動会をしました。……。」どうです、このベタベタ記述の作文。これは決して笑えるものではないのです。時間的再生想起がこの年令での特色なのですから。)
 ・五・六年における時間的記述の指数、五年72%・六年92%にはいささか驚かされてしまいました。すでに四年生に主題的記述をしている上限の傾向が若干みえているのに、五・六年生の子どものこの低さ。これはいったいどうしたことでしょう。ただ、わずかに五年で4%・六年で2%の主題的記述をした者がいたことに救いがありましたが、大部分の子どもが、釘づけでもされたように時間的記述段階に止まっていました。

そして、「次頁の表」も掲載されているのですが、その項目のみを引用します。

文章       類型
羅列的記述    断片ならべ型
         それから式ならべ型
一つの事柄の記述 …たら…ので型
         文、文、文…型
         前がきつき
時間的記述    朝から…型
         開会式—閉会式型
主題的記述    主題記述型

この調査について、小林さんは次のような考察を行っています。

(1)「羅列的記述」はやがて「時間的記述」に発達していく。(時間的記述も最初は「それから型」から「一つの事柄の記述」へ、そして「事柄全体の記述」へと移っていく)。これらは、教師が特別に指導しなくても自然成長的に発達していくということ。
(2)「時間的記述」から「主題記述型」へは質的な転換であって、教師の指導がなければ移行ができないということ。前頁表をご覧ください。五年・六年のほとんどの子どもがちょうどコロップでふたをされたように、そこで止まっているのがその証拠です。また、主題的記述をした子どもに問うたところ、彼らは作文が好きで、ある者は、図書館の「作文の書き方」という本で学んだと言い、ある者は家人からその書き方を教わったと答えました。

この結果、小林さんは「意図的な教師の表現力伸ばしの指導の必要性」を痛感します。「見たことを見たとおりに」「思ったことを思ったとおりに」などの指導言に象徴されるように、「今日の発達水準」に教師の視点を置くべきではないとして、次のように主張します。

 作文教育は、「明日の発達水準」(ヴィゴツキーはこのことを「発達の最近接領域」とよんでいる)を不断に拡大し、その上限を不断に押し上げるような、表現力伸ばしを中核にしたカリキュラムによって行わなければなりません。

現場の小学校教師が、子どもたちの「運動会」についての作文調査や、ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」などを取り入れながら、「作文指導系統案」を積み上げていった様子がうかがえて、頭が下がります。このような成果を、どのような形で受け継いでいくべきか、考えていきたいものです。

まえがき—すべての子どもを書ける人間に—
第一部 理論編
 Ⅰ 現代作文教育の心理学的土台づけ—国語教師の常識として—
  1 どうして書かせることが大切か
  2 ヴィゴツキーとルリヤの書きコトバ教育観から学ぶ
  3 教師は作文教育についてこう自覚しよう
  4 文法教育のトリタテ指導の不可欠の大切さ
  5 プログラミング細説
  6 「現代作文教育」では「言語三区分」を意識して指導する
  7 文章をよく書けるようにする三方法
  8 まとめ
 Ⅱ 作文教育の構想と系統
  1 作文教育の現状
  2 子どもの表現能力の実態
  3 作文指導の構想
  4 「作文カリキュラム」の大綱と作成のヒント
第二部 実践編
 Ⅰ 一年生
  1 一年生初めての指導をこうした
   1 入学当初の話す・書くの実態
   2 話す・書くでどんな指導をしてきたか
   3 題材「先生に話しましょう」「先生に書きましょう」
   4 指導のねらいと留意点
   5 指導計画
   6 本時の学習活動の展開
   7 指導計画の特徴
   8 「文カード」の使い方
   9 授業参観者の感想
   10 この報告をお読みになって下さった方へのお願い
  2 全員が文章を書けるようにこうした
   1 作文教育の二つのコース
   2 対象を分析総合して書かせる
   3 実践例
   4 二年生に発展させた実践例
  3 短冊作文で書く意欲を高める
   1 二学期の指導で大切なこととその対策
   2 短冊作文の指導
    その1*直観的・感性的認識からの出発
    その2*短冊を使って文をふくらませる
   3 おわりに
 Ⅱ 二年生
  1 「文カード」を使って文章づくり
   1 「作文A」と「作文B」に類別を
   2 「作文意識」をもたせる指導
  2 段落のある文章を「段落カード」でこう書かせた
   1 「段落意識」をもたせる指導
   2 「作文B」の指導例
   3 作文コーナー
  3 説明文を質問をもとに書かせた
   1 「導入その1」—説明文の定義をつかませた
   2 「導入その2」—教師が説明文を実作してみせた
   3 「説明文記述」すらすら書けておもしろい
   4 おわりに
 Ⅲ 三年生
  1 三年生だが入門から
   1 児童の作文能力の実態と父母の願い
   2 一学期の作文指導
    (1)指導目標
    (2)学習活動の計画
    (3)一学期のおもな授業記録
    (4)指導の反省
  2 一週間の日記指導でここまで書かせた
   1 実態・計画・結果
   2 第一の特訓「日記には大ニュースを書く」指導
   3 第二の特訓「題材を見つけ、副題をつけて書く」指導
   4 第三の特訓「経験外のことからも取材する」指導
   5 第四の特訓「多くの文で話させる」指導
   6 第五の特訓「主・述のととのった文で話させる」指導
   7 第六の特訓「主語省略の文」の指導
   8 第七の特訓「10のことを10そっくり書かせる」指導
   9 第八の特訓「重文づくり」指導
   10 おわりに
  3 日記指導の概略
   1 このように役立った
   2 こんなくふうをした
   3 参考作品
  4 「ものがたり書き」をこう指導した
   1 おはなしづくりを教育へ
   2 おはなしづくりは人間の基本的欲求
   3 実践報告
    その1*社会科でのおはなし化
    その2*物語を展開させて書く
    その3*おはなしづくり(創作)へのこころみ
    その4*作品例
   4 おはなしづくりの今後の課題
   5 まとめ
  5 六文の文章を共同助言で四十文の長文に仕上げさせた
   1 なぜ手だてが必要か
   2 展開的記述・くわしく書かせる手だて
第三部 表現力を伸ばす日常の営み
 Ⅰ 取材指導をこうした(三年生)
  1 取材指導とは
  2 「書くこと」をこう分析する
  3 何を書かせるか—二つのコース
   A 子どもが日常生活の中で出合ったことを書かせるコース
    1 日記を書かせる
    2 日記と取材との関係
    3 三大ニュースの指導
    4 たくさんたまっている題材
    5 題材記入表を作る
    6 題材選定理由を発表させる
    7 題材選定理由への激励・質問・補足意見などを出し合う
    8 取材のポイントを書かせてから記述させる
    9 記述させる
   B 教師が教育上必要なことを書かせるコース
 Ⅱ 赤ペンをこう入れた
  1 意欲を喚起する赤ペン
  2 作文の評語と日記の評語
   1 作文の評語
   2 日記の評語
 Ⅲ 自己批正・共同助言をこうした
  1 書く力を高める集団批正
  2 自己批正
   1 自己批正の実態
   2 自己批正・共同助言の内容
   3 自己批正の指導とその習慣化の指導
   4 自己批正学習後の変化
  3 共同助言
   1 意義
   2 助言の観点
   3 共同助言の一般的内容
   4 共同助言の効果
 Ⅳ 二十年間の日記(書きなれノート)指導をこうした
  1 子どもの作文力を高めるために
  2 書きなれノート
   1 書きなれノートの効果
   2 書きなれノートを始める時期
   3 二十年の書きなれノート指導で気づいたこと
  3 「文づくり」の実践
   1 入門期の主な指導
   2 二年生での主な指導
 Ⅴ 表現・理解の一体的指導
  1 はじめに
  2 低学年の「表現←→理解」の一体的指導
   1 「斉話」させる
   2 「コトバ挿入の読み」
  3 中学年の「表現←→理解」の一体的指導
   1 「起承転結」の「転」から表現させる
   2 表現の構成を二通り作らせる
  4 高学年の「表現←→理解」の一体的指導
   1 聞きのプランづくり—「三段式メモ」
   2 表現のプランづくり
 Ⅵ 二年間でここまで書けるようになった—「親子ノート」の試み・母親はどうかかわったか—
  1 はじめに
  2 ヒントを得た「作文ノート」
  3 子どもはこうして書きなれた
  4 「親子ノート」のはじまり
  5 心をつないだ「親子ノート」
  6 学級通信「風の子」にのって
  7 「親子ノート」がもたらしたもの
〔付録1〕
  1 思考のはたらきをどうとらえるか
  2 経験←→言語←→知識
  3 思考の発達と作文指導の系統
  4 作文における思考操作
  5 思考学習の目指すもの—子供に考えさせる学習を
〔付録2〕
  1 作文教育に役立つ文法
  2 最も単純な文の形
  3 文の四種類の区別
  4 文を詳しくする方法
   1 主部を詳しくする方法
   2 述部を詳しくする方法
  5 複雑な文の形
   1 文構造の三種類
   2 重文の構造
   3 複文の構造
あとがき—生活教育と国語教育の統一を—
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『作文指導系統案集成』 [書籍]


