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線対称の模様を作ろう [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年2月号
算数(小6)/平嶋大 線対称の模様を作ろう

「授業のへそ」を引用します。

 「線対称」の性質がもつおもしろさや不思議さ、美しさを味わうために、模様作りの算数的活動を行う。
 導入の切り絵クイズが、「線対称」についての理解を助け、模様作りへのヤル気を引き出す。

一読して分かるように、この授業のヒットポイントは「導入の切り絵クイズ」のようです。そこで、導入部分を見ていきましょう。

 何ができるかわかるかな?

色画用紙を半分に折って、ゆっくりとはさみで切り始める。
「わかった!うさぎでしょ!」
『ピンポーン!正解です!』
 切り取った後、パッと開いてうさぎの顔になることを見せる。
「すごーい!」「本当だぁ!」
 感心する声が上がる。続けて2問目はハート。これもすぐに正解にたどり着いた。最後は写真のように、抽象的な形に切る。
「果物?」「虫かなぁ?」
 十分に惹きつけてそっと開く。
「うわぁ、何か不思議な形!」
「ちょっと怖い感じがする」
『実は、正解はないんだけど、色々な形に見えて面白いね』
 ここで、3つの形を指しながら、「線対称」について説明する。

2つに折った時、折り目の両側がぴったりと重なる形を線対称な形といいます。

3問目については、半分に折った切り絵と開いた切り絵の写真も示されていますが、それらの写真がなくても、授業の様子が活き活きと伝わってきます。それは、平嶋さんの描写の手法がすぐれているからだと思われます。そのよさを2点、具体的に指摘してみましょう。

1点目は会話表現です。子どもの会話「  」と教師の会話『  』がテンポよく示されています。特に「!」の記号が多用されていて、子どもたちが惹きつけられていく様子が、よく分かります。また、一転して「?」が出てくることで、子どもたちに思考が促されている様子がうかがえます。この後の「模様作り」の活動の中で、「抽象的な美しさや不思議さを持つ作品」を取り上げる布石になっていると思われます。

2点目はオノマトペです。画用紙を「ゆっくりと」はさみで切りながら子どもたちを惹きつけ、正解発表では「パッと」開いています。これは「うさぎの顔」のように「具体物が持つ線対称のおもしろさを生かした作品」を、子どもたちに印象づける効果があると思われます。反対に、3問目の「抽象的な形」では、子どもたちを惹きつけた上で「そっと」開いています。

「!」と「?」、「パッと」と「そっと」、この対照的なオノマトペの表現に、本実践における平嶋さんの「しかけ」が現れているように思えます。つまり、本実践の中心となる「線対称の模様を作ろう」という算数的活動において、「具体物が持つ線対称のおもしろさを生かした作品」とともに「抽象的な美しさや不思議さを持つ作品」も取り上げたいという、平嶋さんの考えがうかがえます。

以上を踏まえながら、改めて「授業のへそ」を読み返してみましょう。そうすると「『線対称』の性質がもつおもしろさや不思議さ、美しさ」という表現からは、平嶋さんの明確な意図が伝わってきます。会話やオノマトペなどは些細なことのように思えますが、その些細な表現が積み重なって、実践全体を支えているのです。
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模擬選挙をしよう! [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年2月号
社会(小6)/中雄紀之 模擬選挙をしよう!

模擬選挙の進め方が、次のように枠囲みされています。

(1)今、国民が困っていることを学級で出し合う。
(2)二名の候補者の演説を聞く。
(3)教室を歩き回ってだれに投票するかを意見交換する。
(4)投票後、感想を書く。

投票の手がかりとなる「二名の候補者の演説」が重要です。この「演説原稿」は「先生が用意したものを読む」ことになっています。どのような原稿が用意されたのかを見てみましょう。

A候補者…新入社員を採用した企業に補助金をだす。
理由…今、大学生の半分近くの人が就職できません。不景気のせいで、企業が人を雇う資金がないからです。私が当選したら、新入社員一人当たり10万円の補助金を出す政策を実行します。これで確実に失業者が減ります。
B候補者…環境に関する研究に国が補助金を出し、開発した技術を外国に売って、景気回復につなげる対策。(原稿略)

