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楽な道を選ぶな [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年9月号
道徳(小学校中高学年)/鈴木啓司 楽な道を選ぶな

授業が始まったら、教師は次のプリントを配布しています。

(1)登下校後、友達や先生などにさわやかな挨拶をする。
(2)先生に名前を呼ばれた時、
  「はいっ」と大きな声で返事をする。
(3)口を大きく開けて、全力で歌を歌う。
(4)指先までしっかり伸ばして手を挙げる。
(5)先生や友達の話を聞く時に
  「目と耳で」聞く。
(6)宿題を忘れた時、「忘れました」と先生に伝えに行く。
(7)音楽室等へ移動する時、静かに、すばやく並ぶ。
(8)下駄箱にくつをきちんと揃えて入れる。
(9)ろうかや階段を走らずに右側を歩く。
(10)何かを提出したり、受け取ったりする時に並んで順番を待つ。

この原稿で枠囲みされているのは、このプリントのみです。しかし、この枠囲みだけで授業を再現するのは難しそうです。このプリントをいかに活用するか、授業の骨格となる指示・発問を枠囲みすべきでしょう。そこで、どの指導言を枠囲みすべきか、考えてみましょう。

ところで、先のプリントですが、タイトルの部分が空欄になっています。この空欄が、最初の指示・発問に関係しそうです。そうすると、次の指導言が目に留まります。

『(1)〜(10)はひと言でいうと、どんなことと言えますか?』

このような教師の声かけをきっかけに、子どもたちから「やればできること」という反応を引き出しています。そして、次の教師の言葉が出てきます。

『「やればできること」をやらないのは、手を抜いているということです。楽な道を選んでいるのです。では、「やればできること」をやらないと、どうなってしまいますか?』

子どもたちから前向きな意見が出たところで、最後は次の指示を行っています。

『今日の勉強をして、みんなは今後どう生きようと思いましたか。プリント上部の四角の中に書きなさい』

ここで引用した三つの指導言は、次の見出しに対応しています。

1 「やればできること」をやっていない自分に気づく

2 楽な道を選ぶとどうなるかを考える

3 決意を書き込む

つまり、先の教師の指導言が、それぞれの展開において骨格となる指示・発問になっています。それを枠囲みして示せば、追試しやすくなるはずです。授業の中心となるプリントを枠囲みで示すのも良いですが、それだけではシステムを明示したことにはならないと思われます
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4つのカラーコーンでできるサッカーの練習 [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年9月号
体育(小4)/武田直樹 4つのカラーコーンでできるサッカーの練習

「4つのカラーコーンを使って6つのサッカーゲームの練習方法を経験させる」導入の授業です。最初の部分を引用してみましょう。

1 説明
『次の時間からチーム毎に練習を考えたり選んだりできるように、今日はできるだけたくさんの練習を短い時間で行います』
 高さ15センチのミニカラーコーンを各チームに4つずつ配る。

2 練習
(1)八の字ドリブル
『思い通りにドリブルをするための練習です。ポイントはボールを少しずつ動かすことです。1分で何周できたか数えましょう』
 待っている子どもが回数を数えた。回数を知ることで繰り返し練習する意欲をもたせることができた。

このような調子で(6)まで、練習方法が紹介されています。1ページの原稿に「6つ」です。一つあたりの原稿の分量は、上記が精一杯です。ですから、武田さんの原稿は実践記録ではなく、実践「紹介」に留まってしまっています。六つの練習方法を横並びで書こうとすれば、どうしても平板な原稿になってしまいます。

また、実践のアイデア紹介になってしまっているのは、枠囲みが一つも示されていない点にも現れていると言えるでしょう。そこで、武田さんの原稿で必要な枠囲みの箇所を検討しながら、どの部分を強調すべきかを考えてみましょう。

練習(1)の『思い通りに……』という部分が、授業の骨格となる指示・発問のようにも思えます。けれども、それが6回も繰り返されるのは、さすがに多いです。やはり、『次の時間から……』という説明を枠囲みすべきだと思われます。

1点、明確にしておきたいのは「今日はできるだけたくさんの練習を短い時間で行います」の部分です。「できるだけたくさん」のところで「6つ」と明示しなかったのか、「短い時間」で具体的な時間を明示しなかったのかというところです。