作文指導系統案集成 (1964年)

作文指導系統案集成 (1964年)



大内善一さんは『作文授業づくりの到達点と課題』の「まえがき」において、「作文授業における研究を組織的に行ってきた『日本作文の会』『児童言語研究会』『文芸教育研究協議会』における実践については、先に公にした『思考を鍛える作文授業づくり』の中で検討を加えている」と述べています。そこで、これらの団体の主要な著作を概観していくことにします。

まずは、「日本作文の会」です。先の「まえがき」には「日本作文の会」による大内さんの作文授業づくりについての批判、および大内さんによる反批判の存在が触れられています。これらも意識していくことにします。

『思考を鍛える作文授業づくり』において、大内さんは次のように述べています。

 「日本作文の会」の場合、児童・生徒の作品を教材として使用するという姿勢が重視されている。この点に指導者が子供の思考過程に即する契機が保障されている。
 特に、「参考作品集」を用意するために、「子どもたちの作品をたんねんに読むこと」が求められ、「全体としてすぐれたものでなくても、部分的にすぐれたものは大いに利用すべき」であるとされている。
 子供の書いた作品から日常的に教材としての「参考作品」を掘り起こしていこうとすることで、子供の思考の実態に即することが可能となる。

このように「子供の思考」を重視するために行われている日常的指導が、「鑑賞・批評」「文集」であると大内さんは指摘しています。

「鑑賞・批評」とは、どのような指導か、本書『作文指導系統案集成』の「文章表現指導の『系統』とはなにか」で示されている「文章表現各過程に即する指導」を引用します。

(イ) まず表現以前の指導では、まわりの事物をこまかく観察したり、思考したりして、生活者としての興味や関心をたえずいだくようにすること。
(ロ) 表現意欲の喚起・取材の指導では、文章表現することのよろこびや意味を知り、積極的に、自分の体験や思考を、ひとまとまりの文章にまとめようという意欲をよびおこしながら、なにを書いたらよいかを自らさがしだすようにすることである。そして、しだいにネウチある題材をえらんでいくようにしむけていく。
(ハ) 構想の指導では、どのようにひとまとまりの文章としてまとめていくか、その組み立てをどのようにしたらよいかをきめさせることである。
(ニ) 記述の指導では、どのように表現していくことがよいかをわからせていく。そのためには、文字、単語、文、文章についてすでに身についている知識や能力を生かしながら、だれにでもわかるような、しかも効果的な文章を、どのように書きあらわしたらよいかを、具体的な表現のなかで指導することである。
(ホ) 推考の指導では、書きおえたものを読みかえしながら、あやまりや不充分なところを訂正したり補足していくための指導である。
(ヘ) 鑑賞批評の指導では、個別的・集団的にひとつの作品を読む場合、内容・形式についての吟味のし方、観点のおきどころなどについての指導である。

一連のサイクルの最後に位置する「個別的・集団的にひとつの作品を読む」場面において行われる指導が「鑑賞・批評」と言えるでしょう。「文集」も含めて「最後」であることに注目しておきます。

この「鑑賞・批評」を論点の一つとして、田倉圭市さんは「新学力観と生活綴方—大内氏の『みたこと作文徹底研究』批判—」(『作文と教育』1996年1月号)を書いています。田倉さんは「『見たこと作文』で、一つの題材から追究する問題・テーマ(新たな『題材』『ハテナ』)が次々と生まれ、追究が広がりと深まりを持ってくるのは、書かれた作品をみんなで発表しあい、読み合うから」と言います。そして、「大内氏の批判する過去のことを思い出して書く『したこと作文』でも、『鑑賞・批評』の指導の段階になると、大内氏のいう問題・テーマに関する追究も行なわれるし、同じ問題・テーマを書きつづけていく連続性もうまれてくる」と主張しています。

一方、大内さんは「『見たこと作文』をめぐる疑問・批判にお答えする」(『授業づくりネットワーク』1996年4月号)において、「上條晴夫氏の『見たこと作文』における『「ハテナ」づくり』の方法も『日本作文の会』の『鑑賞・批評』の指導過程からヒントを得たものではないか」と言います。けれども、「上條氏がヒントを得たのは、田倉氏のいう『学級で読み合う』という方法」だけであり、「クラス全体で共通のテーマを追究し、その過程で生まれた『新たな問題・テーマ』をさらに全体で追究していくというシステムに転換した」ところが、「見たこと作文」の新しさであると主張しています。

こうしてみると、「鑑賞・批評」つまり「学級で読み合う」ことを、どの過程に位置づけるかが分かれ目のように思えます。「日本作文の会」の指導過程では、最後の段階で行われます。「学級で読み合う」のは、作品が出来上がった後のことからです。もちろん、「学級で読み合う」ことをきっかけに新たな作品が生まれることもあるでしょう。けれども、あくまでも作品あっての「学級で読み合う」活動です。大内さんが「日本作文の会」の「鑑賞・批評」を「作品主義」の方法と言っているのは、この点を差しているように思われます。

それに対して、「見たこと作文」においては、絶えず「学級で読み合う」活動が行われます。「子供が書いた作文を教師が毎日のように教室で『読み聞かせ』してやる」のです。(『「見たこと作文」の徹底研究』)「持続的な追究を生み出す指導技術」を駆使しながら、教師は子どもたちが作文を書き続けられるように働きかけているのです。

「学級で読み合う」という活動は、どのように行われるのか。作品完成後か完成前か。教師中心か子ども中心か。授業外か授業内か。それぞれ、どちらを選択するかによって、作文授業のタイプが違ってくるように思われます。「作文指導系統」における問題の一つとして、意識していきたいです。

まえがき
Ⅰ 作文指導の学年別系統案
  大阪綴方の会
Ⅱ 作文指導の系統試案
  釧路市教育研究所・釧路市作文サークル・釧路作文の会
Ⅲ 作文指導の系統案
  静岡・沼津作文の会
Ⅳ 文章表現指導系統案(中学)
  石川・小松作文の会
Ⅴ 小中学校 文章表現系統案
  東京・八南作文の会
Ⅵ 文章表現体系試案
  国分一太郎
Ⅶ 生活培育を新組織せる詩指導系統案
  吉田瑞穂・岩崎覚・国分一太郎・稲村謙一・磯長武雄・林義男・近藤益雄
Ⅷ わたしの描く綴方指導系統案
  国分一太郎
Ⅸ 綴り方指導要項
  文部省
Ⅹ 綴方の指導要項と学年的展開
  飯田恒作
ⅩⅠ 文章表現指導系統案のつくり方・使い方
   編集委員会
   A なぜ文章表現指導系統案が必要か
    1 文章表現指導とはなにか
    2 文章表現指導の「系統」とはなにか
    3 なぜ「系統案」が必要か
    4 系統化をすすめるうえの問題点
    5 「指導要項」と系統案
   B 文章表現指導系統案の見方・つくり方
    1 表現各過程の問題
    2 表現諸形体の問題
    3 戦前と戦後の系統案のちがい
    4 体系表と計画表
   C 文章表現指導系統案の使い方
    1 表現意欲・取材と系統案
    2 具体的実践過程での問題
    3 地域差・学校差と教科書との関係
    4 作品例について
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『国語科教育学への道』 [書籍]


国語科教育学への道

国語科教育学への道

  • 作者: 大内 善一
  • 出版社/メーカー: 溪水社
  • 発売日: 2004/03
  • メディア: 単行本


本書の「まえがき」において、大内善一さんは次のように述べています。

 私の国語科教育と綴り方・作文教育に関する一貫した研究テーマは教科内容論・教育内容論を巡る「形式か内容か」という二元的対立を統一止揚する理論の究明にあった。このテーマの追究は修士論文研究に取り組んで以来一貫している。本書全体を貫く中心的なテーマもこの形式・内容二元論を克服する理論の究明に向けて設定されている。本書からこうした問題意識を読み取っていただければ幸いである。

この「形式か内容か」の問題を直接的に取り上げた論文として、表現教育における「教科内容論・教育内容論」をテーマにした、第Ⅰ部「第十一章 文章表現教育の向かう道」を見てみましょう。