B候補者の原稿が省略されているのが残念です。AもBも「補助金」を出すことに変わりはありません。Aは短期的、Bは長期的な視点で補助金を使うようです。この違いが、原稿の上では、どのように示されているのかを比較したいところです。

同様に、枠囲み(3)の部分についても、以下の「A候補者に対して」の反応だけでなく、「B候補者に対して」の反応も示しておきたいです。

「Aの対策は失業者が減って、とてもいいよね」
「だけど、お金はどこから出るのかな」
「税金じゃないかな」
「税金が上がるということかな」
「消費税が上がるのでは」

財源については、AもBも同じ問題を抱えています。AとBを比較するならば、その効果についての意見交換が重要になるはずです。候補者は二人しかいないのですから、両方の演説原稿を示した上で、それに対する子どもたちの反応が知りたいものです。

もし、紙幅が足りなかったのであれば、優先順位の低い情報を省略するしかないでしょう。たとえば、先の枠囲み(1)の部分は、この活動の導入ですが、「不景気」問題を取り上げることは、授業が始まる以前に教師が決めていたようです。そうであれば、この部分を大幅にカットして、その分をB候補者の記述にあてた方が良さそうです。

プロフィールによると、中雄さんは「コミュニケーションによって学び合いが成立する学級づくり」を目指しているそうです。それを今回の原稿に当てはめるならば、A候補者とB候補者の演説原稿(および、それぞれの演説に対する反応)は、学び合いが成立したかどうかを検証するためには必須の情報だと思われます。
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万葉仮名・変体仮名クイズ [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年2月号
国語(小6)/藤原友和 万葉仮名・変体仮名クイズ

「授業のへそ」を引用します。

 「自分の好きな○○」をテーマに、万葉仮名→変体仮名→ひらがなの順でヒントを出しながらクイズを行う。楽しみながら日本語の文字への興味・関心を高めることができる。

シンプルですが、楽しそうな実践です。具体的には、どのように展開しているのか、見出しと枠囲みを見ていきましょう。

1 なんと読むでしょう?

止良衣毛尤
(変体仮名)
どらえもん

教師によるクイズです。「先生が子どもの頃に好きだったテレビアニメ」というテーマを発表した後に、3枚のフリップを示しています。ここに(変体仮名)は示せませんが、この文字を見れば、誰でも正解が分かるようになっています。

2 仮名クイズをつくろう!

(1)「自分の好きな○○」を決める。
(2)関連する語を万葉仮名で書く。
(3)別紙に変体仮名で書く。
(4)別紙に平仮名で書く。
(5)(2)〜(4)の順に紙を重ねる。

於寸之
加尤奈於止
也幾由宇
久礼与尤 之尤知也尤

クイズの作り方と作品例が枠囲みで示されています。けれども、わざわざ枠囲みにしなくても、簡潔に説明できそうな内容です。

3 ペアでクイズを出し合おう!

(1)ジャンケンで先・後を決める。
(2)自分のテーマを言い、出題する。
(3)五秒以内に正解できなかったら一枚めくってヒントを出す。
(4)正解できたらサインをもらう。
(5)役割を交代してくり返す。

この部分については、先の教師によるクイズで描写されていますので、枠囲みの必要性は低いかもしれません。「ジャンケン」「五秒」「サイン」などの細かいルールは初めて出てきますが、それほど優先順位が高い内容ではなさそうです。

つまり、藤原さんは各項目で枠囲みしているのですが、部分的な手順にばかり、とらわれていて、肝心の実践全体に関わる「しかけ」が記述できていないように思われます。たとえば、次の部分です。

 『それでは、イスとフリップを持って二重の円を作って下さい。向かい合った人が今回のペアです』ペアでクイズを出し合った後に、円の外側に座っている子どもが時計回りに一つ隣のイスに移る。