限られた時間内で、「6つ」もの練習方法を経験させるためには、端的な説明が必要なはずです。そのためには、「6つ」と断った上で、次のように練習名を掲示した方が効果的ではないでしょうか。

(1)八の字ドリブル
(2)ドリブルリレー
(3)サッカーボウリング
(4)ゲートボールパス交換
(5)しっぽ取り
(6)3対1(手を使用)

もしかしたら、実際の授業では、模造紙やホワイトボードなどで、子どもたちに示しているのかもしれません。そうであれば、なおさらのこと、原稿の最初の時点で、読者にも授業全体のシステムを明示すべきです。武田さんの説明と(1)〜(6)の箇条書きを枠囲みすれば、この原稿は、もっと読みやすくなったはずです。

そして、システムの次はエピソードです。「6つのサッカーゲームの練習方法」すべてに触れる必要はありません。どれか一つか二つ、「4つのカラーコーン」が最も活きる練習方法の場面を描き出せばよいのです。

先の引用部分を読み直してもらえると分かりますが、武田さんの書き方では、子どもたちの活動の様子が描写されていません。武田さん自身が「回数を知ることで繰り返し練習する意欲をもたせることができた」と書いても、読者には、その具体的な場面がイメージしにくいのです。

以前、武田さんの原稿に対して、「武田さんの原稿を読んでいると、教師が一方的に話しているような印象を受けます」「子どもの発言を会話で示した方が、生き生きとした実践記録になる」という分析をしたことがあります。(「賛成?反対?堰の影響について自分なりの考えをもとう」『授業づくりネットワーク』2009年11月号)今回の原稿も、ほとんど同じ印象を受けました。やはり、武田さんの課題は、エピソード描写だと思われます。
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流れる水のはたらきで石の丸みを実感しよう [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年9月号
理科(小6)/宮地淳 流れる水のはたらきで石の丸みを実感しよう

「授業のへそ」が次のように書かれています。

 「川底のれきや砂は、流されていくうちに角がとれて丸みをもつようになる。」
 教科書の説明文や図でのみ学習させているこの自然現象が、チョークを使ったモデル実験を通して実感できるようになる。

巧みな導入です。チョークで流れる水のはたらきの実験ができるなんて、大いに期待させられます。この授業のヒットポイントが端的に示されています。

さっそく、「授業の流れ」の中から、実験部分を見ていきましょう。「1 石の形の変化の仕組みを確認する」の最後の方に示された枠囲み以降を引用します。

 流れる水のはたらきで、石が丸くなっていく様子を観察しよう。

『チョークは大きい石の替わりです。ペットボトルの水を振ると何の替わりになるかな』
「流れる水だ」
『ペットボトルに水とチョークをいれ、洪水になったつもりで激しく振ってみましょう』

2 モデル実験開始
(1)準備したチョークをペットボトルの5分の1程度入れる。
  ※色数が2〜3だときれいに仕上がる。
(2)水をペットボトルの半分まで入れ、キャップを閉める。
『準備はできましたか。シャッフル開始!』
「疲れたぁ」
『ひたすら降り続けます!』
 数分後。
『一度振るのをやめて、中のチョークを観察しましょう』

「〜観察しよう。」という発問よりも、実験の手順を枠囲みした方が良さそうです。次のようになるでしょうか。

(1)石の替わりのチョーク、川の替わりの水を準備する。
(2)チョークをペットボトルの5分の1程度入れる。
(3)水をペットボトルの半分まで入れ、キャップを閉める。
(4)チョークが小さくなるまで、ひたすら降り続ける。
(5)水を満杯にして静かに立てておき、堆積する様子を観察する。
  ※色数が2〜3だときれいに仕上がる。

宮地さんの原稿では、上記の手順が次のように分散して書かれています。

1 石の形の変化の仕組みを確認する→(1)
2 モデル実験開始        →(2)(3)(4)
3 削れた部分の堆積を観察する  →(5)