 波多野完治は、かつて、芦田恵之助と友納友次郎との間で行われた論争、いわゆる随意選題論争に関する考察を行った。そして、この論争の根底に、当時行われていた二つの基本的教育思潮すなわち「教育を環境の方から統制して行かうとする考へ方」と「児童自身の中から発見させて行かうとする考へ方」との相克があったと分析した。波多野は、前者を教育の有する根本的性格である「同一化的方向」(=社会科の方向)、後者を自由教育思想に裏打ちされた「社会の分化的方向」(=個性化の方向)と捉え、両者の矛盾相克が綴り方科において鋭く現れたためにこの論争が大論争に発展したと結論づけた。

波多野による随意選題論争の考察を通して、「『社会の分化的方向』(=個性化の方向)と『同一化的方向』(=社会科の方向)との統一止揚という課題は、なお今日の文章表現にとっても重要な課題」と指摘しています。そして、このような文章表現教育の〈目的〉を考える手がかりとして、「教科内容」「教育内容」の問題を取り上げています。

 筆者は、拙著『思考を鍛える作文授業づくり』の中で、「教科内容」としての〈作文技術〉指導を通して「教育内容」としての〈思考〉を鍛えていく作文授業づくりの提案を行った。〈作文技術〉を自覚させることが子どもの〈思考〉の集中を促し、作文授業を引き締まったものにすることができると考えたからである。また、「見たこと作文」(原実践は上條晴夫著『見たこと作文でふしぎ発見』平成二年、学事出版)という実践に検討を加えた拙著『「見たこと作文」の徹底研究』(平成六年八月、学事出版)の中では、この実践が単なる国語科作文ではないことを指摘し、そこに国語科作文が担うべき「教科内容」としての〈作文技術〉と教科の枠を超えて育成されていく「教育内容」としての〈「見る力」〉や〈「追究」〉という要素とが一体的に指導されている事実を明らかにした。「見たこと作文」の実践は、指導者が〈「見る力」〉や〈「追究」〉という「教育内容」を意識することによって、「教科内容」としての〈作文技術〉を単なる小手先の技術指導としてでなく、子どもの思考の体制に沿ったより自然な形で指導することを可能にしているのである。
 右に取り出した〈思考〉や〈「見る力」〉〈「追究」〉といった「教育内容」には、波多野完治が言う子どもの個性の慎重を図っていく「社会の分化的方向」を切り拓く要素が含まれていると見なすことができる。一方、「教科内容」としての〈作文技術〉を社会的同化の方向としての「同一化的方向」と見なすことができる。〈作文技術〉が大人の社会からの実用主義的要求・社会的枠組みそのものであるのに対して、「見る」・「追究」という行為は、文字通り個人に属する主体的なものだからである。

「教科内容」としての〈作文技術〉だけを指導しようとすると「子どもの生活の用・思考の体制を無視して無味乾燥な小手先の技術指導に陥る恐れ」があり、「教育内容」だけに目を奪われると、「かつて昭和十年代に波多野完治によって『言葉からはなれて空中をとんで居た』と批判されたような綴り方教育に陥る恐れ」がある。これからの文章表現教育も、「社会的同化の方向としての『教科内容』と個性化の方向としての『教育内容』とを統一止揚していく方向で行われていくことが求められている」と述べられています。

「形式か内容か」という非常に大きな問題が取り上げられていますが、考える手がかりとして「教科内容」と「教育内容」を意識していきたいものです。国語科における「教科内容」と「教育内容」について考えることが、「国語科教育学への道」なのかもしれません。

まえがき
第Ⅰ部 表現教育史論・表現教育論
 第一章 昭和戦前期綴り方教育の到達点と課題
  一 本研究の目的
  二 戦後期における国分一太郎の問題提起
  三 国民学校国民科綴り方における「生活」観を巡る問題
  四 戦前期生活主義綴り方教育への反省
  五 戦前期綴り方教育の到達点――平野婦美子著『綴る生活の指導法』の登場――
  六 戦前期綴り方教育から戦後作文教育への橋渡し
  七 生活綴り方教育の復興の中で亡失された戦前綴り方教育の到達点
  八 考察のまとめ
 第二章 田中豊太郎の綴り方教育論における「表現」概念に関する考察
  一 本研究の目的
  二 「表現」概念を巡る問題の所在
  三 「表現」における「観照作用」への着眼と「生活」概念の限定
  四 「生活」と「表現」の一元化への試み
  五 「表現」概念の広がり
  六 考察のまとめ
 第三章 綴り方教育史における文章表現指導論の系譜
      ――菊池知勇の初期綴り方教育論を中心に――
  一 本研究の目的
  二 菊池知勇という人物
  三 菊池知勇の綴り方教育論・綴り方教育運動に関する先行研究
  四 旧修辞学に基づいた作文教授法批判
  五 旧修辞学的作文教授法批判の意義
  六 菊池知勇綴り方教育論の展開と成熟
  七 考察のまとめ
 第四章 秋田の『赤い鳥』綴り方教育
      ――高橋忠一編『落した銭』『夏みかん』の考察を中心に――
  一 本研究の目的
  二 秋田県における『赤い鳥』綴り方教育の概況
  三 『赤い鳥』綴り方教育の前期から後期への発展の位相
  四 高橋忠一の綴り方教育観の一端
  五 『落した銭』『夏みかん』所収の全作品と題材の傾向
  六 表現上の特色に関する考察
  七 高橋忠一の綴り方教育観と三重吉の選評姿勢――考察のまとめに代えて――
 第五章 波多野完治「文章心理学」の研究
      ――作文教育の理論的基礎――
  一 本研究の目的
  二 「文章心理学」の生成
  三 「文章心理学」の展開
  四 「文章心理学」の中核的理論としての「緊張体系」論に関する考察
  五 作文教育の理論的基礎としての「文章心理学」の意義と今後の課題
 第六章 波多野完治の綴り方・作文教育論
  一 本研究の目的
  二 昭和戦前期の展開
  三 昭和戦後期の展開
  四 考察のまとめ
 第七章 時枝誠記の作文教育論
  一 本研究の目的
  二 言語過程説に基づく国語教育観
  三 言語過程説に基づく作文教育論
  四 時枝誠記の作文教育論の意義
 第八章 新しいレトリック理論の作文教育への受容
  一 本研究の目的
  二 構想力の論理としてのレトリック――三木清の場合――
  三 「コミュニケーション」の科学としてのレトリック――波多野完治の場合――
  四 思想創造力に培うレトリック理論――輿水実の場合――
  五 行動精神としてのレトリック理論――山口正の場合――
  六 「説得の論法」論・「構想」論としてのレトリック理論――西郷竹彦の場合――
  七 作文教育への適用に際して
  八 考察のまとめ
 第九章 作文教育における「描写」の問題
  一 本研究の目的
  二 「描写」指導の位置
  三 「描写」表現の機構とその意義
  四 「描写」表現指導の観点
 第十章 作文教育の理論的基礎としての文章論
  一 本研究の目的
  二 「文法論的文章論」の生成
  三 作文指導における「文法論的文章論」の適用
  四 「文法論的文章論」の発展
  五 作文教育の理論的基礎としての意義
 第十一章 文章表現教育の向かう道
  一 文章表現教育の〈目的〉の見直し
  二 文章表現教育の〈目的〉を子どもの側に立って見直す
  三 「教科内容」と「教育内容」との統一止揚
  四 〈想像〉という「教育内容」の再認識
  五 空想・想像的題材の新生面の開拓
 第十二章 「語りことば」論序説
       ――「語りことば」の発見――
  一 本研究の目的
  二 「語り」の語義の淵源
  三 「語り」の機能
  四 「語りことば」の意義と定義
  五 「語りことば」の創造
  六 「語りことば」の機会と場
 第十三章 話し合いの内容・形態と人数との相関に関する一考察
       ――「三人寄れば文殊の知恵」――
  一 本研究の動機と目的
  二 「総合的な学習」を支えている主要な言語活動・技能
  三 「総合的な学習」における〈話し合い〉の実態的考察――〈話し合い〉の内容と人数との関係から――
  四 〈話し合い〉の一般的形態・性格と人数との関係
第Ⅱ部 理解教育論 ――教材論・教材化論・教材分析論――
 第一章 国語科教育への文体論の受容
      ――国語科教材分析の理論的基礎の構築――
  一 本研究の目的
  二 文体論の立場と方法
  三 心理学的文体論――波多野完治著『文章心理学』を中心に――
  四 美学的文体論――小林英夫著『文体論の建設』を中心に――
  五 語学的文体論――山本忠雄著『文体論』を中心に――
  六 計量的文体論――安本美典・樺島忠夫の文体論を中心に――
  七 文学的文体論――寺田透・江藤淳らの文体論を中心に――
  八 文体論研究の意義と問題点
  九 国語科教育への文体論の受容
  十 考察のまとめ
 第二章 山本周五郎「鼓くらべ」教材化研究
      ――文体論的考察を中心に――
  一 本研究の目的
  二 作品の構造――筋立て、人物像・人物関係の設定――
  三 文体上の特質
  四 学習者の実態と教材価値
  五 考察のまとめ
 第三章 宮澤賢治童話における〈わらい〉の意味
      ――クラムボンはなぜ〈わらった〉のか――
  一 問題の所在
  二 クラムボンの〈わらい〉と〈死〉
  三 クラムボンの〈わらい〉と〈笑い〉
  四 クラムボンの〈わらい〉の意味
 第四章 木下順二民話劇「聴耳頭巾」の表現論的考察
      ――戯曲教材の意義を再認識するために――
  一 木下順二民話劇の生成
  二 戯曲の文章の表現構造
  三 民話劇「聴耳頭巾」の表現構造
 第五章 柳田国男『遠野物語』の表現構造
      ――教材化のための基礎作業――
  一 本研究の動機・目的
  二 『遠野物語』創作の動機――「事実」観を巡って――
  三 発想・着想
  四 構成・配置
  五 表現・修辞
  六 『遠野物語』の表現価値
 第六章 杉みき子作品の表現研究
      ――教材化のための基礎作業――
  一 本研究の動機・目的
  二 発想・着想に関して
  三 杉みき子作品における創作の原点としての発想・着想の源
  四 表現過程おける発想・着想
  五 杉みき子作品の教材価値
第Ⅲ部 国語科授業研究論 ――授業構想論・授業展開論・授業記録論――
 第一章 読みの指導目標設定の手順・方法に関する一考察
      ――〈教材の核〉の抽出から指導目標へ――
  一 本研究の目的
  二 指導目標設定の手順・方法に関する実態とその考察――教材「やまなし」を事例として――
  三 指導目標設定までの手順と方法(試案)
 第二章 説明的文章教材指導の問題点と授業構想論
      ――「ビーバーの大工事」を実例として――
  一 説明的文章教材指導の問題点に関する考察――「表現」概念と「情報」概念の交通整理を通して――
  二 説明的文章教材の指導において「筆者」を想定する必然性
  三 説明的文章教材において指導すべき教科内容
  四 説明的文章教材から教科内容を取り出す方法――教材「ビーバーの大工事」を用いて――
 第三章 文学的文章教材の教材分析から授業の構想へ
      ――「白いぼうし」(あまんきみこ作)を事例として――
  一 「白いぼうし」の書誌
  二 「白いぼうし」の教材分析
  三 「白いぼうし」の授業の構想
 第四章 読みの教材研究に関する実態的研究
      ――「わらぐつの中の神様」(杉みき子作)の教材研究史研究を通して――
  一 本研究の目的
  二 教材研究史研究の方法
  三 教材「わらぐつの中の神様」の分析に関する考察
  四 分析データの整理――教材構造の把握――
  五 学習者の読みの予想
  六 教材価値(叙述内容価値・叙述形式価値)の抽出
  七 到達点と今後の課題
 第五章 読みの授業の構想及び展開に関する実態的研究
      ――「わらぐつの中の神様」(杉みき子作)の授業実践史研究を通して――
  一 本研究の目的
  二 「わらぐつの中の神様」の授業の構想に関する分析・考察
  三 「わらぐつの中の神様」の授業展開に関する分析・考察
  四 到達点と今後の課題
 第六章 国語科教師の専門的力量の形成に資する授業記録
  一 本研究の目的
  二 「授業記録」とは何か
  三 「授業記録」の記述方法に関する問題
  四 教師の専門的力量形成に資する授業記録を目指して――武田常夫の「授業記録」事例の検討――
  五 〈授業批評〉としての授業記録へ
あとがき
索引
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『「伝え合う力」を育てる双方向型作文学習の創造』 [書籍]