 一周した後、立ち歩きOKにして制限時間内(五分)になるべく多くの友だちとクイズを出し合うようにした。

つまり、授業全体は次の構成になっているようです。

(1)先生のクイズに挑戦する。【全体】
(2)それぞれがクイズを作る。【個人】
(3)二重円を作って相手を変えながら、クイズを出し合う。【ペア】
(4)立ち歩きながら、残り半分の友達とクイズを出し合う。【全体】

このような構成こそ、枠囲みすべき「しかけ」のはずです。【全体】→【個人】→【ペア】→【全体】という構成がしっかりしているからこそ、最後の「立ち歩きOK」の場面でも、スムーズな活動ができたのではないでしょうか。

この構成を枠囲みした上で、時間の配分やクラスの人数など、数値の情報を明らかにすれば、読者が追試するときの再現可能性が高まるのではないかと思われます。
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『授業づくりネットワーク』2011年2月号 [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』の紹介です。「あすの授業」コーナーなど、いくつかの原稿については、私なりの視点で評価していきます。あわせて、ご覧ください。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』


特集:ドラマによる学びの可能性
コミュニケーション力を引き出すドラマとは?〜蓮行氏に聞く〜/上條晴夫
教育方法としてのドラマ技法/渡部淳
国語の授業に活かすドラマの活動/渡辺貴裕
演劇ワークショップ・インプロ運営法/絹川友梨
イギリス・ドラマ教育の歴史から学ぶ/小林由利子

第2特集:自学力を育てるコツ
学級の文化活動としての自学を/岩下修
活用力を育てる自学のコツ/蔵満逸司
子供同士の学び合いでコミュニケーション自学をつくる/菊池省三
一人一人の意欲を引き出す“学力別「自学」アプローチ”/星彰
“基礎的な学力を、自分の判断で学ぶ”/小林浩一

【たのしい実践】
ハイタッチ健康観察(学級活動・小3)/中嶋卓朗
お札で学ぶ明治維新(社会・小6)/兒島 強
ロシアン水溶液(理科・小6)/飯村友和

連載
やさしい学級担任論/池田修 いじめ問題への指導
学級づくりのネタ&コツ/中條佳記 学級づくりが楽しくなるネタ&コツ〜2月編〜
教師のためのICT活用術/蔵満逸司 大型テレビ・電子黒板の活用法(3)
教師のためのやさしい授業研究入門/藤原顕 授業研究と校内研修(1)
特別支援教育おすすめ教材・教具と指導のアイデア/上原淑枝
教室がなごむお笑いのネタ/佐々木潤
オイカワヒロコの保健室日誌/及川比呂子

【あすの授業】(2月)
国語(小6)/藤原友和 万葉仮名・変体仮名クイズ
社会(小6)/中雄紀之 模擬選挙をしよう!
算数(小6)/平嶋大 線対称の模様を作ろう
理科(小6)/川本敦 現在の絶滅数は?
体育(小5)/小山弘一 体育館の「舞台」から転げ落ちよ!〜「頭はね跳び」の導入〜
学級活動(小4)/片野靖久 残り3ヶ月!大切にしたいことは

編集部に届いた本
掲示板
次号予告・編集後記
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残り3ヶ月!学級の目標をふり返ろう [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年1月号
学級活動(小6)/佐竹康弘 残り3ヶ月!学級の目標を振り返ろう

授業の冒頭には、次のように書かれています。

 一月、新しい年の最初の学級びらきの時に、子どもたちに次のようにたずねた。

 わたしたちは、四月に決めた「授業の合言葉」を達成できているか。

 子どもたちは、四月に自分たちで、『創造!想像!元気爆発、満塁ホームラン授業』という授業の合言葉を決めている。そして、何回かふり返りを行ってきていた。

つまり、教師は「学級の目標をふり返ろう」という発問をしています。それを受けて、子どもたちからは積極的な意見が出てきています。ちょっとした教師の投げかけに対する子どもたちの反応には感心するばかりですが、それには何らかの「しかけ」があると考えた方が良さそうです。たとえば、「残り3ヶ月」に至るまでには、「何回かふり返りを行って」いる点を見落とすべきではないでしょう。