手順(1)〜(5)をまとめて枠囲みすれば、この授業のシステムが読者に明確に伝わるはずです。宮地さんの実践は、実験という活動中心の授業ですので、指示・発問よりも実験の手順を枠囲みすべきでしょう。子どもたちの会話を中心に、授業のエピソードは描写されていますので、システムの明示を意識してもらえると、さらに良い原稿になると思われます。
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速さの問題のミスを減らそう [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年9月号
算数(小6)/氏家拓也 速さの問題のミスを減らそう

「授業のへそ」を引用します。

 6年生算数「速さ」の授業で子どもに身近な話題と算数アイテムを使う。身近な話題が子どもの意欲をかき立て、算数アイテムが速さの問題のミスを減らす手立てとなる。

「身近な話題」「算数アイテム」二つの「へそ」が示されています。ここは「一へそ一義」にしたいです。(参考:「折り紙カレンダーづくり」『授業づくりネットワーク』2010年8月号

「算数アイテム」は『算数ミスを減らす指導法 5・6年生編』(福山憲市著、明治図書)に掲載されているものですので、ここでは「身近な話題」に注目してみましょう。

以下、導入部分です。

 速さを求める問題では、まず「1秒間あたりどれぐらい走ったか」を求めることがポイントになる。たとえば、こんな問題。

100m競争の世界記録は9.7秒です。1秒間に約何m走ったことになりますか。

 これをこのままやるのはもったいない。そこで、その時期にぴったりな、タイムリーな話題を取り上げるのだ。
 この授業をしたときは、世界陸上でウサイン・ボルト選手が世界新記録を出した時だった。100mを9.58秒で走った。
 これを使うのだ。子どももよく知っている話題なので、興味をもって問題に取り組んでいた

つまり、氏家さんは枠囲みで発問を示していますが、授業では別の発問をしています。「タイムリーな話題を取り上げるのだ」「これを使うのだ」と言うのであれば、その「話題」をどのように子どもたちに投げかけ、「これ」という発問をどのように示したのかを書き込んでほしかったです。

おそらく、氏家さんは『100mの世界新記録を出した人、知ってる?』『何秒で走ったの?』などという対話を子どもたちとしたのでしょう。その後、「ウサイン・ボルト」「9.58秒」という数字を入れた発問をしたはずです。この場面を、教師の会話(『  』)と枠囲みで描き分ければ、子どもたちの「興味をもって問題に取り組んでいた」様子が読者に伝わってきたはずです。

もう一方の「算数アイテム」にしても、枠囲みの使い方がズレているようです。次の部分が枠囲みされています。

発見クマ・ヘンなクマ・じそっクマ・クマのプーさん・クマダマサシ

これらの反応は、子どもたちの会話(「  」)か箇条書きで示せば充分です。むしろ、その後の「覚えやすい名前を選」ばせる場面こそ、枠囲みすべきです。

氏家さんのクラスでは「じそっクマ君」と呼ぶことにしたそうです。なぜ、子どもたちは、この名前を選んだのでしょう。おそらく、「時速」と「リラックマ」のキャラクターをかけたアイデアが、子どもたちの感覚にフィットしたのでしょう。子どもたちがアイテムを「じそっクマ君」と名づける過程に注目し、氏家さんが会話を中心にして丁寧に原稿を書いていれば、きっと「身近な話題が子どもの意欲をかき立て」る様子を描き出せたはずです。惜しいです。

道のり・速さ・時間の三つを配置して、「道のり÷速さ」「道のり÷時間」「速さ×時間」の立式をスムーズに行うアイデアは古典的なものでしょう。そして、クマの目(●)を÷、クマの口(×)を×の記号に見立てたところが、このアイテムの面白さでしょう。さらに、氏家さんはクマに名前をつけさせました。この点こそ、氏家実践のヒットポイントだったはずです。

「身近な話題」というヒットポイントを柱に、枠囲み・会話を丁寧に書いていれば、「〜のだ」という堅い説明ではなく、生き生きとした描写が中心の原稿に仕上がったと思われます。
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なるほど・ザ・マ〜グロ! [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年9月号
社会(小5)/兒島強 なるほど・ザ・マ〜グロ!