本書の「まえがき」において、大内善一さんは次のように述べています。

 確かに、一般的に見れば、「書くこと」の活動は、「話すこと・聞くこと」の活動と比べて、〈場面性〉や〈臨場性〉に乏しい。「書くこと」の活動では、「話すこと・聞くこと」の活動のように、書くことの相手である読み手を想定することは出来ても、その読み手が目の前にいなかったり、直ちに読み手からの反応が得にくいといった状況の中で書かざるを得ない。それに比べて、「話すこと・聞くこと」の活動の場合には、聞き手が目の前にいてその反応を確かめながら話を続けていくことが出来る。その結果、話す活動への弾みもつく。
 しかし、これは、あくまでも社会一般の生活の場における状況である。学校という学習の場では、状況が異なる。学級という場では、話すことの活動ばかりでなく、書くことの活動においても、工夫次第で書き手も読み手も同時に存在するような状況を創り出すことが可能なのである。

このような考えにしたがって、大内さんは「双方向型作文学習」を次のように定義しています。

 学習の場には、せっかく大勢の子どもたちが机を並べているのである。こうした環境を利用しない手はないだろう。これからの「書くこと」の学習においても、文字通りの「伝え合う」活動が可能となるのである。
 こうした作文学習のことを、私は〈双方向型作文学習〉と名付けている。双方向型作文学習が目指すのは、当該の作文学習の時間内に学習者同士が書き手と読み手となり、また、その立場を入れ替わりながら、文字通りに「伝え合う」という活動を行っていく学習である。

さらに、具体的な実践として「鉛筆対談」や「手紙」などの作文が取り上げられています。「双方向型作文学習」の考え方は、従来型の作文学習を一工夫するヒントになりそうです。

まえがき
Ⅰ 「伝え合う力」を高める双方向型作文学習の提唱
 一 「コミュニケーション」という用語の危うさ
 二 「コミュニケーション」という用語に関わる歴史的背景
 三 「伝え合う」という用語の意義
 四 「双方向型作文学習」とは
Ⅱ 双方向型作文学習の構想
 一 「コミュニケーション作文」という用語の曖昧性
 二 「コミュニケーション作文」における〈双方向型〉の作文学習事例
  1 物語の感想を〈鉛筆対談〉で話し合う
  2 「インタビュー」活動に基づいた〈聞き書き〉作文
  3 仮想の題材に基づいた〈手紙・報告〉作文
  4 新聞の投書欄へ〈投書(意見文)〉を書く
  5 読み手からのフィードバックを組み込んだ〈手紙〉作文
 三 現在の作文学習指導に見られる〈双方向型〉の事例
  1 「クイズ形式」の手法
  2 「問い」と「答え」の鉛筆対談の手法
  3 「ディベート」「パネル・ディスカッション」と関連させた手法
  4 リレー形式で〈お話〉や〈意見文〉を書く
  5 「変身作文」の手法で説明文を「対話形式」の〈シナリオ〉に書き替える
  6 「QA化(問いと答え)」の手法で説明文を書き替える
  7 物語の登場人物に成り代わって〈往復書簡〉を書く
  8 生徒同士で〈説得―納得〉の関係を生み出す意見文指導
Ⅲ 従来型の作文学習を双方向型作文学習に変える
 一 簡単な挿し絵をもとに友達同士で〈お話〉作り
 二 お互いの思いを〈手紙〉に託す
 三 新聞の投書欄を読んで〈意見〉の交換をする
 四 物語を共同で〈シナリオ〉に書き替える
 五 説明文を〈インタビュー〉形式に書き替える
 六 四コマ漫画をリレー形式で〈お話〉に書き替える
 七 料理番組のシェフと視聴者が伝え合う
 八 教師とその教え子の間で〈手紙〉のやりとりを行う
 九 切実な状況の「虚構の場」を設定して〈手紙〉で伝え合う
  1 「恋文」を介して「お断りの返事」と再プロポーズの〈手紙〉のやりとりをする
  2 特攻隊員の「遺書」を介して〈手紙〉のやりとりをする
Ⅳ 双方向型作文学習の創造
 一 「ラジオドラマのシナリオ」作りで双方向型作文学習
  1 「シナリオ」制作のプロセス
  2 制作された「ラジオドラマ」のシナリオ
 二 「連詩」作りで双方向型作文学習
  1 「連詩」とは何か
  2 単元名「連詩に挑戦」の構想(対象―小学校高学年・中学校・高校)
   ―想像の翼を広げて共同で詩を創ろう―
  3 授業の実際
 三 「連句」作りで双方向型作文学習
  1 「連句に親しむ五つのステップ」
  2 現代版「連句十四」方式による実践
 四 「説得劇」作りで双方向型作文学習
  1 単元「劇や手紙によって説得をしよう」の授業計画
  2 「説得劇」の生徒作品例
 五 「物語」作りで双方向型作文学習
  1 単元のプロフィール
  2 教師の〈読み聞かせ〉で「遊び場の夢」が大きくふくらむ(第一時)
  3 楽しい「夢の遊び場」を想像して絵に描く(第二時)
  4 「みんなの遊び場のゆめ物語」作りの始まり(第三時・第四時)
  5 この話が「ゆめの遊び場の物語」のお勧めです(第五時)
あとがき
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『新しい作文授業 コピー作文がおもしろい』 [書籍]