さて、「これまでの目標をふり返る」活動の後に、「新しい目標をつくる」活動に取り組んでいます。その場面を引用します。

 そこで、授業の合言葉の『創造!想像!元気爆発』の部分を変え、新しい合言葉をつくることにした。

 今年度も残り三ヶ月。わたしたちは、『創造!想像!元気爆発』を、どんな「授業の合言葉」に変えるか。

 子どもたちから、
「みんなでがんばれる言葉として、仲間と一緒にはどうかな。」
「勇気を出してみんながいっぱい発言できるように、『勇気爆発』はどうだろうか」
「もうすぐ中学校なので中学校に向けての言葉として、前向きな自分という意味で、『チャレンジ』などを入れたいなあ」
「進む進む自分という意味で、『あきらめないで』にしたらいいのでは」
「それだったら、それに『輝け』中学生へを最後に足したらどうかな」
「他の人とも輝くということで、輝けという言葉もいいね」
「いい言葉がいっぱいあるので、三つの意味を込めて、三拍子で輝けにまとめよう」
などと、次々に意見が出されていった。

こちらも、教師の発問に対して、子どもたちの意見が次々に出てきています。これも、何らかの「しかけ」がありそうです。たとえば、意見をノートに書くなど、個人で思考する時間は無かったのか? ペアやグループで相談する時間は? 教師は板書などで意見の整理を行っているのか?……などなどです。

この原稿で佐竹さんが枠囲みしたのは、二つの発問のみです。けれども、これらの発問だけで、上記に示したように豊かな子どもたちの反応が出てくるとは考えにくいです。そこに至るまでの「しかけ」を意識的に書き込んでもらえると、もっと再現可能性が高まるように思えます。
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ゆめのれいぞうこ [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年1月号
図工(小1)/佐久間明子 ゆめのれいぞうこ

「授業へそ」を引用します。

 画用紙一枚でパパッと取り組めて楽しめる。
 想像力を鍛えつつ、子どもの心の中の状態も把握できちゃう。夢いっぱいの授業。

「画用紙一枚」で冷蔵庫ができるというのが魅力的です。さっそく、作り方を見てみましょう。

 画用紙を縦半分におり、はさみでおよそ三等分になるように二カ所に切り込みを入れるよう指示する。

図も載っているので、さっそく作ってみました。ところが、うまくできません。画用紙の真ん中に二つの穴ができるだけで、あまり冷蔵庫らしくありません。指示通りに作ったつもりなのですが……。

改めて、原稿を読み直しました。「画用紙がパタパタする」と書かれているのを見て気がつきました。はさみの切り込みが違っていたようです。つまり、画用紙の折り目の方ではなく、開く方に切り込みを入れます。二カ所を切ると、三段に扉が分かれた冷蔵庫ができるというわけです。

私が勘違いした原因は、図にありました。半分に折った画用紙に切り込みの場所が示されています。ところが、画用紙がピッタリ重なっているので、どちら側から切っているのかが分からなかったのです。縦半分に折った画用紙を少しズラして立体的に示してあれば、そのような勘違いはしなかったでしょう。

また、図だけでなく、文による指示の示し方にも課題があるように思われます。たとえば、次のような箇条書きにできないでしょうか。

(1)画用紙を縦半分に折る。
(2)およそ三等分になるように、鉛筆でうすく横線を引く。
(3)画用紙を開き、二カ所の鉛筆の印に沿ってはさみで切る。
(4)はさみで切った部分をパタパタさせてみる。