「授業のへそ」を引用します。

 5年生の食料生産の学習では、水産業を取り上げる場合が多いだろう。その中で、マグロをベースとして学習可能なネタを列挙する。ネタとして単発で使うこともできるし、いくつかの要素を組み合わせた学習もできる。

「ネタを列挙」と書かれているため、「1時間の授業」で「追試を行えるのが条件」という「あすの授業」の原稿からは外れているのが分かります。けれども、せっかくのネタですので、どのような原稿に書き直せる可能性があるのか、考えてみましょう。

以下、五つ列挙されているうちの、一つ目のネタです。

[1]愛されるマグロ
(1)『マグロが好きですか』
(2)『世界でとれるマグロはおよそ百九十万トン。では、そのうち日本人はどれぐらいのマグロを食べているでしょうか』
(3)『いつから日本人はマグロを食べているでしょうか』
(4)『マグロ一匹の最高の値段はいくらだったでしょうか』
 (1)の答え(おそらく好きと答える子が多いだろう)。
 (2)の答え(三分の一)。
 (3)の答え(縄文時代。貝塚からマグロの骨が見つかっている。古事記や万葉集にも詠まれている。山部赤人がマグロを捕ろうとしている船の情景を詠んだ日が十月十日。この日はマグロの日となっている。)
 (4)の答え(二千二十万円。世界的に高値で取り引きされる日本のマグロが有名になる。)

(1)〜(4)の発問が示されています。このうち、授業の骨格となる発問として枠囲みすべきものはどれかを考えてみます。

テーマは「愛されるマグロ」です。テーマを意識して(1)があるのでしょうが、子どもたちへの最初の投げかけですので、枠囲みするほどではなさそうです。(2)はマグロを食べる日本人、(3)はマグロと日本人の歴史です。(4)は付け足しの情報と考えて、やはり(2)か(3)、どちらかを主発問と考えたいです。

(2)(3)それぞれの解説を読むと、兒島さんは(3)の方をメインと考えているようです。けれども、小学5年生が対象ですので、歴史の話は少し難しいかもしれません。私は(2)を枠囲みすべきだと考えます。

ただし、日本人が世界のマグロの「三分の一」を食べているという事実を、もう少し印象的に子どもたちへ伝えたいです。そこで、次の発問に修正してみました。

******************************
日本の人口は、世界の約2%です。世界でとれるマグロのうち、日本人が食べるのは約何%でしょう?
******************************

「世界でとれるマグロはおよそ百九十万トン」という数字を示されても、子どもたちにはピンとこないでしょう。それよりも、世界の2%しかいない日本人が、33%ものマグロを食べているという事実の方が、インパクトがあると思われます。

また、このクイズ形式の発問に対して、子どもたちにどのように答えさせるかも重要です。三択にするのが一般的でしょうが、「正解に最も近い数字を書いた子がチャンピオン」というルールもおもしろいかもしれません。(参考:フジテレビ紀行・情報クイズ番組「なるほど!ザ・ワールド」オープニングクイズ)

せっかく、たくさんのマグロネタを集めたのですから、兒島さんには、これらのネタをどのように料理するか(構成するか)も、「あすの授業」の原稿の形で示してほしかったです。
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「だって」「ないしょだけど」で楽しく書こう [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2010年9月号
国語(小2)/橋本慎也 「だって」「ないしょだけど」で楽しく書こう

「だって」や「ないしょだけど」のような言葉を手がかりに書かせる作文の授業です。まず、次の例文が示されています。

先生 あのね
かめが えさを食べてるよ。
きっと おなかがすいているんだね。
だって あんなに大きな口をあけて 食べているんだもん。

この例文のうち「かめが」「きっと」「だって」にアンダーラインが引かれています。これらは教師が指定した言葉です。つまり、教師が書き出しの言葉を指定して、子どもたちが文を書きやすくする工夫を行っていると思われます。

ところで、教師が指定した書き出しの言葉は、子どもたちに次のタイプの文を書くように促しているようです。

かめが……→【事実】の文
きっと……→【考察】の文
だって……→【根拠】の文

橋本さんが原稿の最後に載せた、子どもの作品を見てみましょう。

先生 あのね
かめが 石にのぼっているよ。
きっと 教室を見たいんだね。
だって あんなにくびをのばしているよ。

この作品を書いた子は、かめが「石にのぼっている」という【事実】を見ました。それは「教室を見たい」からだと【考察】しました。なぜなら、「あんなにくびをのばしている」という【根拠】を見つけたからです。おそらく、この子は「石にのぼっている」「あんなにくびをのばしている」という様子に着目しながら、かめが「教室を見たい」という想像をふくらませたのではないでしょうか。