コピー作文がおもしろい―新しい作文授業 (ネットワーク双書)

コピー作文がおもしろい―新しい作文授業 (ネットワーク双書)

  • 作者: 大内 善一
  • 出版社/メーカー: 学事出版
  • 発売日: 1997/09
  • メディア: 単行本


本書の「まえがき」において、大内善一さんは次のように述べています。

 「コピー」とは、広告文・宣伝文のことです。
 広告・宣伝の目的は、自分が人に勧めたいものに対して興味を抱かせて、手に取ったり買ったりさせることにあります。そのために、その勧めたいものの特徴を正確につかみ、それを人に好感がもたれるような言葉で端的に表現しなければなりません。
 「コピー」には、優れた説得的・創造的な表現特性が備わっているのです。
 このようなコピー表現を作文学習に生かさないテはありません。

このような「コピー」を学校作文の授業づくりに取り入れる意義を、大内さんは次のようにまとめています。

◎ 広告・宣伝コピーを作るためには、表現しようとする対象の特徴を正確に把握しなければならない。そのために、ものの見方が的確となる。
◎ 広告・宣伝コピーを作るためには、表現しようとする対象の特徴を第三者に好感が持たれるような言葉でズバリと書き表さなければならない。
 つまり、相手の共感を得るために、相手の心を推し量った適切な言葉遣いと効果的な表現技法が求められる。適切な表現を生み出そうとして、一語一句の末にまで心を砕くために、よりいっそうの思考の集中が要求される。また、他人の心を推し量る豊かな感性、鋭い語感とが養われる。
 コピーづくりは、説得的・創造的表現能力の育成に通じているのである。
◎ コピーは、現代表現の最前線である。そのコピーづくりを作文授業に取り入れることは、学習者である子どもたちのみならず指導者である教師自身も、柔らかな感性や豊かな創造性を培うことに通じているのである。

コピー作文の最大のポイントは「相手の共感」「相手の心」などの言葉からもうかがえるように、相手意識をもたせやすい点だと思われます。本書には、さまざまな実践事例や作品が紹介されています。実際の子どもたちが、どのような相手意識をもって作品づくりに取り組んだかがうかがえる実践事例集です。

まえがき
第一章 「コピー作文」とは何か—二一世紀に発信する新しい作文授業づくり—
 1 「コピー」は説得的・創造的である
 2 広告・宣伝コピー表現の基本原則
 3 「コピー作文」に関する先行研究・実践事例
 4 「コピー作文」の授業づくりの意義
 5 「コピー作文」の授業づくりの実際
第二章 「コピー作文」授業づくりへの挑戦
 児童センター広報部長を命ず!(小3)石井純
 思い出ナンバー1—コピー作文で一年間をふり返る—(小3)佐久間明子
 きみが校長先生だ!—ぼく・わたしの学校にこの指と〜まれ—(小3)川崎郁子
 気になりませんか? こんなこと、あんなこと—私はコピーで訴える—(小6)京野真樹
 まだ見ぬ友へのメッセージ—中仙町へ遊びにおいでよ—(小6)今野勝代
 自分を広告する(小6)佐藤民男
 自分を売り込め!—求職広告づくりに挑戦—(高3)富谷利光
第三章 私の選んだ子どもの作品
 あそびがいっぱい夏休みお楽しみ会
 これはなに? まさか、あの……
 9っそう
 春なのに、さみしいね
 おいおいおい早くやれよ〜
 ガーリック〜どういう気持ちだ〜
 からくり学校で遊んじゃおう!
 やる気ムクムクおきるぞ〜
 日本の酒 うわさ情報
 寺子屋教育のPuppy
 今年の勝利にアパガード
 牛乳パックがプールの上に
 負けず嫌いでファイトあふれるがんばり屋
あとがき
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『作文授業づくりの到達点と課題』 [書籍]


作文授業づくりの到達点と課題―小学校国語

作文授業づくりの到達点と課題―小学校国語



本書の「まえがき」において、大内善一さんは次のように述べています。

 筆者は、先に『思考を鍛える作文授業づくり—作文授業改革への提言—』(一九九四年 明治図書)を公にした。実は、この本の中でも、近年実践されてきた主な作文授業づくりに関してのケース・スタディを行っている。その作業を行ってみて、主な実践についての意義づけがほとんどなされていないことも明らかになった。近年のおびただしい数の「短作文」実践に関しても例外ではない。
 そこで、前著で行った主な作文授業づくりに関する検討を、少し時代をさかのぼって行ってみることにしたのである。近年の「短作文」実践のブームも元を辿れば、昭和四十年代の初頭に端を発している。ワーク教材の出現も、昭和四十年代に関心を呼んだ「作文スキル学習」の提言と決して無縁ではない。要するに、今日盛んに行われている作文授業の実践のほとんどは、過去に行われた実践と深くつながっていて、決して目新しいものではないのである。
 こうした歴史的な文脈の中で、作文授業づくりの到達点と課題とを誰かが明らかにしていかなければならない。そこで、筆者はここ数年、全国大学国語教育学会の夏と秋の大会において、近年の作文授業実践と深く関わっていると思われる過去の実践についての検討を行ってきた。同じ考え方に基づいた複数の実践事例を比較考察することによって、より望ましい実践の姿を明らかにしようとしたのである

このようにして取り上げられた実践については、以下の目次にある通りです。各実践の「到達点と課題」を意識しながら、先人の業績を学んでいきたいものです。

まえがき
第Ⅰ章 技能訓練型の作文授業づくり
 第一節 「作文スキル学習」の検討
  1 「作文スキル学習」を取り上げた理由
  2 輿水実「スキル学習」提唱の背景
  3 『作文のスキルブック』の構成
  4 『作文のスキルブック』の内容の分析と考察
  5 「作文スキル学習」批判に対する考察
  6 「作文スキル学習」の意義と問題点
 第二節 「練習学習」作文の検討
  1 北村季夫「練習学習」作文提唱の背景
  2 「小単元方式にょる練習学習」
  3 「小単元」方式の実際に関する考察
  4 「練習学習」作文の意義と問題点
第Ⅱ章 作文学習の裾野を広げる作文授業づくり
 第一節 「学習作文」の検討
  1 輿水実「学習作文」提唱の背景
  2 「学習作文」の立場と方法
  3 「学習作文」の授業実践に関する考察
  4 「学習作文」の意義と問題点
 第二節 「第三の書く」の検討
  1 青木幹勇「第三の書く」提唱の背景
  2 「第三の書く」の基礎過程としての「視写」
  3 「書き足し」の方法
  4 「書き替え」の方法
  5 「第三の書く」の授業実践の全般に関する考察
  6 「書き足し」「書き替え」の活動を生かす手立てに関する考察
  7 「第三の書く」の意義と問題点
第Ⅲ章 アイディア題材・教材開発による作文授業づくり
 第一節 「新題材による作文指導」の検討
  1 平野彧「新題材による作文指導」提唱の背景
  2 アイディア題材の分析
  3 アイディア題材としての要素
  4 平野彧が開発した「新題材」の意義と問題点
 第二節 教材の開発による授業づくり
  1 実践者の手になる作文教材の開発
  2 八島詮による作文教材の開発の背景
  3 八島詮による作文教材の開発手順及びその特質
  4 教材の構成及び特質に関する考察
  5 八島詮が開発した教材の意義と問題点
第Ⅳ章 短時間構成の小単元による作文授業づくり
 第一節 「言語生活的作文の指導」の検討
  1 高森邦明「言語生活的作文の指導」提唱の背景
  2 「言語生活的作文」の特色
  3 「言語生活的作文」の種類と指導の条件
  4 作文授業づくりに生かせるもの
 第二節 小単元による作文授業づくりの検討
  1 小単元による作文授業づくり提唱の背景
  2 「小単元」の構成上の特色
  3 作文ジャンル・題材に関する分析と考察
  4 指導過程・方法上の創意工夫
  5 「小学校作文の単元」の意義と問題点
第Ⅴ章 課題条件の設定による作文授業づくり
 第一節 「条件作文」の検討
  1 和多史雄「条件作文」提唱の背景
  2 「条件作文」の内容・方法
  3 「条件作文」の意義と問題点
 第二節 「課題条件法」の検討
  1 奈良県国語教育実践研究会「課題条件法による作文指導」提唱の背景
  2 「課題条件法」の考え方
  3 「課題条件法」による実践事例の検討
  4 「課題条件法」作文の意義と問題点
第Ⅵ章 負担感の軽減を図った作文授業づくり
 第一節 「短作文」の授業づくりをめぐる動向
  1 「短作文」の授業づくりに関する文献
  2 近年の「短作文」授業が目指す目的
 第二節 吉永幸司たちの「短作文」授業実践事例の分析と考察
  1 分析の観点
  2 分析結果に関する考察
 第三節 その他の「短作文」授業実践事例の分析と考察
  1 分析の観点
  2 『短作文による指導のアイデア春夏秋冬』に関する考察
  3 『子どもが喜び基礎力が育つ短作文の指導事例集』に関する考察
  4 『すぐ使える小作文指導のアイディア』に関する考察
 第四節 「短作文」の授業づくりの意義と問題点
  1 「短作文」の授業づくりの意義
  2 「短作文」の授業づくりの問題点
第Ⅶ章 追究型の作文授業づくり
 第一節 「見たこと作文」とは何か
  1 「したこと作文」との異同
  2 追究に動機づけられた作文指導法
 第二節 教科内容としての〈作文技術〉指導
  1 発想の技術—「ハテナ」づくり—
  2 実証の技術—「引用」「数字」—
  3 論証の技術—「書式」「順序」—
 第三節 追究を促す「ネタ」・教材の開発
  1 「見たこと作文」における「ネタ」の特質と役割
  2 追究を促す教材の開発
 第四節 追究を促し持続させる指導過程
  1 子供の思考の体制に沿う指導過程
  2 追究を持続させる指導過程
 第五節 再現可能な授業記録の文体
  1 授業が見える授業記録
 第六節 「見たこと作文」の授業づくりの意義と問題点
  1 「見たこと作文」の授業づくりの意義
  2 「見たこと作文」の授業づくりの問題点
第Ⅷ章 単元学習的作文授業づくり
 第一節 「国語単元学習」と〈書く活動〉
  1 「国語単元学習」の実践に関する近年の文献
  2 「国語単元学習」における〈書く活動〉を検討する観点
 第二節 観点ごとの分析結果とその考察
  1 観点ごとの分析結果
  2 〈書く活動〉の種類とその適否に関する考察
  3 〈書く活動〉を指導する手立てに関する考察
 第三節 単元学習的作文授業づくりへの課題
あとがき
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『「見たこと作文」の徹底研究』 [書籍]