図に頼らなくても、文だけで再現できるように書き替えてみました。私が書き足したのは(2)の部分です。画用紙のどこを切るかは、非常に重要な指示のはずです。

『だいたい三つに分かれるように切るんだよ』
『画用紙を重ねたまま切ったらダメだよ』
『重ねた画用紙の一枚だけ切るんだよ』

こんな具合に、佐久間さんは1年生の子どもたちに対して、丁寧に切る場所を説明したのではないでしょうか。そこで、鉛筆で印をつける手順を付け加えてみました。はさみで切ってしまう前に、鉛筆で切る場所を確認させる作業を入れれば、私のように切り方を間違えてしまう子どもを防げるように思います。

実際に、鉛筆で印を付けるかどうかはともかく、1年生の子どもたちに対しては、これくらい丁寧な指示が必要だと思われます。せっかくの楽しい「ゆめのれいぞうこ」づくりです。最初でつまずいてしまわないよう、「一時一事の原則」(向山洋一著『授業の腕をあげる法則』明治図書)を意識して、原稿の再現可能性を高めたいものです。
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校庭ビンゴ [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年1月号
理科(小4)/飯村友和 校庭ビンゴ

「授業へそ」を引用します。

 ビンゴゲームの数字を自然に置き換えたゲームである。
 子どもたちは夢中になって校庭の自然を探し回る。校庭中から「ビンゴ!」という声が聞こえてきて盛り上がる。

よく知られた「ビンゴ」を使った実践ですので、システムの説明は、それほど難しくないと思われます。ここでは、エピソードに焦点を絞って検討してみましょう。

ビンゴのマスに書かせる「自然」の例として、「サクラの芽」「幼虫」「カマキリの卵」「氷」「種」「動いている虫」「落ちた木の枝」「ザクザクした音」「チクチクするもの」「甘い香り」「風の音」「冷たいもの」「10cm掘った土」「鳥の羽」「月」「鳥の声」が挙げられています。これらを選んだ理由を、飯村さんは次のように説明しています。

 視覚、聴覚、触覚、臭覚で感じられるものをバランスよく混ぜるとよい。
 この場合、すべてが簡単に見つけられたらおもしろくないし、すべてが見つけられなくてもおもしろくない。宝物の難易度を考慮する。したがって、誰でも簡単に見つけられるものと、よほど注意しないと見つけられないものを混ぜるとよい。

非常に納得のいく説明です。それでは、実際の活動場面を見てみましょう。

「あった」
「こっちだ」
 子どもたちは、冬なのに汗をかきながら、宝物を探している。
 そして、「ビンゴ!」という大きな声が校庭のいたるところから聞こえてくる。
 班のメンバー全員での「ビンゴ!」の声が雰囲気を盛り上げる。
 子どもたちは笑顔である。

残念ながら、先ほどの例が一つも出てきません。子どもたちが「簡単に見つけられるもの」「よほど注意しないと見つけられないもの」は、それぞれ何だったのか、ぜひ知りたいものです。

他にも、「何か1つくらい自然とはまったく関係のないボケを入れる」場面なども読んでみたかったところです。

実践のアイデアではなく、エピソードを記述しなければ、読者に「追試したい!」と思わせる伝達可能性を確保するのは難しいと思われます。
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九九の表から発見10! [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年1月号
算数(小2)/長廻修 九九の表から発見10!

タイトルからも分かる通り、「九九の表」を教材とする実践です。「授業の流れ」には、三つの小見出しが掲げられています。一つずつ、見ていきましょう。

まず、「1 九九の表を作ろう!」です。復習も兼ねて「九九の表を作り」を行うのですが、「ノートに100マス計算をするように答えを埋めていった」そうです。この導入場面で、教師はどのような言葉をかけたのか、指示・発問を枠囲みしたいところです。「2学期に覚えた九九をどれだけスピーディーに書けるか?腕の見せ所である。」という説明から、教師が子どもたちにチャレンジを促している様子がうかがえます。そのような教師の意図を伝えるためにも、指示・発問の枠囲みが必要です。