つまり、この作文の授業は、「きっと」という言葉を手がかりに、子どもたちが自由に【考察】の文を書ける点がポイントのようです。

ところが、タイトルからもうかがえるように、橋本さんは「だって」をキーワードに考えているようです。つまり、【根拠】の文を書かせると「心の中が自然に表現」できると考えているようです。

しかしながら、先の作品のおもしろさは、かめを見た子が「教室を見たいんだね」と表現している点ではないでしょうか。子どもなりの表現を促しているのは、「だって」ではなく、「きっと」という【考察】の文ではないかと私は考えます。

子どもの【考察】の文より、【根拠】の文を重視する橋本さんの姿勢は、この原稿そのものにも現れています。

ワークシート→【事実】
(    )→【考察】
子どもの作品→【根拠】

子どもたちの「心の中が自然に表現」できる作文の授業であると主張するため、原稿の最初にワークシートという【事実】を示し、最後に子どもの作品を【根拠】として示しています。しかし、橋本さんは作品の【考察】を行っていません。作品から子どもの(心の中の表現)を取り出して示していないために、原稿の精度が落ちているように思われます。興味深い実践だけに、残念です。

上條晴夫さんが「子どもの作文を資料に」する場合の注意点を書いています。「子どもの作文を資料扱いにして、研究レポートの後ろに添付」するのではなく、最適な「資料を探す」「資料に考察を加える」必要性が述べられています。「作文を考察する文がレポートの質を決定する」というのです。(『困ったときの研究レポートの書き方』学事出版)

子どもたちの作品を載せるときには、「資料+考察」を心がけたいものです。

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『授業づくりネットワーク』2010年9月号 [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版雑誌『授業づくりネットワーク』の紹介です。「あすの授業」コーナーなど、いくつかの原稿については、私なりの視点で評価していきます。あわせて、ご覧ください。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』


特集:特別支援教育 インクルーシブ発想の授業づくり
インクルーシブ体育に学ぶ!◆西洋子氏に聞く◆/上條晴夫
インクルーシブ発想による授業づくりへの挑戦/K・W
特別支援教育〜対話から見えてきた「指導と支援のハイブリット」〜/田中博司・青山新吾
特別支援教育コーディネーターから見た授業改善のポイント/池田康子
特別支援教育 まずこれを読もう!/石川拓

第2特集:学校レク 本気で遊べ!
あるあるデザート〜グループワーク・トレーニング(GWT)〜/上石厚志
心ほぐしの学級ミニゲーム/八巻寛治
歌で気持ちを伝える〜ソング〜/生稲勇
みんなで楽しむ宝取り/高久啓吾

【たのしい実践】
地域活動を楽しむ!(地域活動)/斎藤直人
学習が分からないしんどさ体験(学級活動・小学校中高学年)/森俊郎
歴史学習に価値判断場面を設定した授業(社会・小6)/高岡昌司

【連載】
やさしい学級担任論/池田修 学級の環境づくり 席替え
学級づくりのネタ&コツ/桑原健介 2学期のスタートダッシュ!
教師のためのモバイル活用術/阿部隆幸 モバイルでアイデアを創出
教師のためのやさしい授業研究入門/藤原顕 授業について<書く>(1)
特別支援教育おすすめ教材・教具と指導のアイデア/池田康子
教室がなごむお笑いのネタ/佐々木潤
オイカワヒロコの保健室日誌/及川比呂子

【あすの授業】(9月)
国語(小2)/橋本慎也 「だって」「ないしょだけど」で楽しく書こう
社会(小5)/兒島強 なるほど・ザ・マ〜グロ!
算数(小6)/氏家拓也 速さの問題のミスを減らそう
理科(小6)/宮地淳 流れる水のはたらきで石の丸みを実感しよう
体育(小4)/武田直樹 4つのカラーコーンでできるサッカーの練習
道徳(小学校中高学年)/鈴木啓司 楽な道を選ぶな

編集部に届いた本
ひろば
次号予告・編集後記
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