上條晴夫さんが『見たこと作文でふしぎ発見』で提案した新しい作文指導システム、「見たこと作文」を徹底研究した本です。五つの章を中心に考察が進められていますが、各章の冒頭には《○○論》という道案内が1ページずつ掲載されています。また、終章では《○○論》に対応する形で「今後の展望」がまとめられています。そこで、五つの《○○論》を中心に、本書の内容を概観していきましょう。

一つ目は《教科内容論》です。

 「見たこと作文」は、国語科作文ではない。しかし、<何を>教えようとしているのかが明確である。つまり、国語科作文領域から見た場合にも、国語科で求められる「教科内容」(=指導事項)が捉えやすい形で提示されているのである。
 例えば、(1)作文に書く素材を「よく見る」こと、(2)「ハテナ」づくり(=論点の明確化)、(3)「発見・引用・考察」の記述方法、(4)作文の「書式」、などである。

そして、国語科作文領域で指導すべき「教科内容」と、その他の領域でも指導できる「教育内容」との違いを授業者は自覚すべきであるとして、終章では次のように提案されています。

◎ 「見たこと作文」の<書く活動>を行う場を、教科・教科外あるいは家庭へと広範囲に求めて、<「見る力」>や<「追究」>などの「教育内容」と国語科作文指導が担うべき「教科内容」としての<作文技術>とを相互補完の関係で捉え、一体的に指導していくべきである。

二つ目は《教材開発論》です。

 「見たこと作文」では、「ネタ=素材・材」が極めて重要な役割を持っている。それは、「見たこと作文」が「追究型」の作文であり、その追究活動を保障する役割の一端を担っているのが「ネタ」だからである。
 「見たこと作文」の「ネタ」は、「見たこと帳」と呼ばれるノートの中から取り出される。「見たこと作文」の特質もこのノート指導の中に内包されている。

この「見たこと帳」によるノート指導については、終章で次のように整理されています。

(1)「見たこと帳」に「見たこと」という題材で作文を毎日書いてこさせる。
  (題材は、「春をみつけたとか」「小さな秋をみつけた」といった形で設定してもよい。)
(2)複数の子供が何度か取り上げている素材の中で、「あいまいなところ」つまり「ハテナ」が取り出せそうな素材に着目する。
(3)(2)のような素材で書いている作文の中で、その素材が子供の「発見」・「考察」を促しているものに着目する。
(4)(2)(3)を踏まえて、「ネタ」を取り出す。

この中でも、特に(3)がポイントで、「子供が書いてくる作文をよく読んでやり、子供がどのような素材に興味・関心を示すか、その傾向を把握していくように努めることが必要」とされています。

三つ目は《指導過程論》です。

 「見たこと作文」では、題材をクラス全体の共同作業の下で、「ハテナ」(=問題・テーマ)の形で発見させる。そして、これをクラス全体で追究していくという活動に持ち込む。
 さらに、一つの「ハテナ」を追究する過程で、新たな「ハテナ」(=新たに追究すべき問題・テーマ)が次々と発見され、追究が広がりと深まりを帯びてくる。

このように柔軟な形で進められる指導過程は、「子供の思考の体制を生かす方向で創造されている」と終章で指摘されています。そして、科学的・客観的な作文の<基礎能力>や<指導の系統>などは存在せず、「指導系統案」や「学習指導要領」などは絶対的なものではないとして、次の原則が確認されています。

◎ 平素の作文指導に必要な作文の<指導の系統>なるものは、指導者自らが眼前の子供の書いた作文から見出し得たほどのそれで十分なのである。
 指導者が自らの目で確認し得ないような作文の<指導の系統>では、結局のところ、子供への指導に供することなどできないのである。

四つ目は《指導技術論》です。

 「見たこと作文」の実践で効果的に駆使されている指導技術として、次のようなものを挙げることができる。
 (1)指示・発問・説明・助言の技術
 (2)ゆさぶり・評価の技術
 これらの指導技術が駆使されるのは、特に「見たこと作文」の実践に限られたことではない。あらゆる教育実践において駆使されているものばかりである。
 しかし、「見たこと作文」では、これらの指導技術がある共通の役割を担っている。<持続的な追究>を生み出すという役割である。
 なお、「見たこと作文」の実践の中でとりわけ注目すべき指導技術は、(1)の「説明」の技術と、(2)の「ゆさぶり」「評価」の技術である。
 とりわけ、(1)の「説明」の技術は、「読み聞かせ」という「語り」の表現を駆使しているところに注目すべき特質がある。

このような考察と直接、関わるわけではありませんが、終章では、二年生と五年生を対象とした二つの実践「たんぽぽの不思議」の存在を指摘して、次のように述べられています。

◎ 発達段階によって、子供の中から見出すべき<指導の系統>に若干の修正・変更を迫られる場合がある。
◎ そのような相異なる結果が生じた理由を検討することによって、指導技術面での重要な発見がもたらされることもある。

五つ目は《授業記録論》です。

 「見たこと作文」の実践が独自の輝きを持つ理由の一半は、その授業記録の卓越した文体(スタイル)にある。
 「見たこと作文」の授業記録のスタイルは、基本的に次のような特質を有している。
 (1)授業の流れが浮き彫りにされている。
  ——「強調」と「省略」の手法——
 (2)教室の様子が生き生きと活写されている。
  ——「描写」の手法——
 こうした特質が「見たこと作文」の授業を見えやすいものとしている。つまり、「見たこと作文」の授業を再現しやすくしているのである。

そして、終章においては、「授業実践の事実を再現可能な形で報告・記述しようとした時に、否応無しにあのような文体になっ」ているため、「いわゆる『授業批評』と見做せる記述箇所が極めて限られている」と指摘されています。そこで、次のような記述スタイルが提案されています。

◎ 「授業批評」の部分を、授業事実の報告の部分とは一線を画して、正に、本書で私が行ってきたような(今も行っている)この二重の□囲みによって、記述することにする。

以上の《○○論》は、大内善一さんが『思考を鍛える作文授業づくり』で提案した、作文授業づくりにおける「思考指導」を検討するための枠組みに沿ったものです。ただし、最後の《授業記録論》だけは、本書独自の内容と言えるでしょう。「授業記録が授業研究にとっての生命線である」とされるのは、「教科内容」「教材」「教授行為」「解釈内容」という膨大な情報の中から、記述者が何を選び取っていくかという「歴史科学」的な方法が求められるからなのかもしれません。「見たこと作文」を題材に、作文授業づくり・授業づくりについて、まだまだ、いろいろなことが考えられそうです。