次に、「2 数の並びから発見10!」です。本実践のメインとなる場面です。ところが、ここでも枠囲みがありません。次のように説明されています。

 ここから発見タイムである。縦・横・斜めの並び方を見る子や十の位の数と一の位の数を分解して見る子など、見方は様々である。まずは、九の段に発見が集中した。

「ここから発見タイム」という教師の言葉だけで、子どもたちの活動が始まったとは考えにくいです。あるいは、長廻さんのクラスは「目標は発見10!!」が合い言葉のようですので、もしかすると、特に教師の言葉が無くても大丈夫なのかもしれません。しかし、一般的な読者を想定するならば、やはり、ここは何らかの指示・発問を枠囲みで示したいです。本実践の骨格となる、重要な部分だからです。この枠囲みが無いと、再現可能性が大幅に低くなってしまうと思われます。

最後に、「3 なぜ同じ数字が並んでいるのか?」です。ここで初めて、枠囲みが出てきます。次の二つです。

【枠囲み1】
下のグループと上のグループで、他に同じ数はないだろうか?

【枠囲み2】
では、なぜ、こんな並び方になっているのかな?

ここでは、九九の表を左上から右下へ斜めに分けると、同じ数が対称的に並んでいる理由を考えさせたいようです。そうすると、指導の骨格となる発問は【枠囲み2】になります。こちらに絞った方がよいでしょう。そうすると、【枠囲み1】は『  』で囲みます。

ところで、『  』に関連して、少し気になる部分があります。

 たくさんの意見交換の末、次の意見にたどり着いた。
『かける数とかけられる数を入れ替えた答えの場所が、点線をはさんだ反対側にある』
『点線の答えは、1×1、2×2、3×3のように、同じ数をかけた答えになっている』

この『  』は教師のまとめでしょうか。それとも、子どもの発言でしょうか。「次の意見にたどり着いた」という言い回しが微妙です。もし、教師のまとめであれば、その旨、明記したいです。子どもの発言であれば、「  」で囲み、それに至る教師の言葉かけを『  』で示したいです。

長廻さんの原稿を読むと、枠囲み(教師が指導した言葉)と『  』(教師が対応した言葉)の区別が曖昧のようです。書き方の揺れは、実践そのものの揺れをうかがわせますので、しっかりと使い分けたいものです。
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歴人(れきじん)クイズ [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年1月号
社会(小6)/中嶋卓朗 歴人(れきじん)クイズ

「歴史人物を9つのヒントで当てるクイズ」です。「班で協力して出題したり、回答したりするので、友だちとのかかわりが生まれる」様子を見てみましょう。「卑弥呼」の出題に対して「金」というヒントを出した場面です。

 解答側の班では、頭をつきあわせ小声で相談している。
「足利義満じゃない?」「もうちょっと待ってみよう」
「ヒント3(「3」)」
「3代将軍だよ!やっぱり足利義満」「ファイナルアンサー!」
 正解発表後のヒント解説でまた盛り上がる。
「金は、中国の王様から金印をもらったからです」
「金といったら金閣寺でしょー」
「3世紀に亡くなったとされているので3です」「3代将軍じゃなかったよー。やられたぁ」
「芸人がやってるから芸です。」「えー!」

思わず、読んでいる方も笑ってしまう場面です。非常に巧みなエピソードの描写と言えるでしょう。

システムの説明も、ワークシートと組み合わせながら上手に行われていると思います。ただし、枠囲みの文字のポイントが小さくなっているのが気になります。次の部分です。

(1)出題する時はヒント(漢字、数字、簡単な絵、単語)を1つずつ書く。
 ※人物名にある漢字はアウト。
(2)解答する時は小声や筆談で相談する。
 ※教科書など資料は見ない。
(3)解答する時は答えが一致したら「ファイナルアンサー」と叫ぶ。(FA宣言)
 ※宣言後は答えを変更できない。
(4)出題する班は正解を発表し、ヒントを解説する。
(5)出題する班を交代する。

欲を言えば、さらに言葉を精選して、制限字数内に収めたいところです。たとえば、次のようにしてはどうでしょうか。

(1)出題チームはヒント(人物名以外の漢字など)を書く。
(2)解答チームは資料を見ずに小声や筆談で相談する。
(3)解答チームは答えが一致したら「ファイナルアンサー」と叫ぶ。(FA宣言)
(4)出題チームは正解を発表し、ヒントを解説する。