まえがき
序章 「見たこと作文」の新しさ
 第一節 「見たこと作文」に対する先行研究
  1 「したこと作文」との異同
  2 追究に動機づけられた作文指導法
  3 子供の思考の体制に沿う指導過程
 第二節 開放的追試のシステム
  1 先行実践に対する開かれた目配り
  2 追試からの創造
 第三節 授業記録の文体づくり
  1 「授業が見える記録術」
  2 授業記録の文体づくりと授業者の成長
第Ⅰ章 「教科内容」としての<作文技術>指導
 《教科内容論》
 第一節 国語科作文領域における「教科内容」
  1 「教科内容」としての<作文技術>
  2 「教科内容」としての<見る力><追究>
 第二節 「発想」の技術
  1 「素材」から「題材」へ
  2 「ハテナ」づくりの手順と方法
  3 「見る」「聞く」「読む」「考える」
 第三節 「実証」の技術
  1 「引用」の方法の重視
  2 「数字」使用の重視
 第四節 「論証」の技術
  1 「書式」「順序」指導の重視
  2 <論理的順序>の「書式」指導
 第五節 「レトリック」の技術
  1 「レトリック」の意義
  2 「会話」「比喩」「オノマトペ」の技術
第Ⅱ章 追究を促すネタ・教材開発
 《教材開発論》
 第一節 「ネタ」の特質と役割
  1 「ネタ」とは何か
  2 「見たこと帳」の指導
  3 「ネタ」開発の実際
 第二節 追究を促す教材の開発
  1 二次的な教材
  2 <指導の系統>は子供の作文の中から
第Ⅲ章 作文授業を活性化させる指導過程
 《指導過程論》
 第一節 追究を促す指導過程
  1 子供の思考の体制に沿う指導過程
  2 「ネタ」開発の過程
  3 「ハテナ」づくりの過程
 第二節 追究を持続させる指導過程
  1 調べる過程
  2 「対立」と「交流」の過程
第Ⅳ章 持続的な追究を生み出す指導技術
 《指導技術論》
 第一節 指示・発問・説明・助言の技術
  1 指示の技術
  2 発問の技術
  3 説明の技術
  4 助言の技術
 第二節 ゆさぶり・評価の技術
  1 ゆさぶりの技術
  2 評価の技術
第Ⅴ章 再現可能な作文授業記録の文体
 《授業記録論》
 第一節 「授業記録」とは何か
  1 「授業研究」の性格
  2 「授業記録」の性格
  3 「授業記録」の目的
  4 「授業記録」の記述方法
 第二節 授業が見える授業記録
  1 「見たこと作文」の事例
  2 再現可能な記録
  3 「強調」と「省略」の表現技法
  4 「描写」の表現技法
 第三節 授業者の専門的力量の形成に資する授業記録
  1 「授業批評」としての授業記録
  2 「未発の可能性」を掘り起こす授業記録
終章 「見たこと作文」の今後の展望
 第一節 新「ネタ」の開発
 第二節 子供の思考の体制に沿うこと
 第三節 「教育内容」と「教科内容」の相互補完
 第四節 追試による検証
 第五節 どこに力点をおいて記録をするか
あとがき
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『思考を鍛える作文授業づくり』 [書籍]


思考を鍛える作文授業づくり―作文授業改革への提言 (授業への挑戦)

思考を鍛える作文授業づくり―作文授業改革への提言 (授業への挑戦)

  • 作者: 大内 善一
  • 出版社/メーカー: 明治図書出版
  • 発売日: 1994/06
  • メディア: 単行本


「思考」をテーマに掲げた作文授業づくりの本です。著者の大内善一さんは、第Ⅱ章の第一節において、作文授業における「思考」概念を明らかにした上で、作文授業づくりにおける「思考指導」を検討するための枠組みを提示しています。

A 「作文指導系統案」「作文指導計画」などの作成過程及びその内容(=「教科内容」の抽出方法及びその内実)
B 作文授業のための教材に関する考え方(=「教材」の作り方使い方
C 作文授業の指導過程・方法の在り方(=「教授行為」を行う手順)
D 児童・生徒作文の扱い方(=「解釈内容」の生かし方)

宇佐美寛さんの『思考指導の論理』や藤岡信勝さんの『授業づくりの発想』を踏まえながら設定された、作文版「授業を構成する四つのレベル」と言えるでしょう。

この枠組みに従って、「日本作文の会」「児童言語研究会」「文芸教育研究協議会(西郷竹彦)」の検討が行われ、次の問題点が指摘されています。

 まず、検討のための観点Aの「作文指導系統案」については、三つの研究団体ともよく整理された立派なものが作成されている。
 これらは、「文芸研」のものを除いては、教育現場での実践の体験から導き出されたものであり、作成した団体の会員が使用する上から十分に拠り所となるものである。また、会員以外の教師にとっても一つの参考・目安となるものである。
 興味深いのは、国立大学の附属学校や公立の研究指定校などがしばしば作成する膨大な労力を要する「作文指導計画」などの作成については、具体的な提案がみられないことである。この点は、見習うべき点ではないかと考えられる。そもそも、「年間計画」の段階では、具体的な「単元計画」のようなものの作成ができる道理はない。「年間計画」を作成する段階では、実際に指導する子供が眼前に存在するわけではないからである。
 これを無理に作成しようとするから、膨大な労力をかけて作成したにもかかわらず、実際には、余り活用されない(活用しようにも、子供の実態が異なれば活用できない)のである。
 実は、こうした問題点は、「系統案」の場合にも指摘できる。「系統案」の場合も、その内容は、教師が構想した教授内容としての思考の枠組みとなっている。学習者の思考の実態に沿えていない部分もないとは言えないのである。
 実際の指導に際して、これらの教師が構想した思考の枠組みが、逆に教師自身の思考の体制を硬直化させてしまう場合も出てくるのである。
 この点で、「年間計画」のみならず「系統案」の場合にも一つの限界を認めざるを得ないのである。
 やはり、学習者の思考の実態に即するためには、詳細な「年間計画」や「系統案」よりも、単元ごとの指導計画である「単元計画」や、特定の時間との関わりで具体的に考えられた教材が必要とされるのである。
 同様のことが、一般的な文章表現過程を拠り所とした作文指導過程の場合にも言える。ただ、「児言研」と「文芸研」の場合は、「日本作文の会」の指導過程にみられるような「取材・構想・記述・推考・処理・鑑賞・批評」といった過程は取られていないようである。
 とりわけ、「文芸研」の場合は、基本的に、子供に書かせた作文の受け止め方・生かし方から作文指導を始めていくという方式が取られていて、従来の指導過程と大きく異なっている。この方式は、学習者の認識・思考の実態に即する可能性を有している点で注目させられる。
 現実の作文指導において、本当に必要なのは、従来考えられてきたような一般的な指導過程よりも、特定の授業場面において指導者が学習者のために講じる具体的な指導の手立てなのである。また、それぞれの指導段階において活用することのできるより望ましい教材の開発の仕方なのである。
 各研究団体における作文指導研究の中では、こうした面に関する実践的研究が、系統案などの作成に費やされる努力ほどにはなされてきていないように見受けられるのである
 今後の重要な課題と言えよう。

つまり、Aの「作文指導系統案」「作文指導計画」を重視したり、Cの「指導過程」を固定したりすることによる問題が指摘されています。それよりは、Dの「児童・生徒作文」から出発して、Bの「教材」やCの「指導過程」を考えていく「文芸研」の考え方に活路を見出していると言えるでしょう。

中でも、Cの「指導過程」については、第三節「学習者の思考過程に即した指導」において、芦田恵之助の「随意選題」や大村はまの「てびき」を取り上げています。芦田の「書かせた作文(=子供の思考の事実)の受け止め方・生かし方の方により比重を置いた指導過程」や、大村の「書くためのてびき」「友だちの書いたものを読むためのてびき」「作者である生徒の、最後の処理のためのてびき」などの「教材」としての成果を挙げています。

以上のような成果を踏まえた上で、大内さんは第Ⅳ章の第二節において、「子供の作文から教材を開発する」ことを提案しています。すなわち、「指導の系統は子供の中にある」として、「開発すべき教材の種類と性格」を次のように示しました。

1 実用的な機能を備えた文章を書かせるための教材
 【記録文・報告文・説明文・意見文などの教材】
2 遊び・空想・創造的要素を備えた文章を書かせるための教材
 【言葉遊び作文・コピー作文・変身作文・ファンタジー作文・童話などの教材】

さまざまな先行研究を踏まえて提示された教材の実際については、また改めて紹介していければと思います。

まえがき
第Ⅰ章 作文授業が不振だった根本原因を考える
 第一節 学習者の思考の集中が阻害されていた
  1 目的不明の作文活動
  2 「生活文」という用語の問題
 第二節 作文領域における「教科内容」の問題
  1 「教科内容」としての「作文技術」に対する無関心
  2 「作文技術」に対する無関心の象徴
  3 思考の集中を促す「作文技術」の枠組み
  4 「発想」技術の教材を開発する着眼点
  5 「実証」技術の教材を開発する着眼点
  6 「論証」技術の教材を開発する着眼点
  7 枠組みから教材づくりへ
 第三節 作文授業における指導過程の問題
  1 指導過程の形式化・画一化
  2 指導過程を柔軟に捉える
  3 学習者の思考・心理に即した指導過程を
  4 短時間構成の指導過程を
  5 多様な表現活動を保障する指導過程を
第Ⅱ章 学習者の思考の実態を考慮した作文授業
 第一節 作文授業における「思考」概念
  1 「学習能力」としての思考
  2 学習者の「思考過程」のモデル図
  3 「思考指導」を検討するための枠組み
 第二節 作文授業における「思考指導」の検討
  1 「日本作文の会」の場合
  2 「児童言語研究会」の場合
  3 「文芸教育研究協議会(西郷竹彦)」の場合
  4 作文授業における「思考指導」の問題点
  5 「東京学芸大学国語教育学会」の「思考指導」
 第三節 学習者の思考過程に即した指導
  1 思考(=作文)の事実から始める
  2 学習者の思考に沿った「てびき」の作成
第Ⅲ章 学習者の思考の集中を促す作文授業
 第一節 子供が喜んで楽しく書く作文授業
  1 子供本来の豊かな発想を生かす
  2 子供の遊び・空想への着眼
  3 書く楽しさを体験できる方法
 第二節 作文授業における<楽しさ><面白さ>の中味
  1 作文題材における<楽しさ><面白さ>
  2 <楽しく面白い>題材の中味
  3 題材の活用方法・手立て
 第三節 子供の探究心・追究意欲に動機づけられた作文授業
  1 「追究型」の作文授業
  2 「発想」の技術—「ハテナ」づくり—
  3 「見る」「聞く」「読む」「考える」
  4 「実証」の技術—「引用」「数字」—
  5 「論証」の技術—「書式」「順序」—
第Ⅳ章 思考を鍛える作文教材の開発
 第一節 教材開発の枠組みとしての単元計画
  1 現行教科書の作文大単元の問題
  2 短時間構成の小単元の利点
  3 練習と実作をセットした作文学習システム
  4 借り物でない手作りの単元計画を
 第二節 子供の作文から教材を開発する
  1 指導の系統は子供の中にある
  2 子供の作文は教材の宝庫である
  3 作文教材開発の意義
  4 開発すべき教材の種類と性格
 第三節 論理的思考を鍛える作文教材の開発
  1 「発想」技術を指導する教材の開発
  2 「実証」技術を指導する教材の開発
  3 「論証」技術を指導する教材の開発
  4 教材開発の一般的な手順
 第四節 創造的思考を鍛える作文教材の開発
  1 遊び(ゲーム)的要素を備えた教材の開発
  2 空想・創造的的要素を備えた教材の開発
  3 開発教材に見られる開発上の工夫と特質
第Ⅴ章 思考を鍛える作文授業づくりの実際
 第一節 「短作文」指導もまた思考を鍛える
  1 「短作文教育」提唱の原点を見直す
  2 「短作文」は「書く生活の教育」である
  3 「短作文」もまた思考を鍛える
 第二節 入門期「口頭作文」の授業
  1 生活科の中からの「題材」発見
  2 絵を見て話す・書く
  3 「書き出し文」の教材化
  4 「指導言」としての「指示」の役割・機能
 第三節 会話を入れて書く作文の授業
  1 書く楽しさを体験させる
  2 学習方法への興味を喚起する
  3 子供相互による表現の触発を生かす
  4 書く活動に導く「発問」
  5 教師と子供の会話を描写させる
 第四節 わかりやすく説明する作文の授業
  1 子供の思考の集中を促す方法・手立て
  2 子供が熱中する題材の工夫・発掘
  3 協同取材・<相手><目的>の意識化
  4 記述への糸口を与える「助言」
  5 「説明の型」(=説明文の書式)の指導
 第五節 視点を転換させて書く作文の授業
  1 他者の視点から物事を客観的に見つめる
  2 軽いトレーニングから
  3 他者の視点から自分自身を見つめる
  4 指導の段階を見極めて
  5 詩作品からの題材の開発
 第六節 説得するために書く作文の授業
  1 相手を動かすために書く
  2 宣伝・広告文(コピー)づくり
  3 相手を動かす力を持った理由の捉えさせ方
  4 宣伝・広告文(コピー)の書式指導
  5 「反論の先どり」の指導
あとがき
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『発想転換による105時間作文指導の計画化』 [書籍]




著者の大内善一さんは、本書の冒頭「作文指導時数の増加―異例・大胆な措置―」において「今回の改訂学習指導要領」(平成元年版)から次の部分を引用しています。

(5) 作文の指導については、文章による表現の基礎的な能力を養うことに重点を置くこと。また、作文を主とする指導については、第一学年から第四学年までは年間一〇五単位時間程度、第五学年及び第六学年では年間七〇単位時間程度を配当するようにするとともに、実際に文章を書く活動をなるべく多くしたり特に取り上げて指導したりすること。

つまり、「週あたり三時間ないし二時間」という「作文指導時数の増加、時数指定」を受けて、本書の提案が行われています。提案の中心となるのは「作文指導計画」ですが、「『戦後作文教育史研究』の著者らしく、「綴り方教育の歴史の教訓に学ぶ」姿勢が貫かれています。たとえば、「単元計画」については、次のように述べられています。

 綴り方教育の歴史の中で、今日の「単元計画」の系譜には、「綴り方教授細目」というものがあった。
 この「教授細目」で特に注目すべき点は、ほとんどのものが各題材計画の中に、〈参考題材〉と教材としての〈参考文〉とを具体的に提示していたことである。
 かつての綴り方教育時代には、今日のような作文教材が教科書に載っていたわけではなかった。指導者にとっては、児童の書いた綴り方作品などをもとに教材を開発することが不可欠だったのである。それだけに、当時の指導者は、児童の書いた作品の見方や生かし方に熟達していたともいえるかもしれない。
 作文指導では、学習者である仲間の書いた作文を拠り所として学習を進めさせた方がより効果的である。また、指導者の側では、子供の作文を用いて教材を作ることが、同時に〈指導過程・方法の構想〉にも通じていくことになるのである。
 こうした点で、今日の作文指導も、かつての綴り方教材づくりの姿勢に大いに学んでいく必要があろう。

この〈参考題材〉〈参考文〉については、「活用しやすい『作文指導計画』へ―その改善点―」の項において、次のように提案されています。

   改善点5
 これから作成すべき「計画案」では、是非とも、児童・生徒の作文に基づいた〈参考教材・資料〉を備えたものを目指していきたい。当然、指導者には、平素より、児童・生徒の作文を実際の指導上のさまざまな観点に基づいて、意識的に読んでいくことが求められよう。

教科書に掲載されている、どこの誰が書いたか分からない作品例ではなく、「自分が指導しているクラスの子供達の文章の中から教材化できるものを見つけ出す」「指導者は、絶えず子供達の書いた作文を注意深く読んでいく」という姿勢は、いつの時代にも大切だと思われます。「子供達の作文を〈教材化〉という視点で読んでいくことは、そのまま、〈指導過程・方法の構想〉という仕事にも通じていく」のでしょう。

まえがき
Ⅰ 作文指導を充実させる具体的な提案
 1 作文指導時数の増加―異例・大胆な措置―
 2 充実のための実践的な対応
 3 運用可能な「作文指導計画案」づくり
Ⅱ 従来の「作文指導計画」の問題点
 1 形骸化した「作文指導計画」
  (1)「作文指導計画」と呼ばれているもの
  (2)「作文計画」の問題点
  (3)「単元計画」の問題点
  (4)「学習指導計画」の問題点
 2 綴り方教育の歴史の教訓に学ぶ
  (1)「作文計画」の系譜―「綴り方指導要項」「綴り方指導系統案」―
  (2)「単元計画」の系譜―「綴り方教授細目」―
  (3)「学習指導計画(学習指導案)」の系譜―「綴り方教授細案」―
  (4)「系統案」「教授細目」が陥りがちだった問題点
 3 活用しやすい「作文指導計画」へ―その改善点―
Ⅲ 活用しやすい「作文指導計画」の作成
 1 活用しやすい「作文指導計画」の試案
  (1)〈表面〉の枠組について
  (2)〈裏面〉の枠組について
 2 活用しやすい「計画案」の事例
  (1)小学校一年の「計画案」1
  (2)小学校一年の「計画案」2
  (3)小学校二年の「計画案」1
  (4)小学校二年の「計画案」2
  (5)小学校三年の「計画案」1
  (6)小学校三年の「計画案」2
  (7)小学校四年の「計画案」1
  (8)小学校四年の「計画案」2
  (9)小学校五年の「計画案」1
  (10)小学校五年の「計画案」2
  (11)小学校六年の「計画案」1
  (12)小学校六年の「計画案」2
あとがき
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