(1)は※と合わせました。(2)も※を合わせました。(3)の※は、もともと「ファイナル」アンサーなので省きました。(5)は無くても分かるので省きました。その他、細かい言葉の変更(チームなど)で、なんとか分量内になったはずです。

このように地道な作業の繰り返しにより、原稿の精度が上がるのではないでしょうか。
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〈数え方〉に残る“和文化”に気づかせる [雑誌]

私が編集に関わっている学事出版の雑誌『授業づくりネットワーク』「あすの授業」コーナーの原稿を、私なりの視点で検討していきます。
※参考:佐内信之「新しい授業レポートの誕生 『あすの授業』を中心に」『授業づくりネットワーク』2007年3月号

『授業づくりネットワーク』2011年1月号
国語(小6)/辻川和彦 〈数え方〉に残る“和文化”に気づかせる

「鉛筆・色画用紙・ウインナー・皿・カード・缶ジュースの六枚の写真」を使う授業です。辻川さんは、次の指示・発問を示しています。

【枠囲み1】
 これらを二つに仲間分けします。どのように分けられますか?

【枠囲み2】
 これは、何をもとに分けたのでしょうか?

【枠囲み3】
 〈数え方〉にはほかにどんなものがありますか?

【枠囲み4】
 こんなにたくさんの数え方があったら面倒です。全ての数え方を「個」に統一したいと思います。賛成ですか、反対ですか?

【枠囲み5】
本…細長い物を数える語。
本…紙・板・皿など薄くて平たい物を数える語

【枠囲み6】
 では、これの数え方は何でしょう?

【枠囲み7】
 なぜ、このような数え方をするのでしょうか?

【枠囲み8】
〈数え方〉には昔の暮らし方が分かるものが残っています。このような〈数え方〉を無くしたくないですね。

八つの枠囲みは、さすがに多いです。もう少し、精選できないかを検討してみましょう。

これらの枠囲みを、分節ごとに示してみましょう。

1 「数え方」で分類する
 【枠囲み1】
 【枠囲み2】★
2 〈数え方〉の統一を検討する
 【枠囲み3】
 【枠囲み4】★
3 数えるものの特徴によって〈数え方〉が違うことに気づく
 【枠囲み5】
4 〈数え方〉から昔の人の暮らしが見えることに気づく
 【枠囲み6】
 【枠囲み7】★
 【枠囲み8】

分節1です。【枠囲み1】は試みに、仲間分けを子どもたちに考えさせるための導入発問だと思われます。中心となる発問は【枠囲み2】でしょう。

分節2です。ここは「〈数え方〉の統一を検討する」というよりは、次の分節3への橋渡しと考えた方が良さそうです。分節2と分節3を合わせた「数えるものの特徴によって〈数え方〉が違うことに気づく」を手がかりに考えてみましょう。【枠囲み4】により、〈数え方〉に込められている意味に気づかせる意図があったと思われます。

分節4です。【枠囲み6】は写真クイズの問いかけの言葉、【枠囲み8】は教師のまとめの言葉です。ですから、ここでの中心発問は【枠囲み7】と言えそうです。

以上のように整理すると、指導の骨格となる指示・発問は【枠囲み2】【枠囲み4】【枠囲み7】と思われます。

では、それ以外の【枠囲み】は、どうすればよいのでしょうか。外枠を取り払って、『  』にすればよいでしょう。辻川さんの原稿には、教師の発言『  』が一つもありません。さらに、子どもの発言「  」もありません。そのため、淡々とした授業の印象を受けます。

けれども、実際の授業は、もっと活気あるものだったはずです。それが読者に伝わらないのは、『  』「  」の会話で描写できていないためだと思われます。エピソードよりも、システムの記述に偏ってしまっているのです。授業の骨格は非常にしっかりしていますので、その魅力を描写の表現で伝えてほしいものです。
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